カレー&背油チャッチャ 燕三条ダブルご当地ラーメン
B級ご当地グルメの宝庫、新潟を旅する(2)
鍛冶、鎚起銅器(ついきどうき)をルーツに、近年は金属洋食器のまちとして知られる新潟県中央部に位置する燕三条。久留米のとんこつラーメンや浜松のギョウザなど、工場が多いまちには、たいていそこで働く人たちのエネルギー源となる食べ物がある。
燕三条の場合、ラーメン、しかも2種類のご当地ラーメンなのだ。燕市と三条市は隣接していて、ちょうど市境に新幹線の燕三条駅がある。
まずは一般に「燕三条系ラーメン」と呼ばれる、魚介出し、極太麺の醤油ラーメンに大量の背脂を入れたラーメン。燕市が本拠のようだ。
東京にも支店がある「ラーメン処 潤」の本店「酒麺亭潤」を訪れた。
食べたのは、岩のり中華。トッピング無料で、半熟煮卵、温野菜、背脂、マー油(焦がしニンニク油)を追加で入れることができる。迷わず「全部入れ」を注文。たっぷりの岩のり、そして背脂。スープが見えなくなる。
味付けを含め、濃いめのスープには長ネギではなくタマネギのみじん切りが合う。
そんなタマネギに加えライスも食べ放題だった「福来亭白山町店」は逆に背脂控えめ。
ならばとメンマチャーシューメンを頼んだが、出てきた丼は、表面を覆い尽くすチャーシューで麺が全く見えない。
チャーシューの下をのぞくと、これまた一面のメンマ。「エネルギー源」は背脂だけではないようだ。
一方で、三条市を本拠とするのが、三条カレーラーメン。スープがカレー味のものと、カレールーがかかったものがあるそうだが、出合ったのはいずれもルーがけだった。
ジャガイモやニンジン、豚の角切りなどがごろんと入った、家庭風のカレールーがかかっていて、カレーライスのご飯がラーメンに置き換わったような印象だ。
興味深かったのは、燕市にある背脂系の老舗のひとつ「杭州飯店」。背脂たっぷりバージョンなのだが、その燕背脂ラーメンそのままにカレールーをかけたカレーラーメンがあった。
これぞまさに「燕三条ラーメン」なのだろうか?
(渡辺智哉)
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