「初頭」 結びつく期間は?

2009/1/9

ことばオンライン

麻生太郎首相らが年頭記者会見を開きました。年頭のことを「2009年初頭」と言う人もいますが、初頭は一般に「△世紀初頭」などかなり長い期間と結びつくことが多い言葉です。「△年初頭」は既に市民権を得た使い方なのでしょうか。

「初頭」を各辞書で調べてみると、「初めのころ。初め」(新潮現代国語辞典第2版、新潮社)など同じような説明がされています。用例については大多数が「二十世紀初頭」をはじめ「世紀」と結びつくケースを挙げています。また、「明治の初頭」を挙げている辞書もあります。例解新国語辞典第7版(三省堂)が補足説明で、「ふつう、年代をあらわすことばのあとに使われる」としているように、初頭は比較的長い期間と結びつく言葉のようです。

記事検索サービス「日経テレコン21」を利用して、過去3年の新聞記事(日本経済新聞のほか他紙も含む)で、初頭がどのように使われたかを調べてみると、やはり「△世紀初頭」「△年代初頭」の2つが多く見られます。「△年初頭」も相当数あったものの、「△月初頭」「△週初頭」の例はわずかでした。

辞書の中には初頭の用例に「本年--」(三省堂国語辞典第6版、三省堂)、「三月--」(新選国語辞典第8版、小学館)を挙げているものもあります。もちろんそう書いても間違いではありませんが、特に「△月初頭」は定着している使い方とはいえないと思います。「3月初頭」は「3月初め」などと言い換えられます。「09年初頭」も、市民権を得つつあるようですが、なるべく「09年初め」などとした方が違和感を持つ人は少ないのではないでしょうか。(金)

[日経ネットPlus2009年1月9日掲載]

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