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日常生活の中で、発言をためらう場面は、たくさんあります。相手の勘違いや明らかな読み間違いなどを耳にしたら、私の場合、「私の錯覚だ」と思いながら、このまま聞き流してもいいものか? 話を続けていいものか? 思案してしまいます。特に、相手が自信満々にそのことを話していたら、間違いを指摘することに躊躇(ちゅうちょ)します。

こういう場面は、あなたにも、覚えがあると思います。

 たとえば、お得意様との面談が明後日に決まっていたとしましょう。あらかじめメールで、当日の商談内容を伝えたところ、約束は明後日であるのに「明日は楽しみにしています」というメールが、得意先から届きました。

おそらく明後日と明日を打ち間違えたのだと思いますが、大切なお得意様ですから、日程を勘違いしていたらと心配になります。

このような時、あなたならばどう対応しますか?

 単なる打ち間違いに過ぎないから、そのままにする人もいるでしょうし、あえて

「明後日、○○様にお会いできますのを楽しみにしております」と「明後日」を強調して返信する人もいるでしょう。

いずれにしても、脳裏をよぎるのは「失礼がないように間違いを正すにはどうしたらいいのか?」ということ。

いろいろな方法が考えられますが、この場合はアポイントの日程に食い違いがあるのですから、後に問題がおこらないように、率直に指摘したほうがいいでしょう。

でも恥をかかせたらいけない、はばかると感じるのであれば、

「明日は終日、外出しております。ご連絡を頂いてもすぐに対応できかねますので、ご了承下さいませ。 明後日、○○様にお会いできますのを、楽しみにしております」

などと、さりげなくお会いするのは明日ではなく「明後日」であると伝えます。

さらに、明後日という表現を11日(水)14時より弊社にてなどと、日時と曜日、面談する場所を明記すれば、より確実に伝わります。

時間と労力のムダづかいを防ぐために
取引先からのメールに明らかな間違いがある、あなたならどうする……=PIXTA

取引先からのメールに明らかな間違いがある、あなたならどうする……=PIXTA

明日会うのか、明後日会うのかが、間違っていたらお互いに時間と労力の無駄になりかねません。正確を期するのならば、一本電話を入れ、

「〇〇の件で日程の確認をさせていただきたいのですが、明後日でよろしかったでしょうか?」と確認するのがいいでしょう。

メールだけで間違いを伝えようとすると、相手が今日は終日外回りで、直帰。あるいは、出張で明日帰ってくるというような場合も考えられますから、誤りを伝えられず相手と行き違いということになりかねません。

「お会いするのは、明後日ですよね」と電話で日程を確認すると、

「ご都合が悪くなりましたか?」と、聞かれることもあります。

そういうシチュエーションになれば、「いただいたメールに『明日』と書いてあったもので、私が連絡ミスをしてしまったのか不安になりまして……」と、伝えればいいのです。

その際のポイントは、明るく話すこと。相手が勘違いしたのではなく、自分がミスをしたかどうかの確認をしたいという雰囲気を作れば、相手も納得します。

メールで伝える「メリットとデメリット」

メールは相手と話さず余計な気を使わないで済みますが、大事なことは電話で連絡した方がいいでしょう。相手が不在でも、電話に出た人に伝言を頼めばほぼ伝達ミスは防げます。

メールをすぐに見るという人もいれば、見ようと思っていたが忘れる人、重要なメールが迷惑メールに入ってしまい、しばらく気づかないという人も多いもの。

メールを相手が見るかどうかは、分かりませんから、伝えたつもりで伝わっていないということもありえます。この点がメールのデメリットなのです。

メールでは変換ミスや単なる打ち間違いは、多いといえますから、「間違いを指摘したら嫌われるのではないか?」と、懸念を抱かなくても大丈夫です。

連絡をすべきか、間違いをそれとなく指摘すべきか? そんなもやもやした気分で時を過ごすよりも、電話なりメールなりで礼を尽くして問い合わせた方がいいでしょう。

「言い出しにくい」を解決するポイント

たとえば、クリーニング屋のタグがついたままのジャケットを、友人が着ていたとしましょう。

単に「クリーニング屋さんのタグがついたままだよ」と伝えても笑って済む方もいますが、恥ずかしく受け取ってしまったり、気にしてしまう人もいます。

そんな場合は会話の中で、

「この間、クリーニングのタグをつけたまま歩いている人がいてね……」といった感じで、目の前で起きていることをエピソードにして伝えましょう。

嘘も方便、相手を思いやる嘘ならば罪はありません。

 すると「もしかして私も……」と思い、こっそりジャケットをチェックしたりします。

もちろん、突然その話を持ち出すのは不自然ですから、会話の流れには注意を払いましょう。言い出すタイミングがつかめないならば、

「話は変わるけれど」「そういえば」など、

会話の主導権をさりげなく自分が握って、伝えるといいでしょう。

また、前記のようなちょっと恥ずかしい間違いを正すときには、

「クリーニング屋から返ってくると、すぐにタグを切るようにしている」とか、

「タグをつけたまま、一日仕事をしたことがあるんだ」

といった調子で、自身の行動や失敗談として話すのもおすすめです。

そして「タグをつけたまま歩いていたらどうする?」

「ありがちな間違いだと思わない?」

などと質問をします。

質問された方は、自分がその状態なのか気になるはずです。

言い出しにくいことを伝える場合には、

●会話にエピソードとして盛り込む。

●自身の失敗談などを交えながら、その状態について質問をする。

 この2つがポイントとなります。

そんな物言いをするなんて、面倒だと感じる方もいらっしゃると思いますが、ささいな事でも、ストレートに伝えてしまうと、恥に感じてしまう人もたくさんいます。

私自身、値札がついたままのスーツを着ていて、

「臼井さんは○万円で販売しているの?」

と指摘されたことがあります。

相手はジョークで教えてくれたのですが、耳まで赤くなるほど恥ずかしくてそれから先、何を会話したのか思い出せないくらいです。

さりげなく相手に間違いに気づいてもらえば、相手の恥ずかしさも和らぎ、笑い話にすることもできます。

 「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は8月10日の予定です。

[2016年7月19日公開のBizCOLLEGEの記事を再構成]

臼井 由妃(うすい・ゆき)
1958年東京生まれ。健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役。理学博士、健康医科学博士、MBA、行政書士、宅地建物取引士、栄養士。33歳で結婚後、病身の夫の後を継ぎ会社経営に携わる。次々にヒット商品を開発し、独自のビジネス手法により通販業界で成功をおさめる。日本テレビ「マネーの虎」に出演。経営者、講演者、経営コンサルタントとして活動する傍ら、難関資格を取得した勉強法も注目される。ビジネス作家としても活躍。著作は50冊を超える。

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