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"出所者・居酒屋"と「歌舞伎町のゲンさん」

「あそこでビール運んどる、ちょっとイケメンおるでしょう? 彼も、ムショに2回ほど入ってたんよ」

場所は新宿歌舞伎町。居酒屋「酒肴(しゅこう)蔵 京丹後屋」。「歌舞伎町のゲンさん」こと玄秀盛さんが、私たちのテーブルにやって来て気さくに声をかけてくれたこの店こそが、玄さんプロデユース、噂の"出所者・居酒屋"だ。

笑顔でキビキビ働く従業員の様子は、どなたも「人気居酒屋店の従業員」にしか見えず、一体誰が「出所者=服役体験者」なのかそうではないのか、まるでわからない。実際には働く人の半分ほどが「出所者」だという。

公益社団法人「日本駆け込み寺」の代表理事として、ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカー被害から、命からがら救いを求めてくる女性の救援活動を続けてきた玄さん。番組をご一緒して以来、その奮闘ぶりに注目していたが、先月「駆け込み寺14周年記念・玄秀盛還暦祝いの会」があると聞き、若いスタッフとお邪魔した。

お店は玄さんの顔の広さそのままに、様々な分野の人で大にぎわい。席に座れない方もいたので早々に失礼することとした(とはいえ、結構飲んだり食べたりしたのだが……)。

後日、玄さんにお招きいただいたお礼の電話を一本入れた。ついでにダメ元で「出所者を、居酒屋の従業員として働けるまでに訓練する、玄さん流<人材育成法を>伺いたいが……」とお願いしたら、即座に「対応可能なスケジュールを3つ」提示してくれた。

このフットワークの良さが多くの悩める人を救えるポイントの1つだと感じた。

出所者の社会復帰、最初は「時間を守れ」

その後訪れた、歌舞伎町にある「日本駆け込み寺」は、「寺」というよりむしろ一流IT企業のオフィスのような明るく清潔感あふれる雰囲気だった。

梶原:「普通の会社でも、学生を一人前の社会人に育てることで苦労しますが、出所者を社会復帰させる指導はさらに難しい気もします。いったい、何から始めるんですか?」

我ながら「紋切り型な質問だなあ」と思いつつ、そう切り出した。

即座に玄さんの答えが返ってきた。

玄さん:「最初は<時間を守れ>ですね」

ちょっと意外だった。

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