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「焼肉」は牛、では「肉じゃが」は? 豚それとも牛?

お肉問題(1)

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NIKKEI STYLE

先日、大阪に出張してきた。JR環状線に桃谷という駅がある。改札を出るとすぐに商店街になっているが、この商店街を3往復した。なぜかというと、びっくりしたからである。なぜびっくりしたかというと、昭和50年代の風景がフリーズドライの凍結乾燥状態で残っていたからである。

「美容院」や「カットハウス」ではなく「パーマ」という看板が現役で働き、「カフェ」などはなく、そこにあるのは「軽食喫茶」の店ばかりなのである。

ソウル在住の匿名希望さんから「夫と結婚してから私がいつも信じられないと思っていた食べ物は『カレースパゲティ』。スパゲティの上にカレーがかかっているんだそうです。夫が中学・高校のころ、学校のそばの喫茶店で見たのだとか。私は見たこともなくて、絶対うそだと思ってました」というメールをいただいたが、そのカレースパゲティが現役で働いている喫茶店も、ここ桃谷商店街で確認した。

そのカレースパゲティの食品サンプルの隣にはスパゲティ・イタリアンがケチャップまみれの赤い姿で並んでいた。

私は昭和50年の入社で初任地は大阪だった。当時そのままの商店街。店のたたずまい。メニューの数々。懐かしかったのである。もし、昭和50年代がどんな雰囲気であったかを知りたい方がおられたら、桃谷を推薦する。

ビニール張りの低い背もたれ付きの椅子に座り、デコラ張りの小さなテーブルでイタリアンを食べ、フルーツパフェを味わうことが可能である。それも1軒や2軒ではない。脇道の店も含めれば、そんな店がずらっと並んでいるのである。商店街の奥の方にはシャッターが降りた店も多くなかなか大変そうではあったが、「なつかし商店街」ということで売り出せば、かえってうけるのではないかと思えるほど面白かった、私には。 

大阪でもうひとつ面白かったのは「立ち食い焼き肉」である。大阪は日本で唯一立って飲み食いする文化が隆盛を誇っている大都市だと思っているのだが、お肉の分野にまでこの文化は広がっているのである。

国立文楽劇場の向かい辺りに古くて有名な店があるのだが、いつもいっぱいで入ったことがない。今回はその店を避け、阪急十三駅近くの店に行ったら、すんなり入れた。詳しくは別の機会に紹介するが、要はカウンターの上に置かれたカンテキ(七輪)に網をのせ、銘々で立ったまま肉やホルモンを焼くスタイルである。個人客ありグループありで、そばの道路をトラックや自転車が走り抜ける中、もうもうと煙をあげつつ肉を焼くのはなかなか楽しいものであった。

ご意見 個人的には「肉ジャガ」は豚肉、「焼肉」は牛肉、「焼き肉」は豚肉。「焼肉」は鉄板や網で文字通り肉を焼いて食べる料理。「焼き肉」は方言? フライパンで肉を野菜と炒めて食べる料理。栃木の定食屋で「焼き肉定食」を頼むと出てくる。関西出身の人は驚くが、関東では時々ある。時々味噌味(栃木在住カズボボさん)

カズボボさんににはまた後でご登場しただきますが、とりあえずこの部分を読んでみて思ったのは東京の肉野菜炒めとどう違うのかという点です。東京の中華屋さんで野菜炒め、あるいは肉野菜炒めを頼むと豚肉と各種野菜を中華鍋やフライパンで炒めたものが出てきます。それを栃木では焼き肉と呼んでいるのでしょうか。

もっとも東京では味噌味の野菜炒めというのはあまりないようですが……。

ご意見 肉といえば牛肉。塊でドンとあるのが理想です。牛肉→国産→但馬牛→塊肉→ヘレ1本(兵庫県出身女性昭和生まれさん)

郷土愛にあふれるお言葉です。とくに「ヒレ」と言わず「ヘレ」というところが関西的でいいですね。東京の店で「ヘレ」と注文すると若い店員なら「?」、年配の人なら「あっ、関西の人だ」と一発でばれるでしょう。

ご意見 高知も西日本のはしくれなので、肉といえば牛です。肉ジャガ、肉うどんなど普通に牛を使います。学生時代、関東地方の豚肉の肉ジャガに違和感を感じたのを覚えています。また「煮込み」も高知では牛筋が普通です。肉まんのこともコンビニ以外では豚まんです(恒石さん)

関東以外の方、関東未経験の方のためにあえて説明させていただきます。関東でいう煮込みとはモツの煮込みのことです。豚の各種モツと大根、ゴボウ、ニンジン、コンニャク、豆腐などを煮て刻みネギを散らすのがスタンダード。醤油味と味噌味があります。東京の居酒屋の定番です。

