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骨付鳥、ラーメン…かみしめる美味 親鳥こそ元祖鳥肉

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NIKKEI STYLE

『はじめ人間ギャートルズ』みたいに骨付肉に豪快にかぶりついてみたい。そんな夢を叶えてくれる郷土食がある。香川県丸亀市の名物である骨付鳥だ。

四国・香川県にある丸亀市は金刀比羅詣とうちわで栄えた港町。街の居酒屋で誕生した「骨付鳥」は大きな骨付きの鶏肉を釜で蒸し焼きにした料理で「おや」と「ひな」がある。おやは親鳥、ひなはひな鳥のことだ。

手で持ってかぶりつけば、ひな鳥の皮はパリッパリ、なのに肉はやわらかくてジューシー。おや鳥は砂肝のように噛み応えがあり、噛めば噛むほど旨みが出てくる。胡椒が効いた味付けもくせになる。

親鳥とはいったい何か?

現在、国内で市販されている鶏肉のほとんどは食肉用に肥育された肉用若鳥(ひな鳥)であるブロイラーだ。肥育日数約50日程度で出荷され、やわらかく食べやすい肉質が特徴。

一方、親鳥とは食用卵を産むための卵用種の中で、採卵率が落ちたもの。肥育日数が長いため、肉は若鳥よりもかたくなる。また、種鳥は繁殖のために卵を産ませる鳥で、卵を産まなくなったもの。やはり肉はかたい。

宮崎の「鶏モモ炭火焼」には親鳥や種鳥のモモを使うことが多い。炭火で燻された香りと、コリッコリの歯ごたえがたまらない。

親鳥を使う料理といえばほかにもある。福井県に本店がある焼き鳥屋「秋吉」では親鳥が「純けい」と呼ばれ、看板メニューとして人気だ。

親鳥の肉はかたいが、煮込めばいいダシが出る。このダシをいかした料理も多い。

秋田・由利本荘名物の朝ラーメンは、チャーシューではなく親鳥の肉がのる。この肉だけを小鉢に入れた「肉鉢」も人気だ。

山形県の「かほく冷たい肉そば」はダシをとった後の親鳥に味付けし、スライスして具として使う。

岡山県の「笠岡ラーメン」「ひるぜん焼きそば」も同様だ。

1950年代までは日本ではブロイラーの肥育は行われておらず、卵を産まなくなった鶏や雄鶏を食べるのが一般的だった。つまり、親鳥の味の方が昔の鶏の味に近いのだ。本来の鶏の味わいを知りたいなら、一度味わってみてはいかがだろうか。

(日本の旅ライター 吉野りり花)

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