馬刺し、鮮度に味わい たてがみ、レバー、ホルモン焼
グルメのまち 福岡・久留米をゆく(5)
実は久留米、熊本と並ぶ馬刺しどころでもある。久留米に隣接するうきは市と小郡市には、馬肉を加工する食肉センターがある。鮮度は折り紙つきだ。
うきは市に近い、久留米市善導寺町の馬肉専門店を訪れた。
まずは馬刺しの盛り合わせ。
赤身はくせがなく、たてがみの部分の脂身・こうねは濃厚な味わい。関東人には違和感がある九州の甘い醤油だが、馬刺しには甘さがちょうどいい。
馬刺しどころらしいのが、馬刺し納豆。居酒屋のイカ納豆やマグロ納豆のイカやマグロが馬肉になったもの。卵の黄身を加えてよくかき混ぜると、卵と納豆、インパクトの強い味わいがあっさりの馬肉を包み込む。馬肉の歯触りが心地いい。
馬ホルモンが食べられるのも食肉処理場のおかげ。ホルモンの鉄板焼きに、ウスターソースが絶妙だ。
そして馬のレバ刺し。牛肉と違い、馬のレバーは法的に生食が禁じられていない。とはいえ、厳重な管理と抜群の鮮度があってこその刺し身といえる。
筑後川に恵まれた久留米は米作が盛ん。水と米に恵まれているので、九州ながら、日本酒造りが盛んだ。
米だけでなく、二毛作で小麦も作っていて、うどんもよく食べる。筑後うどんだ。
久留米の人はラーメンにしろ、うどんにしろ、麺類を食べる際によくおにぎりなど米を一緒に食べる。これは、筑後うどんが、米を食べるときの汁物の位置づけだったことが影響している。
主食はごはんで、麺はあくまでおかずの位置づけなので、実は筑後うどん、腰が非常に弱いのが特徴だ。お店のメニューには麺を「ふっくら」仕上げたとの表記。讃岐の人が見たら腰を抜かすかもしれない。
その分、天然の昆布、かつお節を使いだしにはこだわる。薄味ながら芯のしっかりした味わいだ。牛肉にわかめ、九州ならではの丸天と具たっぷりなのは「牛若丸うどん」。
細切りのかき揚げではなく、大ぶりに切ったゴボウ天も九州らしい味だ。
(渡辺智哉)
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