「有給休暇」 正しい略し方は?

2009/10/2

ことばオンライン

会社を休んでも給料が支払われる「年次有給休暇」。「ゆうきゅうをとって旅行に行きます」などと言うこともあると思います。この場合の「ゆうきゅう」は、漢字で「有給」「有休」の表記が考えられますが、どちらが適切でしょうか。

国語辞典では「有給」の説明に「給料が支払われること/有給休暇の略」と書いてあるものもあれば、「有休」という項目を立てて「有給休暇の略」と説明しているものもあります。新聞記事を見ると、「有休」「有給」はどちらも「有給休暇」の略として使われています。年次有給休暇が日本に導入されたのは戦後すぐのことですが、略し方ははっきりとは決まっていません。「有休」は2つの熟語から1字ずつ取っているので、こちらが正しいという意見がありますが、「携帯電話」を「携帯」「ケータイ」と言うように、最初の熟語だけを取って一般的になっている略語もあります。

そこで、それぞれの略し方の長所と短所を考える必要があります。まず、「有休」は意味を限定して伝えることができるといえます。「有給」には「給料が支払われる」という意味がまずありますが、「有休」には「有給休暇の略」という意味しかありません。表記のブレを防ぐためにも、日本経済新聞では「有休」に統一していく方向です。一方で「有給」を正式な略称とする新聞社もあります。広辞苑は最新版で「有休」を掲載しましたが、辞書の世界で「有休」を載せているのは少数派です。見慣れない言葉だと感じる人や、「給料」の「給」の字が入っていた方がイメージがわくという人もいるでしょう。

「給」か「休」かで迷ってしまうのは、「きゅう」と口で言うときに「給」と「休」の両方の意味を込めているからかもしれません。文章に書き表す場合は、最初は面倒でも「有給休暇」とし、その後「有給」「有休」のどちらかに略すことで、はっきりと意味を伝えることができます。(敦)

[日経ネットPlus2009年10月2日掲載]

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