「円盤餃子」は揚げ?焼き?食べ応え満点、皮もちカリ
福島ご当地グルメでお腹いっぱい(1)
餃子というと、毎年の宇都宮と浜松の消費量バトルが有名だが、実は福島市もまた、知る人ぞ知る餃子シティーだ。
福島餃子の最大の特徴は「円盤餃子」。要するにフライパンで焼く餃子だ。
浜松もフライパンで焼く。外側から餃子を、ひまわりの花びらのように敷き詰めて円形に焼き、中心部の空きスペースにモヤシを盛るのが特徴。一方、福島は中心部にも餃子を詰め込む。ボリューム満点だ。
同じ円形でも浜松との最大の違いは焼き方。福島の「円盤餃子」は油多め。皮の白い部分は一般的な餃子と同じ食感だが、焼き目がついた方がまるで揚げ餃子のような食感になる。
しかも皮にこだわる店が多い。揚げというか焼き面に歯が触ると「さくっ」「かりっ」とした食感、そしてさらに歯に力を込めると、白い蒸し焼き部分のもっちりとした食感が追いかけてくる。この食感のコントラストこそが「円盤餃子」の魅力だ。
東日本では、醤油や酢、ラー油を自分の好みで混ぜてたれにし、餃子を食べるのが一般的だが、福島では各店とも専用のたれがある。たれに生ニンニクを入れるのも福島ならでは。餃子の食べ方にまでこだわる。
こだわりの最たるものが、餃子を出す店が餃子専門店であること。東京では、名の知れた餃子が、中華料理店やラーメン屋の看板メニューであることが多いが、福島の場合はいずれも「餃子屋」だ。
人気店は「満腹」「照井」「山女」など。「照井」は特に揚げ感が強い。皮と皮の間から油が入り、中のあんまで「揚げ」になっていたりする。
脂っこいのが苦手な人なら「満腹」がいいだろう。焼き面は一般的な焼き餃子に近い仕上がりだ。「元祖円盤餃子」を標榜し、ラーメンやライスは出さないこだわりぶりだ。
揚げ物がビールとの相性がいいように、ちょっと油多めの「円盤餃子」は、ただでさえ相性のいいビールと、さらに「深い仲」になる。「餃子でビール」のためだけに福島まで行きたくなる。そんな味だ。
(渡辺智哉)
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