「足元をすくう」 誤用の真偽

「足をすくう」「足をすくわれる」という慣用句があります。実際には「足元をすくう」「足元をすくわれる」と使う人も多いようですが、国語辞典にはほとんど載っていません。「足元を~」は誤用なのでしょうか。

国語辞典に載っているのは主に「足をすくう」という表現です。「足元をすくう」は誤用とする根拠として、「すくう」は相撲技の「小またすくい」のように横にはらうことをいい、具体的な体の部分である「足」でなければ、すくえないという点がよくいわれます。確かに「足元」を辞書で引くと「立っている足のあたり」(広辞苑、岩波書店)という意味が多くの辞書に載っています。

一部に異論もあります。三省堂国語辞典編集委員の飯間浩明さんは「足元には足先の意味もあり、『すくう』ことができるうえ、確認できる『足を~』の一番古い用例は『足元を~』の用例と20年ほどの差しかない」と指摘、「足元をすくわれるを誤用とするのは冤罪(えんざい)ではないか」と語ります。

2007年度の「国語に関する世論調査」(文化庁)によると、「足元をすくわれる」(調査上の表記は「足下」)を使う人の割合は74.1%にのぼり、「足をすくわれる」(16.7%)を大きく上回りました。この調査は「足をすくわれるが本来の言い方とされる」ことを前提に質問したものですが、「足元をすくわれる」という表現が現実には浸透しているようです。「足元を~」という表現をめぐる議論が今後、活発になるかもしれません。(緒)

[日経ネットPlus2008年12月19日掲載]