旅から生まれた挑戦者(16) 「オンリーワン」で1番にハウステンボス社長 沢田秀雄氏

ハウステンボス(長崎県佐世保市)社長に就いて2年目も試行錯誤が続いた。

「また失敗したなあ」。2011年9月に開いた「陶器市」の結果に思わずため息が漏れました。ハウステンボスにほど近い佐賀県有田町で毎年春に開かれる「有田陶器市」は数日間で100万人以上を集めます。ハウステンボスの当時の入場者数は年間百数十万人。有田陶器市の人気にあやかろうとしたのですが、期待したほどの集客効果はあがりませんでした。

なぜ失敗したのか。「有田焼」で有名な有田町の陶器市は、全国的な知名度を誇ります。一方でハウステンボスは有田陶器市の出展者数の3分の1にも満たないほどなのに、入場料を払わないと陶器市にたどり着けませんでした。「お金を払ってまで陶器市に来ませんよ」。社員からも苦言を呈されました。「他人のまね事は絶対にしない」ことを決めました。

ハウステンボスは開業以来、「オランダの街並みを忠実に再現し、現地に行かなくてもオランダの雰囲気を楽しめる」というコンセプトを掲げてきました。しかし、オランダの街並みを本当に知っている人がハウステンボスに何度も足を運ぶでしょうか。

減り続けていた入場者数を回復させるには、いかにしてリピート客を獲得するかにかかっていました。そのためには、ハウステンボスに何度も遊びに行きたくなる魅力が必要でした。日本、アジア、世界を探してもハウステンボスにしかない「オンリーワン」の魅力を生み出し、どのテーマパークにも負けない「ナンバーワン」戦略を進めました。

花をテーマにした年間イベント「花の王国」を11年に立ち上げた。

チューリップ祭など花をテーマにしたイベントが人気

オランダ語で「森の家」という意味のハウステンボスはチューリップ祭が有名でしたが、億単位の経費がかかっていました。多大なコストがかかるのであれば、入場者が感動できるイベントにしなければなりません。「花の王国」の第1弾として、100万本以上のバラで埋め尽くす「100万本のバラ祭」をスタートしました。100万本のバラは国内最大規模です。

「日本一」といえる100万本のバラの花を咲かせられるのは、152万平方メートルという広大な敷地があるからです。この広大な敷地は維持管理にお金がかかるなど、デメリットとされてきました。しかし広大な敷地を生かすことで、「日本一」から「東洋一」さらに「世界一」のイベントを開催できるようになりました。世界一の規模はオンリーワンかつナンバーワンで、誰もまねはできません。「光の王国」も当初は東洋一のイルミネーションとうたっていましたが、現在は世界一の規模にまで育ちました。

入場者数は順調に増え続け、2011年9月期には開業以来、初めてとなる営業黒字を達成しました。自信を失っていた従業員の表情も明るくなってきました。

[日経産業新聞2016年1月25日付]

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