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「祟」と「崇」 似て非なる字

2009/11/6

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「祟」と「崇」。一見すると同じ字のようですが、よく見てください。前者は「出+示」で、後者は「山+宗」で構成されています。祟は「たたり」で、崇は「あがめうやまう」意味。形は似ているものの、両者は全く異なる字なのです。

来年2月のバンクーバー五輪出場が有力視されるフィギュアスケートの小塚崇彦選手(20)。数年前に他紙で「祟彦」としているのを見て驚いたことがあります。「崇」は「尊敬する。あがめうやまう」(新明解漢和辞典)、「祟」は「タタる。わざわいをする」(同)という意味で、両者は似て非なる字です。名前を1字ずつ入力する際につい「たたり」と打ってしまう人がいるようです。

そもそも「祟」は常用漢字でも人名用漢字でもありません。1948年に施行された戸籍法の「子の名には常用平易な文字を用いなければならない」規定から外れるわけですから、1948年以降に生まれた人ならば、名字はともかく名前については本来存在しないことになります。また、「祟」は現在改定作業が進む常用漢字表の追加候補にも入っていません。

では「祟」を使った名前の人は全くいないのでしょうか? 増補改訂JIS漢字字典(日本規格協会)に「祟宏(タカヒロ)」という人名の用例が載っていました。とすれば、1948年より前に生まれた人の中には「祟」を使った名前の人が少なからずいるということでしょう。「祟」や「崇」を見るたびに、「間違っていないか」と疑ってしまう癖がついてしまいました。(函)

[日経ネットPlus2009年11月6日掲載]

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