寿司、串焼き、サバ缶オードブル…八戸サバ食べ尽くし
海の幸の宝庫・八戸を食す(2)
八戸のサバは、抜群の脂ののりで知られる。北海の豊富な餌でたっぷり肥えたサバが八戸沖にやってくるのが秋。
北欧産サバと比べ脂の風味がよいとされる八戸前沖サバを、さあどう食べる?
八戸のサバは焼いてよし、シメてよし、煮てよし。海上で急速冷凍すれば、刺身で食べることもできる。
八戸市中心街にあるサバ料理専門店「サバの駅」の人気料理は「焼きサバ串」。腹や背など、それぞれ違う3つの部位をひとつの串に刺したアイデア商品だ。
そもそもサバを串焼きで食べるなんて、他ではお目にかかったことがない。焦がさないようにじっくりと焼き上げられたサバ串は、皮はパリッと香ばしく、腹の部分ではジューシーな脂を味わい、尾に近い部分はサバ本来の旨みをかみしめる。
文句なしにうまい。
南部せんべいを使った八戸名物「せんべい汁」は、鶏だしのものが多いが「サバの駅」ではさいころに切ったサバを生から煮てダシをとる「サバだしせんべい汁」が食べられる。
家庭ではサバ缶を使ったせんべい汁も食べる。
シメサバをのせた棒寿司の「サバ寿司」も八戸のものは逸品ぞろいだ。
まず驚くのはサバが肉厚であること。断面を見て、思わずうっとりするくらいの厚みと美しさ。そしてその脂がまろやかで「これがサバ寿司か?」と思うほど上品な味わい。ほおばればサバの旨みがほとばしる。
サバ料理の豊富さも八戸ならでは。サバのづけ丼、サバのバーガー、サバのつくね……等など、こんなサバ料理までと驚くものが多いが、南部せんべいにサバ缶をのせオードブルにしてしまうのには完敗だ。
ちなみに脂分の多いサバ缶は缶詰の中でも熟成が進むのだそう。お土産の缶詰を食べる時は「缶内熟成」させてから食べると、一層おいしく食べられる。
八戸に花開くバリエーション豊かなサバ料理、そのポテンシャルはとどまるところを知らない。
(日本の旅ライター 吉野りり花)
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