旅から生まれた挑戦者(最終回) 絶えず変化し世界へハウステンボス社長 沢田秀雄氏

ハウステンボス(長崎県佐世保市)は2014年に再建計画を5年前倒しで完了した。

累積損失を一掃、佐世保市から10年間の約束で受けていた再生支援交付金も返上しました。投資を再開できるようになり、「観光ビジネス都市」の実現に向けて動きだしました。テーマパークの枠を超えたロボットやエネルギーなどの新事業に取り組みます。

これまでに起業した旅行会社や航空会社では、規制や不合理な商慣習に挑戦してきました。ハウステンボスの挑戦は、世の中を変える試みです。エネルギーや食糧不足といった課題解決に貢献するビジネスモデルを世界に発信していきます。ロボット技術の自社開発にも取り組み、将来は世界有数のロボットカンパニーになるかもしれません。

スマートホテルの概要を発表する沢田秀雄社長(2015年の記者会見)

第1弾として15年に、省人化・省エネのスマートホテル「変なホテル」を開業しました。世界初の試みです。フロント業務などをロボットが担うことで、サービス産業で深刻化する人手不足の解決につなげます。ホテルの名称には「変化し進化し続ける」というメッセージを込め、これからも最先端技術を相次ぎ導入します。16年春に開業する第2期棟では、再生可能エネルギーで作った電力を水素で貯蔵・供給するシステムを国内で初めて実用化します。

一般家庭への電力小売りにも参入します。まずは敷地内にガスエンジン発電機を導入しますが、将来的には大都市圏に30万~100万キロワット級の大型発電所を建設する計画です。将来の食糧不足を見据え、大規模な植物工場の建設も検討しています。

事業領域を世界に広げていく。

13年に結成したハウステンボス歌劇団はこれから世界でも公演していきます。今後は各都市に出張してエンターテインメントを提供するサービスが増えていきます。ハウステンボスも拡張します。施設が面する大村湾にある無人島をこのほど取得し、アトラクションの増設などを検討しています。

「ディズニーランドを超えよう」。社長就任1年目に社員にこう呼びかけました。入場者数を抜くのは難しいですが、5~10年後には利益面で勝てるのではないでしょうか。それだけの潜在力がハウステンボスにあります。

これまでの成果を自己採点すると、まだまだ58点。本当は15年には社長を退きたかったのですが、後継者が育っていません。エイチ・アイ・エス(HIS)グループ全体で幹部を育成する「沢田経営道場」を立ち上げました。世界に通用する経営者が育てば、ハウステンボスでの役目もある程度終わります。

ハウステンボスはこれからも進化し続けます。ひとつの旅が終われば、新しい旅が始まるように、挑戦に終わりはありません。

=この項おわり

[日経産業新聞2016年1月27日付]

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