でも大阪では見たことがありません。いきなり牛筋のどて焼きになります。つまり味噌煮です。関東型煮込みは九州でも見たことがありません。その代わり、博多や久留米ではモツの酢漬けである「酢モツ」があります。

恒石さんが書いておられる「牛筋の煮込み」というのは東京のモツを牛筋に代えたものだとするならば、なんと私昨夜食べました。

神田駅前の居酒屋で「牛筋の煮込み」とメニューにあったので注文したところ牛筋と大根、ニンジン、ゴボウ、ネギを煮込んだものでした。この種の牛筋の煮込みは東京ではごく少数派ではないかと思います。これって高知流なのでしょうか。

私は困っている。新しいテーマの「肉」に関するメールはこんだけで、あとは全部納豆なのである。私の中では納豆は終わったのである。でも皆さんは終わっていないのである。VOTEのとき、わざわざ「糸引き納豆のことですよ」なんて断ったのがいけなかったのだろうか。デスクが砂糖をいれて納豆をかき回し、めちゃめちゃ糸を引かせたのがよくなかったのだろうか。皆さん、本当によく粘る。

どうしようか。納豆ネタ行く? もういい? 決める前に野瀬の頭の中に入っているお肉ネタを少々。

娘が小学生のころ、何を間違ったか家族でホテルの鉄板焼きを食べた。カミサンが魚介コースを選んだ以外、全員ステーキを頼んだのが、娘は切り落として捨てる脂肪のとこを焼いてくれと言ってカリカリに焼いた脂肪4人分を肉本体以上にうまそうに食べていたと。

大阪の八百屋の店先で「人肉100円」という値札を発見し110番しようとしたら「ニンニク100円」のことだとわかり、事件にはならなかったと。

久留米の居酒屋で「ケンタイキフライドチキン」というメニューがあったので、店主夫婦の仲についていろいろ想像したことがあると。

スーパーで安い角切りステーキ肉を売っていたので買ったのはいいが、フライパンで転がしながら焼いているうちにグズグズに崩れ、ミンチ炒めになってしまった。正体はできの悪い集成肉だったと。

私の知人で細長い魚は太刀魚だろうがサヨリだろうが何でも「サンマ」と呼び、それ以外の魚は鯛だろうがイワシだろうが何でも「アジ」と呼ぶ男がいるが、彼は牛肉と豚肉の区別がつかず、どっちも「肉」と言うと。ついでだが、この男は「トイレに行きたい」のことを「オシッコもったい」と言う。茨城出身と。

まあ、そんなところかな。あと強いて書けば、昼飯を何にするか考えるのが面倒臭くて半年間はカレーライス、あとの半年はカツ丼と決めている人の話を聞いたことがあるが、友達でなくて良かったと思ったと。

肉と関係ないが、博多の喫茶店でドライカレーを卵で包み上からカレーソースをかけた「ダブルカレー」という物件を食べたことがある。どこまでいってもカレーの味しかしなくて苦しかったと。カレーライスをおかずにご飯が食べられるかを試すために、社員食堂でカレーライスとライスの食券を出したらおばさんが固まってしまったと。

大阪の大衆食堂でオムライスとカツ丼を同時に食べている人がいた。その人にとって、どっちがおかずなんだろうと考えてしまったと。

居酒屋で隣のテーブルに座っていた4、5人のおじさんグループが駄じゃれをかましながら盛り上がっていた。その中で一番うけていたのが「豆乳って、とうにゅう風にして飲むの?」というやつだったと。

ご意見 天かすってのは大人になるまで使ったことはなく、揚げ玉ばかりでした。学食では、たぬきうどんとかけそばを頼んでたぬきうどんを食べ終えてから、かけそばのそばをたぬきうどんの丼に移して食べていました。カレーうどんでも同様(NYっ子さん)

この場合のたぬきうどんは関西で言うハイカラうどんですね。関西でたぬきは甘く煮た油揚げがのったそばのことです。

NYっ子さんはたぬきうどんを食べて残った揚げ玉を再利用してたぬきそばを作っていたわけですが、関西ではそんな面倒なことは必要ありません。

なにしろ「天かす入れ放題」の店がいっぱいありますから、そこではただうどんとそばを注文し、思いっ切り天かすをぶちまけて、天かすで中が見えないくらいのたぬきうどん・そばを堪能することが可能です。関東と関西の用語が混在していますが。

再びカズボボさんのメール。

ご意見 「揚げ玉」 これは決着がすぐつくでしょう。私が幼少のころにやっていたテレビ番組「ケンちゃんチャコちゃんシリーズ」のそば屋編の主題歌の一部分

「ぼくんち、ぼくんち、きつねとたぬきがいるんだヨ――――
 きつねの中には、油揚げが鬼ごっこ、
 たぬきの中には、揚げ玉がかくれんぼ……」

 音の数なら天かすでも合うのに、あえてたぬきうどんには揚げ玉を入れると、放送局が歌っているわけです。その後「その報道は誤りでした」という報道もありませんでしたので、これは間違いなく揚げ玉でしょう。

