ソースといえばウスター、中濃? 東西で意外な地域差
ソースをもう一ふり(1)
三林京子隊長のお供で東京の下町のなかの下町、京成立石駅周辺の探検にでかけた。詳しくは三林隊長のHP(http://3bayashi.com/nikkei/kodawari/top.htm)に掲載されているリポートに譲るが、隊長はとにかくバンバン写真を撮りまくっていたのでお宝映像が見られるかも。デスクの正体とか。
先日の大阪オフ会にきてくださった皆さんから感想メールが続々到着している。特に女性の方からは「野瀬さんは想像していたよりカッコよかった」というメールがたくさん、いや1通届いたのはうれしかった。その「想像」が元々どのレベルであったかという問題は残るが……。ちなみに私は豊下さんから「いけ麺の野瀬」と言われたことがあることを付記しておきたい。
デスク涙目 デスクがカッコよかったってメールは来なかった……。
マツケン風金ラメ姿は大受けだったじゃない。
ところで、都内某所で石毛直道、熊倉功夫、三林京子の三氏による座談会が開かれた。大阪にある「インスタントラーメン発明記念館」が発行している会員誌「noodles.com」の名物企画で、ゲストは女性限定というところがニクイ。そこで私たちの新しいテーマ「ソース」が話題になった。言いだしっぺは三林さん。
「ソースで天ぷら」のことを言ったら東京生まれの熊倉氏は逃げ出しそうになったそうである。石毛氏は「ソース天丼」に深甚なる興味を示されたらしい。そのほか当サイトと共通の話題で盛り上がったという。
本題に入る。が、どうやって入ろう。というのも皆さんからは確かにたくさん、とってもたくさんのメールを送っていただいた。でも半分がお餅・雑煮メールなのである。雑煮メールばっかりで、ぞうにもならんよ。
といってボツではせっかくの皆さんの思いを無駄にしてしまう。なんとかしのごうじゃないか。
「ウスターならいらない」と、私はほとんどソースを使わなくなってしまいました。今や、トンカツを外食で食べるときぐらいです。が、これにはいっぱい使います!!
東京下町生まれの私のソウルフードはズバリ、もんじゃ! しかも、月島の「具がいっぱい」もんじゃではなく、固形分が「ない!」もんじゃ。これにはウスターソースでなくては合わない。むむむ、よだれがでて来た。
栃木の佐野市は以前も話題になった「イモフライ」の街です。ラーメンと厄除け大師で有名でなければ「イモフライ」で売り出していたかもしれません。その「イモフライ」に欠かせないのがソース。中でも地元の「ミツハソース」をたっぷりつけてアツアツを食す。うーん、またよだれがでて来た(東京生まれ栃木在住の吉川さん)
中濃ソース。西日本方面には「何それ?」とお思いの方がいらっしゃるかもしれない。粘度はウスターととんかつソースの中間くらい。いまでは西日本のスーパーやコンビニでも売られているようだが、前回大阪勤務のときに聴き取りしたら「中濃」を知らない生粋の大阪人多数に遭遇した。関西以西でも似たような状況かもしれない。
デスクきっぱり 僕にとってソースとは中濃のことです! ウスターソース、トンカツソースはフルネームで呼びますが、中濃はただ「ソース」と呼びます。ちなみに、ポテトサラダにソースをかけるのが好きです。特にマヨネーズ分の少ない、マッシュポテトに近いようなポテサラにはソースがぴったりです。
九州ではポテトサラダにはウスターです。ねっ、エミー隊員。
エミー隊員 私は何もかけませんけど。しいて言えば、コショウくらい。でも周りは黒いものをかけていたような…。所詮、心だけ九州人ですから(泣)
今回「ソース」をテーマにした目的のひとつは「我々版日本ソース地図」を作ることにあるので、ソースの分類はきちんと押さえておきたい。前回地図作りに失敗した最大の原因はそこにあった。中でも中京地区限定の「濃いくち」に留意する必要がある。
大阪の話が出たところでこのメール。
で、名古屋は?
あと、名古屋ではウスターソースをよくみます。その文化を作ったのは共に名古屋に本社を置くカゴメとコーミの企業努力でしょうね。とかく味噌だといわれる名古屋で2社が共存できるのは、それだけソースが浸透している結果ではないでしょうか?(愛知県「まもなく社会人3年生」さん)
オリエンタルに確認してみた。「ソースっね」では発音しにくいので「ソースねっ」ではないかと思ったからである。しかし、前者が正しかった。「カレーに合うソース」と「ソースに合うカレー」の組み合わせであったそうだ。同社によると「愛知県ではカレーにソースをかけるのは一般的ではないが一部で行われている」とのこと。
愛知県はソース大量購入(消費)県なのであろうか。またまた総務省家計調査を調べる必要が出てきたようだ。
なんだか話が以前やった「カレー」と同じになってきている。まあいいか。このままいこう。
あれ、タルタルソースが関西方面で頑張っている。
ところが、今となってはコロッケ・エビフライにはマヨネーズ(タルタルソースのことも)、天ぷらには大根おろし+天つゆ(または醤油)、春巻きには辛子醤油をつけて食べています。おかげでとんかつソースはとんかつのときに、ウスターソースは大根おろしがないときに天ぷらを食べる場合しか出番がないですね。ウスターソースは焼きそばを作るときには使うか。
だから、ソースを買うときにも一番小さな入れ物に入ったものを買っていますので、我が家ではソースの使用って減っていますね(明渡@奈良県さん)
ナニワのオジンさんのメールに出てきた「どろソース」。
なんだか先日のオフ会参加者のメールが集中してしまったが、故意ではない。みんなの中ではまだ新年会は終わっていないのよ。くだんのソースは最近、東京のスーパーでも売っている。私はオリバーソースの「だしソース ウスウス」が気に入っているが。
お気づきのように、栃木県をのぞくとソースに関するメールは西日本関連のものばかりである。「ソースで天ぷら」のときには見落としていたが、東日本、特に東北から北海道にかけての味噌・醤油優越地帯での各種ソースの地位は一体どうなっているのだろうか。少なくとも熱く語る対象ではないような気がしている。熱く語らなくてもいいから何か言って。
という声は全国に満ち満ちているのだろうか。「焼きうどん発祥の地」の実態は?
