高知の「1×1」アイスクリン 「高知県人の体液?」
かき氷ほか冷たいモン(1)
読者の皆さんは、このサイトをどこでご覧になっているのだろうか。今週いただいたメールを読むと旅行先からというものが多い。皆さんのことだから、旅先で胃袋フル回転、様々なものを食べまくっておられることと思う。
これは「魚篭山」さんからいただいたメールである。長崎市も行政の責任においてミルクセーキの地域性を発見したのである。私が久留米で食べたミルクセーキはひょっとして長崎仕様だったのだろうか。
このように「これから」のものも含め、全国至る所に個性的かつ方言的食べ物が存在すると思われるので、発見次第教えてね。そして私にパクらせて。
今週から「かき氷」とその他冷たいものを取り上げる。のっけからこんなメール。
ところで、かき氷で個人的に悲しい思い出が……。小学校低学年のころの話(もう30年近く前)ですが、できたばかりのかき氷を食べようとしてふとその器の前を見ると、大きなゴキブリが。私は何を思ったのかそのかき氷の器をそのゴキブリにかぶせてしまうという信じられない行為をしてしまい、大泣き!(ゴキブリはかき氷の入った器でふたをされた状態!)。しかも当時は氷は必要最低限しか作っていなかったので私の分はなし! 母親に「あんたが悪いねん!」って怒られながら家族みんなが食べるかき氷を泣きながらみていました……。以来、ゴキブリに対する異常なまでの殲滅感を持ったのはいうまでもありません(明渡@奈良県さん)
明渡さんはかき氷を食べられず、ゴキブリは突如として冷却地獄に見舞われ、どちらにとっても悲劇でございました。以来、ゴキブリを見ると新聞紙かなんかを丸めた凶器を振り回しながら室内を暴走しておられるようです。
私は成長の過程で運動神経をどっかに置き忘れてきましたが、丸めた新聞紙を持つと別人のようになります。ゴキブリにとってターミネーターみたいなオソロシイ存在に変身するのです。手首のスナップも鮮やかに百発百中、逃がしたことがありません。我が家ではゴキブリが出たときだけ時間限定頼もしいお父さんが出現するのです。
ところで、奈良の方では墓参りのとき朝だろうが昼だろうが夕方だろうが、お構いなしに酒を飲むのですか。それって風習? それとも……。
名古屋方面から高知県民に挑戦状届く。
それは、高知の「1×1」(「いちかけるいち」と読みます)アイス。漫画家西原理恵子氏によると、このアイスは「高知県人の体を流れる体液である」そうである。……味は「ジャンジャン横丁の生ジュースより××のバナナジュース味」(西原氏談)。そんなに×××ものなら体験したいと思いつつ、まだこの世にやり残したこともあり、高知へ行く人間に「食べてきて!」と頼んでも、みんなに断られる‥‥。
理由は「アンタに『食ってみろ』と言われて食った博多駅前地下街の×××××ソフトクリームの情け容赦ない生臭さはいまだに忘れられない!」からだそうだ。「それから、アンタには小樽で××××アイスも食わされた!あれもヒドかった!」と激怒の声また声‥‥。
だってさあ‥、そんなに×××なら、まず人に食べてもらってからでないと。そう思うのが人情ってものじゃあないですか? ということで、野瀬さんよろしくお願いします。なんならデスクでもかまいません。エミー隊員はやめてください(駅前のデパガさん)
当サイト初の伏せ字です。理由は言えません。言ったら伏せ字の意味がありません。前回の「うちの会社のポンコツ君」メールに続いて衝撃のお便りです。パワーアップしています。キケンです。
さて高知のパラソルアイス「1×1=1アイスクリン」。創業大正10年の地元で知らない人がいないという高知名物。秋田のババヘラが話題になったときちらっと顔を出しましたが、正式な商品名では初登場です。「高知県人の体を流れる体液である」というコメントは強烈です。それくらい愛されている証拠でしょう。きっとおいしいに違いありません。いや絶対にうまいはずです。私、一生懸命フォローしております。
高知は子供のころに1度行っただけ。行ってみたいです。問題は親方が出張にしてくれるかどうかです。
取りあえず、高知方面からのご意見を待ちましょう。といってもこのサイトは論争の場ではありませんので、できれば早朝から墓参りに行って酔っ払った勢いで書いたような笑えるものを期待しています。
ここでデスク乱入僕と野瀬がOKでエミー隊員はやめた方がいい×××っていったい何なんだろう。少なくとも我々の中でいちばん強靱な舌を持っているのはエミー隊員のはずだけど……。久々に出社したエミー隊員のあまあーいカステラにコーラという衝撃の朝食に、専属秘書は目を覆い、嘆いておりました。胃腸の強さなら確かに僕かも知れないけど。肝臓は野瀬さん?
