初めてなのに懐かしい味 沼津のあんかけスパゲティ
西伊豆カツオ探訪(番外編)
あんかけスパゲティといえば「なごやめし」を代表するメニューの一つ。しかし、名古屋食文化圏とはちょっと離れた場所に、あんかけスパゲティで知られるまちがある。
静岡県沼津市だ。
伊豆半島の付け根にあり、西伊豆や富士山方面への交通の要衝として、また静岡県東部地域の中心都市として古くから栄えてきた。
そんな沼津のあんかけスパゲティは、名古屋と同様に茹で置き麺が基本。一方、麺の周囲にかけ回すあんは、スパイシーを強調する名古屋とは違い、マイルドな味つけが特徴だ。
「マルコ」の「ボロニア」を例に、食べ方を確認しよう。スパイスを自分好みに調節するのが沼津流だ。
タバスコなどのスパイス類、粉チーズを、まず好きなだけかける。その後、よくかき混ぜ、スパイスとあんを麺によく馴染ませる。後はおいしく食べるだけだ。
そして沼津のあんかけスパゲティーに特徴的なのがランチ。ボリューム満点の盛り合わせメニューが充実している。
「ボルカノ」の「BCランチ」。あんかけスパゲティの背後にはライスが隠れている。
しかも、スパゲティーの具が、Bランチ用の「カルーソ」とCランチ用の「ミラネーゼ」がダブルでトッピングされている。
「カルーソ」はレバー、タマネギ、シイタケの組み合わせ。一方「ミラネーゼ」はウインナー、ハム、タマネギ、ピーマン、シイタケの組み合わせだ。「ダブル炭水化物」でお腹いっぱいになる。
「ボルカノ」「マルコ」は、古くからの商店街がある南口だが、北口にもあんかけスパゲティーの店がある。「伊太楼」だ。
「スペシャル」は赤いウインナーとみじん切りにされたゆで卵がトッピングされている。茹で置きの腰が弱い麺とまっ赤なウインナーの組み合わせは、昭和生まれにとっては、初めて食べても懐かしい味だ。
西伊豆、富士・富士宮方面に出かける際に立ち寄ってみてはいかがだろうか。
(渡辺智哉)
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