上司からは「おまえ、会社というものを何だと思っているんだ」と、怒られました。自分たちがやろうとしていることを会社が認めてくれないことに苛立(いらだ)ちました。
今思えば合弁会社をつくることが目的になってしまっていたのかもしれません。話の進め方も荒っぽかったと思いますね。でも、当時は冷静でいられませんでした。
辞表を提出する
このプロジェクトが動き出して1年が過ぎたころです。会社を辞める決意をしました。部下を集めてこう話しました。「すまない。チームは解散だ。みんな出身母体に戻ってほしい」
会社は97年4月末で退職することになりました。残務処理をしていると室伏社長から電話がありました。「出社最終日に昼飯を食べよう」といってくれたのです。その日は本社に近い日本料理店でビールや日本酒を飲みながら2時間は話しました。
そして翌年2月、伊藤忠がファミリーマートを買収して小売業に本格参入するニュースを耳にします。「伊藤忠もとうとう本気になってきたな」と感慨深く思いましたね。
[日経産業新聞2014年2月26日付]