避暑から戻ってきたエミー隊員 だから、私の個人情報をいちいちばらさないでください! ちなみに、その日の昼食もコーラとカステラでした。どうでもいい話ですが、我が家では「すき焼きにはコーラよね」が合言葉です。そして赤いコーラしか飲みません。
ところで「ミルサー」って何?
ミルサーに氷たっぷり入れて、ミルク少々入れて、お好きな味を(でも、甘いのにしましょう)入れて、ぐいーんってクラッシュすると、あらまー、さっぱりアイスのできあがり! ジュース類だとなぜか氷がうまくくだけません。なので、よりあっさりしたいときには、果物を凍らせてそれを氷代わりに入れるとうまいです。私が密かにはまってるのは、グレープフルーツ氷にミルク。げげって言わないで作ってみましょう。砂糖ぬきでほろ苦さがえらくうまいですよ。
そうだ、あっさりといえば「アイスクリン」。わが新潟市の下町にも「アイスクリン」を売りにしてる老舗があるんですが、去年食べたらまずかった。カップに入れた状態でもう少しどろどろ。氷が粗くって味が生卵なんですー、そこに砂糖と氷が入っただけって感じの。子どもと「これ、食べると、気持ち悪くなりそうだから、やめよう」ってことで話がつきました。アイス大好きな子どもが納得するお味と申しましょうか。皆さんの地区の「アイスクリン」はいかがでしょうか?(矢作さん)
ミルサーとミキサーの違いがわかりませんが、何だか本当に百人力のようです。最初はミルサーだけの話だと思って読んでいましたが、またまたアイスクリン。しかもおいしかったの反対です。どうもアイスクリンの旗色が悪い。先週食べたババヘラアイスはお世辞ではなくおいしかったのですが。
かき氷にしろアイスクリンにしろ、古い記憶と結びついている方が多いのではないだろうか。冷房もなく扇風機も非力であったあの遠い夏の日、したたる汗をぬぐいながら食べるかき氷やアイスクリンの冷たく甘かったこと。そこには店のおじさんやおばさんがいて、父や母がいて、友達がいて……というノスタルジックな光景につながる。
しかしどういう訳か、私はこの手のノスタルジックな思い出がない。子供のころ、県道を挟んだお向かいさんがアイスクリンを製造していたのだが、そこから流れてくるアンモニアの強烈なにおいしか覚えていないのである。アイスクリンといえばアンモニア。悲しい連想が働く。
でもこの方は違う。
札幌の夏は短く、風月でかき氷がメニューに出ている時期も2カ月もなかったと思うので、かき氷は惜しんで食べました。20度超えたら夏なんですよ。半袖は20度超えたら、プールは水温20度超えたら、です。1度、その年の最終かき氷を8月末に食べたときは、半袖では寒い日だったのだけど、ぶるぶる震えながらも完食しました。北海道の学校は、夏休みは8月の中旬で終わります。
私が食べていたころは浅い四角いガラス皿に20センチ近い氷の山がてんこ盛り。その氷の山の山裾にスプーンが刺さっているという仕様で、まず氷の山を崩さずにスプーンを抜くのが大変でした。失敗すると、山の3/5以上が倒れて飛び散り、悲しい目に遭います。
