寿司、生牡蠣とビールのペアリング 香りの組み合わせ
料理に合わせてビールを選ぶ(4)
香りの場合「同じ/似た香りで合わせる」方法が効果的です。
寿司に合わせるならホップのきいたビールがいい
ビールからはモルト、ホップ、酵母由来の香りが漂います。モルトの香りは、焼きたてのパンやビスケットやチョコレート、コーヒーのような香りがします。焼きたてのパンのような香りのビールにサンドイッチ、コーヒーのような香りのビールにティラミスといった組み合わせは、ドンピシャです。
また、ラオホやスモークビールは燻製料理にはもちろん、サーモンやチーズやナッツといった"スモークすると美味しい食材"を使った料理に合わせると、口内でスモーク料理が完成するような効果がありとても面白い体験ができます。
ホップの香りは、ハーブやスパイス、柑橘系フルーツのような香りがありますので、ホップのしっかりきいたビールにはチキンの香草焼きなどがよく合います。ホップの爽やかな魅力は、和の香辛料であるシソやショウガ、ワサビや山椒と共通する要素があるので、刺身や寿司に合わせると効果的です。
また、柑橘系の香りがするアメリカンホップをふんだんに使ったアメリカンスタイルIPAは、グレープフルーツを使ったフルーツサラダ、カキフライやフライドチキンのような"レモンを絞ると美味しい料理"と相性抜群です。
なぜイギリス人は生牡蠣にスタウトを合わせるのか
香りのしっかりしたビールをうまく利用すれば、料理のなかの「ちょっと苦手だな」といった香りをマスキングすることもできます。
イギリスやアイルランドでは、生牡蠣にスタウトを合わせるのが定番です。塩味のある牡蠣の味わいで麦芽の甘味が際立つといった理由もありますが、ローストされた麦のこうばしさが生牡蠣の磯臭さを隠してしまうのです。牡蠣に限らず、魚介類には濃色系のビールを合わせることをお勧めします。
肉でも、ジビエやラムなど匂いの強いものには、ロースト香のしっかりした濃色から黒色のビールを合わせると「ちょっと苦手……」という人でも楽しく料理が楽しめます。
このように、味のペアリングに香りのペアリングをプラスすれば、その組み合わせは一段と飛躍していきます。
[日経プレミアシリーズ「ビールはゆっくり飲みなさい」(日本経済新聞出版社)から抜粋]
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