ギョーザ食べ歩き パリ、もちっ、じゅわ…味いろいろ
グルメのまち 福岡・久留米をゆく(3)
地元生まれのとんこつラーメン、「日本一」のやきとりと並んで、久留米でぜひ食べておきたいものにギョーザがある。
ラーメンややきとりの「久留米ならでは」の共通性とは正反対で、各店ごとにそれぞれ大きく特徴が異なる。なので「次はあの店」とギョーザの食べ歩きができるのだ。共通するのは、作りだめをしないことぐらいだろうか。人気店はいずれも焼きを待つ合間に皮をこね、あんを包んでいる。
まずは「又兵衛」。最近、再開発に伴い店舗を移転した。
特徴をひとことでいうなら「破れギョーザ」。あんを包む際に、わざとしっかりと皮を閉じない。焼きあがって口に入れると絶妙にほどけて味わいが広がる。それをビールで洗うとまたとない快感になる。
あんは大半が葉物野菜。あっさりしているので、破れギョーザとビールのローテーションがとめどなく繰り返せる。
たれに特徴があるのは「娘娘」。ギョーザは一口大。ちょっと厚手のもちもちとした皮が魅力だ。
テーブルには大量のごまと刻みニラが用意されていて、どっさり入れて食べる。皮の食感を確かめるようにかみしめると、ゴマのコクとニラの香りがわっと広がる。皮と薬味のコラボレーションがまたしてもビールを誘う。
おなじ一口大でも「てん屋」の皮は薄目。それが焼きあがったときに「ぱりっ」「さくっ」の食感を生む。追いかけるようにあんのジューシーなうまみが広がる。
水ギョーザは、少しだけ皮を厚めにしてある。皿の端にある特製の中華醤をつけて食べると、ビールを持つ手が制御不能に陥る。
ほかにも老舗として知られる鉄鍋ギョーザの「五十番」など、久留米に餃子の名店は多い。
紹介したお店はいずれもギョーザが看板料理。メニューにご飯はあっても麺類はない。ラーメンの供ではなく、ビールなど酒との真剣勝負。これが久留米のギョーザだ。
(渡辺智哉)
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