魚肉ソーセージは絶対マヨネーズ コンビーフ、ツナも
マヨネーズ(3)
ついに風邪をひいてしまった。この1カ月余、お父さんが不在でも誰も気にしない家庭環境をいいことに、1日の休みもなく仕事をしたつもりになっていたのがいけなかったのだろうか。熱は出るわ鼻水は出るわ、ついでにお腹まで出てくるわの大騒ぎになってしまったのだった。せっかくの土日を寝て過ごし、いまも鼻がズビズバ状態。何しゃべっても全面鼻濁音になり、
「おざげをびっばびぐだざびな。ざがなばばぶっだびがでびい(お酒を一杯くださいな。肴はあぶったイカでいい)」
などと言っているのである。ぐるじい。
おまけに「風邪治してください」という優しい言葉とともに、どくろのマスコットまで付いた赤い殺意の精鋭「アフター デス ソース」までくれる同僚がいて、ありがたいったらありゃしない(七味君、ここちょっと話作ってます。ごめんね)
このソースはコスタリカ産の殺意で、あのハバネロを主力として脇をカイエンペッパーとトウガラシが固めている。しかも「デス ソース」すなわち「死のソース」の「アフター」に出てきた最終兵器なのである。
ラベルを見るとミートローフ、シーフード、チーズバーガーと並んで寿司に合うと書いている。なんちゅう奴っちゃ。
これと折り合いをつけられるのは私の知る限りデスクしかいない。デスク、これあげる。持ってって、早く持ってって。
デスク喜色満面 おっ、いいですね。
では本題のマヨ。
さっそくデスク乱入 先ほど渋谷に「マヨネーズラーメン」があるとの情報を得て、地下鉄で渋谷に行って参りました。しかし、店つぶれてました……。しかたなく、そばにラーメン不毛地帯「大阪」を前面に押し出したラーメン屋があったので食べてきました。そのお店では、ピリ辛のニラがおろしニンニクなどとともに薬味として用意されており、どっさりと丼に放り込んで食べてきました。
マヨの様々な楽しみ方。
そういえばマヨネーズケーキってご存知ですか? 生クリームの代わりにマヨネーズでデコレーションしてあるケーキ…ではなくて、スポンジを作る段階でマヨネーズを使うのです。マヨは卵+油+酢なのでケーキ材料と一致するのだとか。酢はレモン汁に対応するのでしょう。
理屈ではわかるけど、感情がついていきませんので、まだ試したことはありませんが。
試作したら、野瀬さん食べてくださいますか?(にゃんちゃん)
食べますよー。
あと、岐阜の明宝村の名物、明宝ハムはマヨととっても合います。これ以外の方法で食べてません。美味し~でね~(オイツンのヨメさん)
にゃんちゃんのところのばーちゃんもそうですが、ゆでたり煮たりしたイモとマヨは人気があるようです。本当にまあ、いろんな食べ方があるもんだと。
好き嫌いの問題はどうしようもないのである。デスク、早くこの「アフター デス ソース」持ってってよー。
デスク考察 火の通ったマヨネーズにはホワイトソース同様タバスコが合うんですよね。この「死のソース」で試してみましょう。あと寿司も試してみましょう。でも行きつけの寿司屋に持って行ったら出入り禁止になりそうなので、パックの寿司にかけて食べることにします。
死ぬなよ、独身のままで。
マヨ少な目、赤いの多めがベストです。辛すぎなくて食べやすいし。東京の下町出身ですが、これってローカルなのでしょうか。
そういえばデスクは空揚げにマヨは反対のようですが、リッチな味になってすごくおいしいのに。うちで空揚げのときは脇にマヨボトルを置いて好きなだけかけるスタイルです(ディープな下町振興会さん)
するめを「赤いの+マヨ」で食べるのはローカルなのかどうかというメールが複数届いている。私がこれを食べたのはまだ歯が歯として通常に機能していた学生時代であった。従って30数年前ということになる。貧乏学生御用達みたいなカウンターだけのバー。懐かしいなあ。
ここでするめは酒を振って焼くと軟らかくなることを知り、東京ではするめをアタリメと呼ぶのがあたりめえなことを知った。
デスク顔を覆って うわっ、ベタ。
ということは相当昔から赤いの+マヨはするめの友であったようだし、よその土地でも同じように食べていたから、別に東京ローカルということもないであろう。それにしても、またするめを思う存分ガシガシ噛みたいなあ。試してみたいけど、危険だからやめる。
焼鳥にマヨネーズもやめてくれ~。でも、鶏のもも肉の上にマヨネーズをかけてオーブンで焼いたりすると美味しいメニューもありますなぁ(栗猫さん)
するめの天ぷらは大阪ローカルの居酒屋メニュー。長いこと食べていません。永遠に食べられないかも。がなじー。
ここで、勇気ある行動の記録を紹介する。
とはいうものの、味はまあ普通。「カップラーメンに冷やご飯をぶち込んだらこんな味」という、まことに正統なラーメンライスでした。
