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「握らない鮨屋」肴と酒、果てしなく 絶品シメの握りトレンド(濱本亜沙子)

2016/9/12

鮨屋であってまるで鮨屋ではないような鮨屋。鮨屋なのに「握らない鮨屋」と人は呼ぶ。もちろん、握りがでないわけではない。握りまでの道のりがただ果てしなく長いだけだ。

Summary
1.予約は2カ月先まで満席! カウンター8席の広尾「鮨 心白」
2.鮨屋なのに「握らない」!? 季節の食材を贅沢に使ったおまかせコース
3.もちろん握りも超絶品! 鮨の全てにこだわる大将の情熱がこもった集大成

今話題の「握らない鮨屋」

メニューはおまかせコース10,000円(税抜)一本のみで、つまみと握りの両方が相当な品数が供される。つまみは多いときで20種以上。8月は、トウモロコシのすり流しや東松島の牡蠣、シラスや数日寝かせた刺身の数々に、天然鰻の炭焼きなど。全国の旬の素材を活かした料理が次々と出され、緩急をつけた味わいの連続で飽きることがない。

ここが鮨屋であることをすっかり忘れ、料理とともに日本酒がすいすい進む。こだわりの日本酒はなんと、常時100種以上も揃えているというから驚きだ。

銘柄は愛媛「賀儀屋(かぎや)」・香川「凱陣(がいじん)」・京都「まつもと」・秋田「新政(あらまさ)」・佐賀「七田(しちだ)」・神奈川「残草蓬莱(ざるそうほうらい)」など。焼酎やワインなどを置かない代わりに、味わいの幅広さを意識して用意している。

最高の料理とそれらに寄り添う大将厳選の日本酒が揃えば、そこはもう日本酒好きにはたまらない小料理屋と化す。しかしここは単なる小料理屋ではない、日本酒バーでもない。何度も言うが、れっきとした鮨屋だ。

「握らない」のルーツは「野菜もしっかり食べてほしい」

何十種も出される料理を味わうのは「鮨 心白」を楽しむ醍醐味でもあり、また、実はかなりの体力勝負でもある。しかし誰よりも戦っているのは大将・石田大樹氏である。

石田氏は「青山えさき」、広尾「幸せ三昧」、中目黒「酒人あぎ」などで修業を重ね、2014年12月に31歳という若さで広尾「鮨 心白」を独立開業した。その若さゆえ、食材への愛ゆえに、とにかくバイタリティーがすごい。

食材や生産者探しに余念がなく、日本全国に足を運び、生産者の情熱に触れ、愛情こめて作られた最高の食材を仕入れてくる。その愛は酢や塩などの調味料や酒器にまで及ぶ。「神は細部に宿る」とはまさに「鮨 心白」を一言で表すのにふさわしい言葉だ。

仕入れや仕込みはもちろん、営業中も料理に握りにそしてお茶目キャラでの軽快なトークにと、すべて全力でやってのける。

そんな石田氏の現在の「握らない鮨屋」スタイルはどこから生まれたのだろう。

石田氏いわく「従来の鮨屋のちょっとしたつまみや握りだけでは、野菜を食べる機会がほとんどない。野菜もしっかり食べられる料理を出したい」との思いで料理を作っていたところ、どんどん品数が増え、盛りだくさんになっていったという。

やっぱり主役は握り すべてにこだわる熟成鮨

料理と日本酒をたっぷりと味わったあとは、シメの握りだ。

シメと言っても、しっかり10貫は握ってくれる。この時点ですでに胃袋がSOSを発していないように自主規制をかけておくことが必要だ。

山葵は長野県安曇野産、生姜は高知県産の新生姜、海苔は宮城県東松島のものを、巻き物には相澤太氏・軍艦には津田大氏と、細かく使い分けるほどのこだわりようだ。

酢飯に使用する酢は最近変えたばかりで、京都・飯尾醸造の酢を3種ブレンドして使用している。無農薬米を作り、自家の酒蔵で酒を造り、それをお酢にしているという、全国でも類を見ない非常にクオリティーの高い酢と、生産者の情熱に石田氏が惚れ込んだのだ。

選び抜かれた生産者たちの情熱が細部に宿った石田氏の握りには、魂がこもっている。金目鯛やボタン海老、ホッキ貝などの鮮度の高い素材も熟成させ、うまみを存分に引き出すのが熟成鮨の魅力。そのうまみをキリっと引き締める重要な役目を果たしているのが、こだわりの酢をきかせた鮨飯だ。一度はまると虜になる石田氏オリジナルの熟成鮨は、シメではなくやはり鮨屋の主役を飾っている。

予約はFacebookのメッセージでもOK

オープンから1年半、猪突猛進で果てしない進化を続ける「鮨 心白」。カウンター8席と限られた予約枠は、すでに2カ月先まで埋まっているという。半年でも1年でも、予約の先期限はない。

予約は基本的に電話で受け付けているが、石田氏に直接Facebookメッセージを送って予約するという裏ワザがある。たとえ新規の方であっても、メッセージでコンタクトをとることが可能だというから驚きだ。

できることなら毎月でも訪れ、石田氏の止まらない進化を体感していただきたい。

「一期一会ですので、おいしかったはもちろん、楽しかったと思っていただけるような空間を提供していければと思っています」と語る石田氏。「鮨 心白」には、時間を忘れて楽しい時間を堪能する客が連日集う。

石田氏も客も、ここで過ごす時間の魅力を知ってしまっているのだ。

<メニュー>

おまかせコース10,000円(税抜)

鮨 心白
住所:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-37-8 グランデュオ広尾1F
電話番号:03-6721-7880
営業時間:18:00~満足されるまで(最終入店 23:00)
定休日 水曜日、第2・第4火曜日
公式サイト:http://sushi-shinpaku.tokyo/
ぐるなびページ:http://r.gnavi.co.jp/pbj2u60v0000/
*取材時点での情報です

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