どちらにしろ焼きうどんの上にはタップリの削り節がのっていて、その動きが楽しくて、ついつい観察して冷めてしまいます。
同じ福岡県といっても久留米とは言葉も通じない。そして屋台の定番に「おはぎ」があって「お酒」がないような街です。こんなに近いのに久留米や福岡とは大きく異なっているのかもしれません(ポロ助さん)
半熟卵がのった「天窓」。いいネーミングである。かつお節が熱で踊る姿に見とれているうちに焼きうどんが冷めてしまうというところも好き。
でも北九州の人に久留米弁が通じないって本当? おかしいなあ。久留米弁は九州弁の中で最も標準語に近い言語であると思っているんですけどねえ……。
で、久留米の焼きうどんは何味か。
とはいっても、B級グルメに関して探求心旺盛な久留米。屋台や居酒屋にはちゃっかりと焼きうどんが存在します。その基本はソース味ですね。焼きうどんは「うどんのメニュー」と言うよりも「焼きそば」や「長崎皿うどん」と同系列の食べ物として位置づけられています(豆津橋渡さん)
そうやったとね。焼きうどん文化はなかとね久留米には。知らんやったあ。
ほら通じるでしょ?
ということではなくて、細々ながら生息する久留米の焼きうどんもソース味であった。全国一律醤油味ではないことが裏付けられた。
豆津橋さん、筑後うどん祭で会いましょう。デスクが「ギョウザ、ギョウザ」とうわ言のように繰り返しています。三林さんもこっそり狙っています。
デスクうわごと ギョウザ、バサシ、ヤキトリ、ラーメン、チャンポン、ウドン、ショウチュ……。
ソース味のラーメン。
私はその日は朝から"正油"と決めていたので食することはありませんでしたが、最近同じ店を訪れたときに、いざ頼もうと思うと「もうやってない」とのこと。今となっては貴重なチャンスを逃してしまったことを悔やむしかありません。
どなたか、このラーメンを体験した方がいらっしゃいましたら、ざっとそのインプレッションをお聞かせ願えないでしょうか。また全国にはソース味のラーメンというのは存在するのでしょうか?(北海道小樽市のミノ助さん)
詳しいことは忘れてしまったが、どこかのチェーン店で「ソースラーメン」を大々的に売り出していたことがある。いまはどうなったか知らない。全国のソース味ラーメンの情報を求む。
世の中にはこんな人もいる。「気」です。
Oさんは「変なおじさん」ではありませんが「普通のおじさん」でもありません。"気"で、醤油がソースに変わったかどうかはOさんの名誉のため「言えれません!」。いなくなっちゃった人はいました。私の腰が治ったかどうかもOさんの名誉のため「言えれません!」(浜松のMartinさん)
気合で鍋が温まらないのに似ている。
ソースと無関係だが、面白かったので紹介する。
しかし、彼は卵を割り、溶きはじめます。どうするんだろう。そうか、中国料理のスープのように、ラーメンのスープに溶き卵を浮かべるのか。
しかし。
彼は溶き卵が入った小鉢を左手に持ち、箸でラーメンの麺をすくい上げます。べちゃ。するずるずる。なんと彼はラーメンの麺を生卵につけ、それを口に運んだのです。生卵のつけ麺。まさかこんな食べ方があろうとは。まるですき焼きです。
しかしまぁ、世の中には常人には想像もできない、いろんな食べ方をする人がいるものです。
という話を愛知県出身の職場の後輩にしたら、「ああ、その人間違いなく名古屋の人ですよ」とひとこと。"生卵つけめん"は、あの「スガキヤ」を中心に行われていて、地元では当たり前の光景だとか(みんみん♂さん)
これには続報がある。後輩の話によると「スガキヤ」にはラーメンに生卵を落としたメニューがあって、その生卵を小鉢にすくってから先のような行動に走るのだそうである。
みんみん(♂)さんも実は半信半疑のようなので、話のついでにオリエンタルの広報の人にこの話をぶつけてみた。反応は「?」であった。真相はいかに。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
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