しかしそれでは物足りない私は、欲望を抑えることができなかったのです…「ここにマヨネーズを投入したらどうなるのだろう?」。で、やっちゃいました「マヨネーズラーメンライス」。スープを半分くらいに減らすのがコツ。見た目はちょっと、でしたが味はマイルドでおいしかったですよ。ある意味期待はずれ?(いけずな京女42歳さん)
ラーメンライスはラーメンとライスが別なのだが、カップ麺の宿命で一緒になっている。とんこつラーメンは麺を食べ終わった後に、ご飯を投入してとんこつおじやにして食べるのが最高と言われている。しかし、この物件は最初からおじやである。
そこにマヨを加えるというのは勇気ある行動と言わざるをえない。怖いもの知らずと言っているのではない。ちょっとそんな気がしないでもないが。
お好み焼きにいつからマヨがおっかぶさってきたのか。
母親に連れられ、大阪宗右衛門町にある「ぼてじゅう」で初めてマヨネーズのかかったお好み焼きを食べました。小学生の私は1枚物のデカイ豚が入った小判型のお好みに出合って、大阪はなんと美味いものが食べられるんや、と大感激したのを覚えています(仁円さん)
大阪では少なくとも半世紀まえからマヨがお好み界に出演していたことがわかる。昭和30年ごろのことであろうか。しかも「ぼてじゅう」。そうか、そういうことだったのか。
非マヨ的生活ももちろんある。
生野菜には塩昆布が我が家の流行です。ドレッシングのときもあります(自作)。粉ものはほとんど食さず、揚げ物は醤油かレモン、ソースが多いです……紹介されている食し方はマヨネーズの食べ方である気がします。飽きないのですか?(発射口さん)
我が家でマヨネーズを使うのはポテトサラダだけです。だから買うのも年に1回あるかないか。しかも最小サイズです。そのうえ使い切りません。マヨネーズは嫌いではありませんが、なぜもともとある味をマヨネーズの味に変えなきゃいけないのでしょう。マヨネーズをつけた方が美味しいということは、マヨネーズをつけないとまずいと感じるのかな? でも自分では作りませんがフライについているタルタルソースは好き(山口県 あきさん)
このお二人はともにマヨが嫌いということではない。だが、特別に必要ともしていない。実は私もこれに近い。マヨを使う場合というと、そうですねえ、魚肉ソーセージは絶対マヨですね。冷たいトマトにもいいですね。そうそうキュウリもマヨ。竹輪につけたらうまかった。サンドイッチにもべたべた使います。食パンにマヨ塗りたくって食べるの好き。
結構、使ってるじゃん。
ところで、キュウリやナスを薄く切って細切りの塩昆布で和えると即席の一品ができる。酒、ご飯ともによし。シラス干しをかければ幸せになる。
ここでデスク乱入 酒のつまみが何もないときはベーコンを湯通ししてマヨネーズつけて食べたりまします。ツナ缶、コンビーフもマヨ。普通のソーセージはマヨネーズを使いますが、魚肉ソーセージは何もつけません。僕の場合、生野菜はドレッシングですね。キュウリやエシャレットは味噌、トマトは塩、マヨはゆでたブロッコリーかグリーンアスパラ、あるいは生ニンジン、セロリです。
ついでにケチャップ。
天ぷらにはソースです。
デスク沈黙 沈黙 ……。
私としては本当はマヨラーではなくマヨネイザーと呼ぶ方が正しいのではないかとかねがね考えていました。ケチャラーでもケチャッパーでも構いません。でも面倒なのでこれからはマヨ派を黄色族、ケチャップ派を赤族と呼びます。
デスク質問 タバスコ派は?
異民族!
前回のテーマ「味噌・味噌汁」関連メールだが、感動したので紹介する。
いつもはご飯、味噌汁、魚、卵などのお決まりメニューですが、野菜かき揚のサービスがありました。揚げたてとあってサクサクで美味。
ふと、隣を見るとこの4月加入の3代目ディレクター、そのかき揚を味噌汁に突っ込んだうえ、ほぐしながら掻き回すではありませんか。おお、なんということを!
彼によれば、味噌汁が漬け汁代わりとなり、かき揚が具になる。赤味噌にぴったり。
安い出来合いのものをつかう。天かすをいれることもよくあるそうです。
彼同様、生まれも育ちも名古屋という番組相方女子アナ・明美嬢も同じコメント。ただし、外では滅多にやらず家庭内でのみの食習慣。恋人の前ではNGだが、入籍後ならOK。埼玉育ちのわたし、島根のバイト君の想像を絶するものでした。
確かに見栄えとしてはとんでもなく、衣が汁を吸ってくずれたお好み焼きのようで食欲をそそるものではありません……いまのところ試す気にはなっていません(東海ラジオの安蒜アナウンサー)
名古屋の皆さん、万博の騒ぎに紛れてこんなことをしていたんですか? いままでなぜ黙っていたんですか?
安蒜さん、「名古屋の人々はどうしてこっそりかき揚げを味噌汁にいれるのか」というテーマで特番を組んでください。「ころ問題」も未解決です。私行きます、あのスタジオに。
風邪が治りきらない。ズビズバ状態続く。今週はこのへんで。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。