グルメクラブ powered by 大人のレストランガイド

dressing

太麺、噛み応えに酔う 都内で食べる富士吉田うどん 賢人コラム 小野瀬雅生(クレイジーケンバンド リードギタリスト)

2016/6/20

今までの人生の中で、「これはウマイ、こんなにウマイモノがこの世に存在したのか」と、心の底からそう思って感動に打ち震えたことが何度かあります。

一つは以前、横浜そごうの地下2階、ポルタ地下街と連絡している入口の脇にあった『タカノフルーツパーラー』でいただいた桃のパフェ。

Summary
1.タカノフルーツパーラーと有名中華と並ぶ感動メシ
2.独特の噛みごたえの富士吉田うどん
3.亀有駅からさらにバスに乗ってでも行くべき店

人生の感動メシ

桃の時季の終わり頃で「桃の実がちょっと痛み加減のところも入りますが味は美味しいです」と太鼓判を押された桃のパフェ。

食べてみたら、その芳しい香りのイメージとして眼前に地平線まで続くような広大な花畑が出現、直後に味わいの豊かさが花畑の向こうの山頂に雪を冠した大山脈のごとく屹立し、メルヘンと云うにはあまりにも雄大な景色となって私を圧倒した桃のパフェ。今までに食べたどんな果物からも得られなかった多幸感と浮遊感と陶酔と恍惚を与えてくれた桃のパフェ。これぞまさに桃源郷ではないのか桃のパフェ。でもその感動はその時一度きり。

その後毎年のように『タカノフルーツパーラー』に通い桃のパフェを戴いたのですが、そこにあるのはただの桃のパフェ。あの心境を追体験することは叶いませんでした。

夢か幻か。宇宙人に誘拐でもされていたのだろうか。そんなことはないか。

他には横浜中華街の某有名店の飲茶コーナー。

ここで食べたフカヒレ蒸し餃子の美味しさときたら。小さな餃子の中から銀河の大きさをも凌駕するような旨みの大宇宙が出現し、超高速で無限の空間を瞬時に旅したのです。プチプチしたフカヒレやタケノコの歯応えや口当たりが量子力学的に多次元を内包して私を微細な驚異の世界に誘ったのです。1カ月に何度も通っては宇宙旅行をしました。それがある日、ふとその大宇宙や量子力学が感じられなくなりました。

自分の体調が悪いのであろうと、暫くしてからまた食べましたが、結果は同じ。二度と宇宙旅行は叶いませんでした。他の店の同じような蒸し餃子を食べても宇宙どころか星空を眺めることすら出来ない。

後に聞いたところでは、私の感動が消えた時期に、その店の飲茶の担当シェフが代わったのだそうな。なるほどね。

宇宙は遠くなりにけり。

じっと手を見る。

「冷や」で行くか「温」にすべきか? いや両方でしょ?

以前、富士吉田うどんの事を書きました(関連情報参照)。

富士吉田うどんを最初に食べたのがいつだったかは忘れましたが、多分身悶えしてこれはウマイと狂喜乱舞したことでしょう。

私がうどんに求めているのは口当たりとかではなく噛み応えです。異論のある方はむしろ多いと思うのですが、私の個人的嗜好ですから受け付けません。運転免許のない私には富士吉田市はあまりにも遠い。でも、東京都内に見つけたのです。都内と云ってもちょっと遠い亀有に。

亀有駅からバスで数分

日比谷線やら常磐線を乗り継いで着いた亀有駅からバスで数分のところにある『五葵(いつき)』と云うお店です。こちらで富士吉田うどんをいただくことが出来ます。

温、冷ダブルで

温かいうどんか冷たいうどんを選び、トッピングをまた選ぶと云うシステム。亀有なんてそうそう来たことがありません。せっかく来たのですから温かいのも冷たいのも両方お願いします。麺の量は減らすことも増やすことも可能。基本は300グラム。減らすとワカメをサービスしてくれます。

冷たい富士吉田うどん

最初に行ったときには両方ともマイナス100グラムでお願いしました。温冷合わせて400ブラム。ちょっと足りない。次に行った時には両方ともマイナス50グラムに。温冷合わせて500グラム。

温かい富士吉田うどん

大丈夫だ、次からはノーマルで両方頼もう。麺もウマイけれど、ツユもウマイ。温かいのも冷たいのもウマウマウー。

温もしっかり噛み応え

麺が太く一度に1本か2本くらい食べる感じ。啜ると麺が大きく踊ってツユが周囲に飛び散るので、箸で少しずつ口の中にうどんを送り込んでやる感じ。

噛んで噛んで、その固さに酔う

噛んで噛んで、その固さに酔う。幸せこの上ナシ。食べ終わりは突然やって来る。ああ、あと数本で食べ終わってしまう。残念無念。こんなに食べ終わる前に寂寥感を感じる食べ物は他にありません。ああ、食べ終わっちゃった。哀しいなぁ。

卵もいい具合

お会計をしている時に御店主から「温かいのと冷たいのを両方食べる人は富士吉田の方かよほどお好きな方です」と云われ、その好きな方のほうですと答えたのがちょっと恥ずかしかったような嬉しかったような。

富士吉田といえば、馬肉とキャベツの肉うどん

また伺います。美味しかったです! 御馳走様でした!

自家製麺 うどん五葵(イツキ)
住所:〒124-0002 東京都葛飾区西亀有3-20-14
電話番号:03-6321-5797
営業時間:11:30~14:30(14:20L.O.)/17:30~21:00(20:30L.O.)
定休日:第1木曜、第2・第4日曜(連休の場合は通常営業)その際の連休明け日、第3・第5木曜の夜、日曜夜(月曜日連休の際を除く)
公式サイト:http://udon-itsuki.com/
*取材時点での情報です
小野瀬雅生(おのせ・まさお)
クレイジーケンバンド リードギタリスト。1962年横浜生まれ。剛柔併せ持ち変幻自在なギタープレイでクレイジーケンバンドのサウンドを支える「ハマのギター大魔神」。自らのリーダーバンド”小野瀬雅生ショウ”では70年代ロック色の濃いプレイを披露し、リードボーカルも担当。一方、食のエッセイやコラムの連載、小説の執筆など音楽以外の活動も幅広い。高級・B級を問わぬ食べ歩き家でもあり、ブログ「世界の果てで天丼を喰らうの逆襲」では日々様々な食体験を紹介中。
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/onose-masao/
大人のレストランガイド

グルメクラブ 新着記事

ALL CHANNEL