謎のオプションも多数ありました。かき氷なら金時ミルクソフトがフルオプションかな。みぞれシロップ+小豆+練乳+ソフトクリームです。
焼きそばは大盛りが「ジャンボ」、その上が「ウルトラ」というのですが、「ウルトラ」で3-4人前くらいです。さらにその上が「ウルトラの父」で、一番量が多いのが「ウルトラの母」でした。「ウルトラの父」までは1人で食べた偉人がいる、と聞いてましたが、その後どうなったかしら……今では全道に支店のある一大お好み焼きチェーンになっています(多田伊織さん)
北海道は20度を超すと夏かもしれないが、東京はいつの間にか温帯から亜熱帯に移行してしまった。暑くて上着なんか着ていられない。
しかし今日は上着を持ってきた。今夜、仕事で行くレストランにはドレスコードがあって「ジャケット着用のこと」だから、仕方ないのである。暑いんだから「ステテコも可」という逆ドレスコードの店があってもいいと思うのである。
ありゃー、全然関係ない話になってしまったが、「風月」のかき氷風景がリアルだったので、ほぼ全文掲載した。ウルトラの母の方が父より上というのは、経営者の私生活の反映であろうか。
ここでデスク乱入 銀座の某有名店のカレーは「おおい」の上が「おおもり」、その上が「かまた」といいます。土地柄、京浜東北線に乗って通ってくる人が多いのかなぁ。
大井町→大森→蒲田ね。
新作かき氷も登場している。
ところでちょっとずれますが最近、お金を払って氷を盛った容器を渡されて自分で好きなシロップを好きなだけかけるという形式の屋台を見かけました。シロップの種類も豊富で面白いですね。友達とシロップをミックスして遊んでいました。ちょっとお店の人には迷惑だったかな。
閑話休題。2年前、私がバイトをしていたファーストフードのウェンディーズにこんなものがありました。シロップと星型のパイナップルの入った容器にかき氷を盛る。そして上から下のシロップとは違う味のシロップをかけて出来上がり。上と下で違う味を楽しめる。とか下の方に食べ進んでも味が濃い感じで食べられる。っといったメリットがあったと思います。実際、結構容器が大きいので下の方まで食べ進むと飽きてくるといったことがあるので後者のメリットが大きかったのかな?(田舎っ娘どらさん)
シロップかけ放題? いいですね。かき氷のシロップですが、いまのはどうか知らないけれど、昔は色は違ってもみんな同じ味だったような気がします。ぜーんぶ甘いだけ。それでも何も問題はありませんでした。何しろ冷や麦の中に混入してある赤や黄色や青の数本の「色物」を巡って兄弟で激しいバトルを繰り広げていた時代です。冷や麦も色は違えど味は同じなのにね。
デスク顔面蒼白 やばっ、色つきそうめん、よく覚えてます。いまはもう見かけないですよね。これっておじさんの証拠?
やっと自覚したの? 遅い!