NYっ子さんのところで書いたように、揚げ玉をたぬきと呼ぶのは関東風です。ドラマの舞台が東京のおそば屋さんなのでそうなります。でも、これが全国放送なら関西の人は「それ、たぬきとちゃう。素うどんかハイカラや。それと揚げ玉ちゅなこと言わんで素直に天かす言わんかい」ということになったのではないでしょうか。

ちなみに反納豆の旗手、明渡@奈良県さんから「揚げ玉という言葉は、何年か前に発売されたインスタント焼きそばの具材のひとつに入っていたもので初めて知りました。揚げ玉というから何か特別なものかなって思い、買って実物を見たら『天かすやんか』ってつっこみました」という正統関西人の声が届いています。揚げ玉と天かす問題は結構、根が深いのです。

それにしてもカズボボさん、よく歌詞を覚えていましたね。あの番組って、そうとう昔のやつですよ。

その関西は大阪の畑中さんから「関西には隠れ納豆派が結構いる。東京との対抗意識から本当は納豆が好きなのに嫌いな振りをしているだけだ」という趣旨の内部告発が届いている。と、書いたら納豆に行かなくてはならないではないか。たくさんメールをいただいているが、とても全部は紹介できない。ご容赦。

外国の納豆事情、赴任国での納豆伝道の様子などを書いていただいたメールも届いているが、今回はごめんなさいなのである。「もう納豆の話はやめてくれ」という声もそうとう聞こえているので。

「沖縄チャンポン」さんの沖縄のすき焼き探索はまだ続いている。専門的なので詳細は載せられないが、要は「沖縄風すきやきは戦後の大衆食堂料理&やまとぅー沖縄料理と考えております。文献によると石垣の伊良部島で出されたもの(ヤギ肉使用卵なし)があり、那覇市近辺のいくつかの大衆食堂にてメニューにのっているもの(牛肉使用卵あり)が存在します。VOTEでの結果は食材が『につけ』似でしたが、南西諸島全体を俯瞰するならば、沖縄風すきやきは存在すると思いますし、個人の嗜好と断言するには余りにも広範囲に分布しております」ということになる。

沖縄の料理研究家で西大(にしおお)学院院長の西大八重子さんに沖縄のすき焼きについて聞いた。

「琉球料理にはない食べ物です。店のメニューにもあまりありませんね。専門店が1、2軒というところでしょうか。一般的な沖縄のすき焼きは醤油、砂糖、酒で味付けします。関東風です。市販のすき焼きのたれを使う家庭もあります。具材は牛肉、コンニャク、白菜、ホウレン草か春菊、豆腐ですが、それにニンニクの葉を入れるのが沖縄風です」

恐らく沖縄の平均的な家庭で食べられるすき焼きはこんな姿をしているのだろう。それとは別に、目玉焼きをのせた皿盛りすき焼きという食堂メニューがあり、ヤギをつかったものも限定的に存在するというモザイク状態になっているのではないだろうか。

しかし、と私は思う。沖縄の食べ物は観光的に琉球料理にばかり目が向き、家庭料理について本土に住む私はちっとも知らないのである。チャンプルーやラフティや沖縄そばあたりで止まってしまって、驚愕の沖縄チャンポン、今回のすき焼きなどについては今まで全く知識がなかった。福島のテレジアさんのメールにある沖縄ではポピュラーな「ポルトギースソーセージ」もチンプンカンプンなのである。

お二人とも沖縄探索を続け、どんどん情報を送ってくださればと思う。それと沖縄の方からのメールをお待ちします。

嵐の予感の「酢味噌そうめん」。浜松の瀬下さんから追伸メールが届いた。この酢味噌そうめんは、普通のそうめんに飽きたころ目先というか舌先を変えるために食べるらしい。「ミョウガを薄くスライスしてさっと水にさらし薬味にする」のだそうだ。「さらっとしただし汁よりずっと合うんです。口に入れればシャリっと晩夏の香りと絶妙に合うのが不思議。そうなるとそうめんも別物です」とある。うまいかも。

最後にカラスねた。

ご意見 久留米の焼き鳥の事ですが……。昔、久留米の動物園にはカラスが檻の中に入っていて、またそれがよく慣れていたという話を聞きました。焼き鳥には関係ありませんが(今回は匿名さん)

確かに関係ないですが、何かおかしい。クジャクだけでは寂しいと思ったんでしょうかねえ。ところで私の家の周りはカラスだらけ。先日、ごみを出しに行ったら(私の仕事です)、でかいカラスと目が合いました。ガン飛ばされました。怖かったです。

(特別編集委員 野瀬泰申)

[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]

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