土曜は土用丑の日 ウナギは郷土の味でおいしく食べる
今年の「土用丑(うし)の日」は30日(土)。多くの人々がウナギに舌鼓を打つことだろう。
ウナ丼、ウナ重は、地域によって調理法に微妙な違いがある。東京でも「地元流」を売り物にする店が増えてきた。違いをしっかり頭に入れてお店探しをすれば、なつかしい故郷のウナギを味わうことができるかもしれない。
東日本のウナギかば焼きは、背開きしたウナギを切って串を打ち、蒸してから焼く。一度蒸すため、ウナギの身がふんわり柔らかくなるのが特徴だ。
一方西日本では「地焼き」といって、腹開きにして、切らずに頭も付けたままで蒸さずに焼く。焼き上がったところで切る。しっかりした歯触りを味わえるのが特徴だ。
中には歯触りを柔らげるため「まむし」といって、熱々のご飯の中にウナギをうずめる食べ方もある。
落とした頭は半助と呼ばれ、だしにして豆腐を煮込んで半助豆腐にしたりする。
また、しっぽの切れ端と一緒に「かみしも」として、味を濃くして酒のつまみにしたりする。いずれも、焼き上がってから切るからこそ存在するメニューだ。
三重県の津は伝統的にウナギをよく食べる地域。庶民にも広くウナギが食べられた歴史から、老舗はどこもご飯の盛りがいい。「腹いっぱい」のシアワセだ。
福岡県柳川の名物は「ウナギのせいろ蒸し」。地焼きしたウナギをご飯にのせてからせいろで蒸す。高温の蒸気でウナギの脂が溶け出し、たれとともにごはんを真っ黒にする。この「ウナだれご飯」がなんともおいしい。
2014年6月、ニホンウナギは、絶滅の恐れがある野生生物を指定する「レッドリスト」に登録された。ウナギの枯渇が危惧される中、昨年、近畿大学がウナギ風味のナマズ「近大発なまず」を開発した。
ウナギは、含有量が19.7%と脂が多いのが特徴。そこで、一般には脂質4.9%のナマズを12.9%にまで高め、さらに今年の土用丑の日に向けてエサを改良、15.1%にまで高めたという。
ウナギに取って代わるものではなく、ハレの日にはウナギを、日常は「近大発なまず」を食べるようにしたいという。生産ロットが少ないため、輸送費や加工賃がかさみ、価格的には養殖ウナギと変わらないそうだが、普及が進めば、養殖ウナギの3分の1から4分の1の価格で「ウナギ風味」が楽しめるようになるという。
(渡辺智哉)
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