ところで先週、八戸駅構内のJR系のコンビニに行ったら、「九州名物 白くま」(丸永製菓/久留米市)のアイスキャンディーを売っていて、驚きまくり思わず買ってしまいました。これが噂の「白くま」かなとど言いながら食べてみると、ベースはガリガリ感はなくややクリーミーな口当たりで、その中にゴロゴロとパインと桃の果肉たっぷりでけっこうイケる。
ただ、時々登場する小豆甘納豆の甘味が、せっかくのサッパリ感を損なっているような違和感を覚えました(「白くま」ファンの皆さんすみません)。でも、八戸でも普通に売っているってことは、「白くま」が全国制覇する日も近いってこと?(八戸市・アンぱんちさん)
久留米では丸永製菓を「まるながしぇいか」と発音します。久留米に帰ると、ときどき「まるながしぇいかの○○しぇんむ」と飲みます。○○しぇんむはカラオケで「じんしぇいはー」とか「しあわしぇー」と歌います。そうです「白くま」のじぇんこくしぇいはの日は近いのです。
個人的に京都は日本の局地的亜熱帯と考えてきた。あの年の祇園祭の日は暑かったなあ、ほんとに。
カレー味・ご飯味・福神漬味の「カレーアイス」は、ある意味チャブニチュードものですが…野瀬様にはぜひ食べていただきたい逸品?ですね。
関西のお約束「巨大フラッペ」や、面白いサンプル見つけたら写真送りますね~(いけずな京女さん)
そうだ、京都だ。京都は冷たいモノ異常発達地帯だ。カレーアイスもある。これ研究したい。デスク、宇治金時とカレーアイスの取材に京都へ飛んで行かへんか?
デスク身を乗り出し いいっすね、いいっすね。鴨川端で本場の宇治金時でひと涼みなんて。うーん、風情満点。ぞくぞくしちゃう! ……しっかし、親方はともかくエミー秘書にまで「予算はない!」って断言されちゃったからなぁ。
「自腹」という言葉は君の辞書にはないの? 私はないけど。
デスク腹をたたきながら 「自腹?」それには自信があります。ぽんぽん。
エミー隊員 デスクは2回くらいゴルフを我慢すれば京都に行けると思いますよ。
ところてんは終わったのに、それとは関係なく前のテーマ関連のメールが殺到するのが当サイトの特徴的体質的伝統である。私はどうすればいいの? でも次に紹介するメールは看過することができない事実を含んでいる。大阪の黒蜜ところてんの危機!
そこで半日かけて、心太を求めてキタ・ミナミ・アベノを廻ってきました。目指すは甘党の店と和菓子屋の茶寮です。
一軒目は西宮・門戸厄神(もんどやくじん)に本店のある、ホワイティ梅田の「ちもと」です。箸は割り箸、サンプルは箸で挟み上げた酢醤油タイプ。私は黒蜜を頼みましたが、店の方によると黒蜜と酢醤油の注文比率は半々だそうです。これはどこも同じ傾向のようです。
デパ地下のテイクアウト心太の製造元は富山県で、これもショック。ミナミは「もぐらや」ですが、ここは心太がありません。甘党の老舗「天のや」は廃業したので、あの美味しい大阪らしい心太はもう幻です。法善寺「夫婦善哉」は次回に譲ります。(心太、あったかなぁ。)
天王寺は「甘党のまえだ」、みたらし団子が名物ですが、夏は心太もあります。もう一軒、天王寺駅ビルにある「ちさと」。ここもサンプルは関東風で、きざみ海苔がのっている。最後にデパ地下茶寮の福寿堂秀信「季」。錫の器がいかにも涼しげなのですが、海苔を振ってあるうえに辛子まで添えてある……。心太にも飽きていたので夏季限定メニュ-の、黒蜜掛け小倉かき氷を頼みました。上手い具合に角切りの寒天も埋まっていたので、黒蜜の心太も一緒に味わった勘定です。ここの黒蜜は上等でした。寒天もしっかりしていました。
しかし、心太に掛ける黒蜜は、ちょっと饐(す)えたような洗い蜜が似合っています。半端な品質の黒砂糖を使った黒蜜では郷愁をそそりません。
嗚呼、大阪の心太は完全に絶滅危惧種に成り下がっていました(豊下製菓の豊下さん)
さあ、たいへんだ。大阪の黒蜜ところてん保存のためー我々はー、大阪に行ったらー断固としてー不退転の決意をもってー、できるだけー、精神的にー、ええっーとー、勇気を持ってー、黒蜜のーかかったあーところてんをー食べるかどうか分からないがー食べている人がいたらー、応援するぞー。
(特別編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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