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駐車場の「車室」とは?

2010/3/5

隣の車をこすりそうでとめにくい――。都心の駐車場では1台分のスペースが狭くて困ることがありますが、このスペースを「車室」と呼ぶのをご存じですか。部屋の意味の「室」を使っているのに、屋外でも「車室」というのです。

駐車場関係者向けの「駐車場マニュアル」(全日本駐車協会、1993年)には、「駐車スペース(車室)」との表記が見られます。駐車場大手のパーク24や駐車場「三井のリパーク」を運営する三井不動産販売でも「社内外で普通に使っている」そうで、「車室」は関係者の間で使われる業界用語のようです。コインパーキングが街でよく見られるようになり、日本経済新聞でも「奥のとめにくい場所にある車室」などと使われています。「改めて考えると不思議な言葉」と答えた関係者もいますが、なぜ駐車スペースを「車室」と言うようになったのでしょうか。

財団法人の駐車場整備推進機構は「駐車室を略した呼び方なのではないか」と推測します。駐車場需要の増大を受けて出された「駐車場設計・施工指針」(日本道路協会、92年)は個々の駐車スペースを「駐車ます」と表現する一方、地下駐車場などの空間全体を指して「駐車室」「車室」としています。これらが派生して屋外の個々の駐車スペースでも使うようになったとも考えられます。

国語辞典の「車室」には「電車・列車・自動車などの、客が乗る車の中」(三省堂国語辞典)という意味が載っていますが、駐車スペースという意味は見つかりませんでした。まだ一般的な言葉とは言えないですが、徐々に浸透してくるかもしれません。

[日経ネットPlus2010年3月5日掲載]

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