海の家といえばカレー&ラーメン? うどん&おでん?
「海の家」改めノンジャンル(1)
静岡県富士宮市、群馬県太田市とともにやきそば「三国同麺」の一角を占める秋田県横手市からお客様があった。そのときはやきそばの話ではなく「発酵」の話。同市は先ごろ、あの小泉武夫教授の指導で「発酵文化研究所」というのを作った。具体的な研究が始まるのはこれからだが、とりあえず現在作られている発酵関連食品を見せていただいた。
写真のような漬物各種、甘酒まんじゅう、ぶどう果汁入り甘酒などである。漬物の中には甘酒で漬けたものもあった。見たこともない山菜やミニキュウリ、ちょろぎなどを漬け込んだものもあった。ちょろぎが出てきたときはびっくりした。ちょろぎって漬物にもなるんですね。正月に一人で甘酢漬けのちょろぎを平らげた二女に食べさせたが、どうも真っ赤でないといけないようであった。
甘酸っぱいカリカリ梅も入っていた。これは、デザート代わりにみんなで食べたので、あっという間になくなった。
甘酒を横手では「あまえこ」という。何とかわいい呼び方だろうか。昔は我が家でも母が作っていた。薄く炊いたおかゆに麹を加え、木のおひつに移す。それを風呂敷で包んでこたつの端っこに置いてひと晩待つと、アルコールありやなしやの白い飲み物ができた。別名「一夜酒」。作り方は記憶に基づいて勝手に書いているので間違っているかもしれない。くれぐれもこの通りに作ってみたりしないように。
我が家では冬の飲み物だったが、甘酒は夏の季語。
甘酒を煮つつ雷聞ゆなり 矢田挿雲
発酵が早く進む夏に作り、冷やして飲んでいたのだろうか。それとも暑さには熱さでと、汗をかきかき飲んでいたのか。いずれにしても、甘酒は日本人の生活から遠く離れていった感がある。なにしろ、このサイトでテーマにあがることもなかった。と書きつつ、そうだ甘酒でやってもいいななどと考えているのである。VOTEは難しいけど。
デスク質問 お酒って自分で飲む分なら自家製造しても酒税法には違反しないんでしたっけ?
甘酒といってもお酒ではありません。子供も飲める清涼飲料だよ。
酒風呂があるから甘酒風呂があってもいいなあ。お肌によさそうだから甘酒パックや甘酒エステはできないだろうか。そんなおしゃべりをしたのである。今年もまたババヘラに会いそこなったが、横手は当サイトでかつて「納豆の聖地」とされたところである。東京には売っていない納豆がたくさんあるそうだ。いつか行ってみたいな、横手に。
ところで「季節外れの海の家」はテーマとしてスカであった。とってもスカ感が強い。だってメール来ないもん。
あとは、味噌おでんってところでしょうかね。愛知ならではなのは(愛知県 社会人2年生さん)
焼き貝。うまそうです。味噌味ですか? 麺類ではうどんやきしめんは出てきません。ラーメンです。最近では台湾ラーメンやベトコンラーメンも登場しているかもしれませんね。台湾ラーメン、ベトコンラーメンともに激辛です。海からあがって冷えた体に激辛麺を入れて大汗をかき、その汗を海で流す。冷えたらまた激辛麺。これを繰り返すと体内サウナになります。
「関西の海の家にはカレーやラーメンがなくてうどんとおでん」説に異論もしくは変化説。
今から20年以上前の話ですが、カレーはレトルトのやつをアルバイトのにいちゃん、ねえちゃんがご飯の上にかけてました。ラーメンはなんの変哲もないオーソドックスな醤油味でした。海で泳いだ後の身体には温かいということがなによりのご馳走だったので、満足して食べました(生まれも育ちも大阪市内の43歳女さん)
「ひら天」の思い出。
とにかく、プールに行く→泳ぐ→身体が冷える→おでん(ひら天)を食べるという法則が記憶に刷り込まれておりました。卵でも大根でもちくわでもなく、「ひら天」です。なぜか辛子が必要以上についていたような。小学生なのに(和多田さん)
以上で本題に関するメールは終わり。ねっ、スカでしょ? こんだけですから。
もう、やめようかなあ。
そうそう、三林京子さんのご質問に対するお答えをいただいている。
蛇足ですが、私の知る限り北米およびイギリスで日本のサツマイモは存在しません。sweet potato, yam potatoという、やたらとオレンジ色の濃い、水っぽいサツマイモもどきだけです。私に言わせると「日本ではサツマイモを焼いて売っているのに、カナダじゃなぜジャガイモしかないんだ!」ということになります(トロントのやっちゃん)
もとい、その中にいつからか「ジャガバタ屋台」が出ていたのを覚えています。トッピングはバターだけでしたけど。
そして、「大学いも屋台」も出現していました。ただし、最近行っていないので今もあるかどうかはわかりませんが……。
ちなみに「放生会」期間中は、夕ご飯のテーブルに屋台ものがよくのっていたものでした。それが楽しかったですねえ~。祭りに行った気分で(昔福岡@千葉在住さん)
三林さん、いろんな所にジャガバタ屋台は出没しているようですよ。麻布十番祭りあたりが狙い目でしょうか。
