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極上の脂のり、八戸のサバ うまさの秘密は水温にあり海の幸の宝庫・八戸を食す(1)

青森県南部、太平洋沿岸に位置する港町・八戸は、海とともに生きる人たちの暮らしを感じられる街。陸奥湊や舘鼻岸壁の朝市では早朝からイサバのカッチャ(いちばのおかあさん)の元気な声が響く。

陸奥湊駅前にある「イサバのカッチャ」像

ウミネコの繁殖地として知られる蕪島にはウミネコが飛び交い、種差海岸までの海岸線は潮風を感じる景勝地が続く。もちろん新鮮な魚介を使った豪快な料理もいっぱい。旅すれば、五感で「海」を感じられる街だ。

舘鼻岸壁の朝市にて

イカの水揚げ日本一を誇る八戸港は、数百種もの豊富な魚種が水揚げされる海の幸の宝庫だ。

八戸前沖サバ

さらに八戸沖は本州最北端のサバ漁場であり「北限のサバ」が水揚げされる。「八戸前沖サバ」はサバの地域ブランドとして知られ、なかでもトップシーズンの秋の銀サバは「日本一脂がのったサバ」との声も聞くほど。

市場に並ぶ八戸前沖サバ

元々、地元の人は「どこにでもある魚だから」とサバに注目していなかった。しかし八戸にやってきたある学者がサバのおいしさに驚き、調査をはじめたことがブランド化につながったという。よそから来た人が「どうしてこんなにうまいのか」と唸る、そのおいしさの秘密はどこにあるのだろう。

海上でとれたてを急速冷凍すれば生でも食べられる

おいしさの理由のひとつめは、なんといってもサバの漁場が近いこと。八戸前沖サバの漁場は沿岸からわずか沖合40キロ~50キロで、港から近く、数時間で船が戻れるため、新鮮なまま市場に出回る。

定番のシメサバ

おいしさの秘密のふたつめは海水温にある。サバは20度を超えると餌を食べなくなるので、最適水温である14~19度を求めて回遊する性質がある。八戸沖で漁獲されるサバは千葉沖から北上し、三陸をとおって北海道沖で夏をすごし、寒くなってから産卵のために南下してきた魚群。サバはたっぷり肥えて八戸沖にやってくる。

人気の冷燻サバ 燻製の香りと生の食感を一度に楽しめる

9月に入ると八戸沖の海水温は急激に下がり、サバが最も脂肪分をたくわえる18度に近づく。このため、秋に八戸港に水揚げされる銀サバは多いもので約30%もの粗脂肪分をたくわえ、EPAやDHAも豊富。しかも北欧産のサバよりも脂の食味が良いともいわれる。

サバの梅煮

脂のり抜群のサバ、しかもその脂の風味は段違い。そんな極上サバなら食べてみない手はない。

(日本の旅ライター 吉野りり花)

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