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上品な人は話し方も「上品」なものです。言葉自体がやわらかであり、優しい声で相手を受け入れます。話の主導権を握ろうと躍起にならず、話題を独占しようと自分ばかり話すようなことはしません。

さりげなく、「あなたはどう思いますか?」「○○さんならば、どうされますか?」 「あなたの考えを、教えていただけますか?」などと、相手の発言を促します。

それは相手の「話したい心」を刺激すること。口下手や上がり症を自認するような人でも、本来は話がしたい。自分の思いを伝えたいと思っているものなのです。話し方が上品な人は、そうした心に添う発言もするのです。

彼らの話し方は

●言葉の響きがやわらかです

心地よい響きがある言葉を、使っている方が多いです。たとえば「でっ!」「げっ!」というような濁音は、乱暴な印象を与えますし、「あっ」「きゃっ」というような促音は、子どもっぽい印象を感じさせます。ですから、できる限り避け響きのやわらかな言葉を、心がけているように感じます。

●考え方が柔軟です

「私は正しい」とか、「失敗するのに決まっている」「そんなことは、常識だよ」というような決め付けた物言いは、間違いなく敵をつくります。

考え方は人それぞれ違って当たり前なのですから、一つの考え方に固執するのはやめましょう。すると、相手を受け入れられ、自然とやわらかな話し方になります。同じことでも、伝え方次第でやわらかくもきつくもなりますし、上品にも下品にも聞こえるのです。

上品な人は物腰もやわらか(写真:PIXTA)

上品な人は物腰もやわらか(写真:PIXTA)

あなたは、会話の語尾に気を配っていますか?

友人同士のプライベートの会話で、「◯◯でぇ」「◯◯のぉ」「◯◯さぁ」「◯◯で~す」など。くだけた話し方をしていると、ビジネスの場でもふとしたときに、口をついて出てしまいます。

実際、ある情報番組で「コメンテーター」として出演していらっしゃる方が、司会者から意見を求められたときに、「でもさぁ」「それはさぁ」と、「さぁ」を連発した場面を、私は耳にしました。

それは、日本経済にかかわる問題提起です。極めて真面目な質問に対して、「でもさぁ」「それはさぁ」と、「さぁ」で返すようでは、本当に考えて発言しているのか疑ってしまいます。

だいいち、だらしなく幼稚な印象を覚えるでしょう。語尾は、「です」「ます」などで整える。その際、語尾は下げるのが「上品な話し方」のポイントになります。

ここで、次の文章の語尾を上げて読むときと、下げて読むときを比べてみてください。

●「私は、最高の結果を出す人の話し方を学んでいます」

「ます」の語尾を上げると、低音の声の持ち主であっても、落ちついた印象の方でも幼稚さを与えてしまいます。会話では、話し始めのトーンは高く、語尾にかけて下げていくと、心地よく相手の心を捉えるものです。

語尾が上がるのは、疑問や感動を表すとき。それ以外は「です」「ます」と、言い切るイメージで話すと、落ちついた印象を与え、発言に信頼感や重みが増します。

しゃべりには自信がある、早口でないという方こそ、要注意

口下手を自認されている方や、上がり症の方はどうしても早口になる傾向があります。また、沈黙が怖くて、しゃべらずにいられないという人もいます。

私が知る限り、ビジネスシーンでは話すスピードが速い人のほうが多いといえます。伝えたいという思いが空回りして、支離滅裂な話になる方もいます。

しゃべりには自信がある、早口でないという方こそ、要注意。あなたの話は伝わっていない可能性があります。

実は、自分では「少しゆっくり話をしているかもしれない」と思う程度の速さでちょうどいい。相手は聴きやすく、安心するものなのです。

すると余裕がうまれ、上品な印象を演出できます。もちろん、必要以上に話を引き延ばすわけではありません。伝えたいことを明確に、落ち着いて話すのは基本です。

上品な人は、相手を自分だと思って話している

上品な人の話し方の特徴は、相手を心地よく、ほっとさせることです。あなたの周囲にも、いらっしゃるでしょう。その人と話をすると、落ちつく。また会いたくなる。会話の余韻に浸れる。そういう方は、常に相手を自分だと思って、話をしているといえます。

「自分だったら、こんな言われ方はしたくない」「私だったら、こんなふうに伝えてほしいな」――そんなふうに相手を自分に置き換え、そこから話を導きだしているのです。

もちろん、愚痴や不平不満、噂話などは口にしない。なるべく明るい話をする。相手の話は端から否定しないで、最後まで聞く。うなずく、ほほ笑む、傾聴する……など、言葉でなくても相手を心地よい気持ちにさせる方法もあります。

相手を自分だと思って、接する=話をすると、とげとげしいものの言い方や難しい言葉は使わなくなります。自然と、上品な話し方になります。

正しい言葉は正しい心から生まれる

上品な話し方をする上では、場面に応じた敬語を使っているかを、確認するのもいいでしょう。誤った言葉遣いに気づかずにいると、知性や教養の無さを露見してしまいます。

かつて、東京の麻布にある地名「狸穴」(まみあな)を「たぬきあな」、台東区にある駅名「御徒町」(おかちまち)を「おんとまち」と口にした知人がいました。

東京生まれでない方にとっては、なじみがない地名かもしれませんが、何度も間違われると、首をかしげてしまいます。読み方に自信がない地名や駅名は、思い込まずに調べましょう。

正しく敬語を使える、正しい言葉遣いができる、地名を正しく読めるというだけで、信頼度や安心感が高まります。

博識であることを誇示しようと場にふさわしくない話題を持ち出したり、情報通を示すように、流行語や業界用語を使うのはNGです。仮に周囲の人がくだけた言葉を使ったり、流行の言葉を話していてもぶれずに正しい言葉を使いましょう。

普段、どう話しているかは、ふとした瞬間に出るものです。普段、使っていない言葉を改まった場で使おうとしても、無理があります。日ごろから、ていねいな話し方を心がけましょう。すると、やがてあなた自身の考え方や振る舞いまでも変わってきます。

 「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は11月2日の予定です。

[2016年10月11日公開のBizCOLLEGEの記事を再構成]

臼井 由妃(うすい・ゆき)
 1958年東京生まれ。健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役。理学博士、健康医科学博士、MBA、行政書士、宅地建物取引士、栄養士。33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ会社経営に携わる。次々にヒット商品を開発し、独自のビジネス手法により通販業界で成功をおさめる。日本テレビ「マネーの虎」に出演。経営者、講演者、経営コンサルタントとして活動する傍ら、難関資格を取得した勉強法も注目される。ビジネス作家としても活躍。著作は50冊を超える。

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