福岡・筥崎宮(はこざきぐう)の放生会(ほうじょうや)。博多三大祭りの一つである。毎年9月に行われる。縁起物は「ちゃんぽん」。
といっても食べ物ではない。薄いガラスの円錐の頂点部分から管が伸びている。管から息を吐き込むと底のガラス面が「ちゃん」といい、吸い込むと「ぽん」と鳴る。だからちゃんぽん。彦根に同じものがないことを祈る。
太宰府の「梅が枝餅」。太宰府には福岡の西部支社勤務時代によく行った。小学生だった長男は「うめがえもち」ではなく「お願い餅」だと思っていた。神社の参道で売っているので間違いではないかもしれないと思ったものである。
ここでデスク乱入 あつあつの「梅が枝餅」って食べたことありません。あれって、九州のおみやげとして「持って帰る」ものだと思ってました。久留米の帰りに西鉄で寄って、味わってこようと思います。
太宰府園にも行ってね。昔懐かしいデパートの屋上の遊園地が地べたにある感じ。
もうひとつの隠れたテーマ「ポリタンクの色は一体どうなっておるのか」問題に関するメール。
えっ、VOTEなし? がっくし。
ポリタンクの青、赤について紹介したページがありました。JIS規格では灯油の変色を防ぐために着色は義務付けられているが、色の指定はないそうです。色については関東では「火=赤」(理想的な発想?)、関西では「水=青」(水っけだから青? ストレートすぎるやんか)じゃないかとのことですが、ホントかな?(明渡@奈良県さん)
一応念頭に置いているのは一斗すなわち18リットルのものなので、「青」でVOTEしてください。私はとにかく糸魚川静岡構造線で赤と青が別れるという地図を見てみたいのです。そうなると面白いなあ。
灯油を入れるポリタンク、仙台でも茨城でも赤ですが子供のとき奈良にいたときにはず~っと白でした。大阪や兵庫にも住んでたんですが昔すぎて覚えてません。赤だの青だのは一般人は使っていなかったように記憶してます。色つきのやつはプロが使うもんだと思ってました。仙台で赤のポリタンを使ったときは「素人でも色つき使こてもええんや~」と意味もなく感動したもんです(これも元関西人さん)
東日本が赤というのは間違いなさそう。では西日本はなぜ赤じゃないのか。
赤と青の境界線は太平洋側は浜松、日本海側は富山県の福光あたりらしいです。ボーダーラインがはっきりくっきり明確になったら本当にすごいですね、今回のVOTE。
赤、青、白(透明?)以外の第4の色も出てきたりして(ミルフォードさん)
富山県の福光といえば糸魚川よりずっと西。さあ、どんな結果が出るか。
ミルフォードさんのメールには「北海道の運動会の食べ物がすごいらしい」という文面が含まれていた。何がすごいんだろうか。北海道関係者の方、心当たりはありますか? 昼休みにグラウンドでジンギスカンとか?
焼きまんじゅう問題もあった。
1回目には、無料配布用に用意した焼きまんじゅうがあっという間になくなり、「すわ暴動か!?」という騒ぎだったということなので「群馬県民の焼きまんじゅう愛、恐るべし」とひそかに恐怖いたしました。
はたして愛知県人は「小倉トースト」のために祭りを企画し、無料配布分がなくなったといって暴徒化するほど「小倉トースト」を愛しているだろうか‥?
今週は腱鞘炎で腕が痛いのでこれまで! ばいばいき~ん!!(名古屋駅前のデパガさん)
名古屋の人が地元の食べ物をどれだけ愛しているかはわかりません。しかし、名古屋に寄せる他地域の人々の関心はヒジョーに高いようです。
ええーっと、朝のNHKニュースで「新潟のぽっぽ焼きをやっていたぞー」というメールが矢作ちかぶーさんと矢板さんから届いた。私は見ていない。14日の朝は何していたのかなあ。おおそうじゃった。寝ておった。
歯をも砕く硬いせんべいの謎。
そう、三重県らしい。
あれにはかじりついてはいけません。歯が折れる危険があります(マジ!)。小さく割った物を口の中に入れ、つばで柔らかくなるのを待って食すものです。聞くところによると伊賀の忍者の携帯食とのことです(元京女さん)
これで判明した。人々の歯のことを何とも思わず、中でも私なんかには絶対歯が立たない物件を売っているのは伊賀忍者の末裔であった。でも忍者の携行食と限定されたものではなく、干し飯のような戦場食ではなかったかと思うが、硬い食べ物は嫌いなのでこれ以上考えないことにする。
前回、『壬生義士伝』の主人公、吉村貫一郎は架空の人物であると書いたところ、「実在の人物である。もう一度確認していただきたい」とのご意見をちょうだいした。で、もう一度、盛岡市教育委員会に確認した。答えは「架空の人物です。が、実在の人物と思っていただけたのなら観光行政的にはうれしいような、複雑なような」ということであった。
実在の人物であれ、創作された人物であれ、吉村貫一郎はいい。
では今週はこれで、ばいばいき~ん!!
(特別編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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