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「危ない会社こそ好機」再建王のリーダー論 日産ゴーン氏、三菱自との資本業務提携を決断

2016/5/12

日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は、燃費データの改ざんが発覚した三菱自動車と資本業務提携し、再建に乗り出す。再建王ゴーン氏は「危ない会社こそ好機」というのが信条。昨年秋にゴーン氏が講師役を務めた特別講座の内容を再公開します。

グローバル人材の育成に力を入れるゴーン氏は日産以外の大手企業の幹部候補も集めた研修を行っています。昨年10月、早稲田大学ビジネススクールの池上重輔准教授が代表質問役となり、ゴーン氏が答える形で展開した特別講義では、日産再生に取り組んだ当時をこう振り返りました。

カルロス・ゴーン氏
1999年の日産自動車は深刻な危機に陥っていた。危機的状況にあると、どのような優先順位でそこから脱却するかにある。10年後ではない。いま火事が起きている。どうやってこの状況をコントロールして脱出するかを考える。当時、どうやってこの火事を抑えるか、源はどこか、どうやって家を建て直すかを考えた。

15年後、20年後どうするかは考えていなかった。基本的な健全な会社に戻すこと。明確なビジョンはしっかりあったわけではない。本当に大丈夫か?ただ、それだけだ。99年3月に来日し、6月に株主総会、10月に「リバイバルプラン」を発表した。そこで私はコミットした。未達の場合は辞任すると。

前の経営者もトライしたが成功しなかった。危機的状況では明日を考えない。いまどうするか。その後、緊急事態がおわって、明日を思う。


リーダーに戦略を聞く「ゴーン先生『経営者にスーパーマンはいない』」

さらに、ミドル層のチームが日産の再生を主導したと説き、ミドルにとって危機の会社が素晴らしいチャンスだと強調します。

危機的な状況下でミドルマネジャーができることは多い。どの企業も成長、利益、品質、コストを気にする。リーダーがどんなに悪くても、これに敏感でないといけない。ミドルはチームの中で、基本的な仕事に加え、これらにどう貢献できるか考える。小さい取り組みでも。過小評価してはいけない。

変革する際にはこういった人材が必要となる。日産リバイバルプランでは(組織横断の)クロスファンクショナルチームをつくった。ミドル中心に編成した。ミドルは現実を分かっていた。だから1つ1つ解を導き出すことができた。

ミドルにとって危機の会社は素晴らしいチャンスだ。好調な会社だと違いを出せないが、苦しいからこそ、違いを生み出して、目立つことができる。だからこそ厳しい企業に入るべきだ。自分の力を示すチャンスだ。確かにリスクはあるが、そこでワクワクすべきだ。

99年当時、組織横断の再生計画策定チームに参加した多くの人間はミドルだったが、いまはリーダーになっている。


リーダーに戦略を聞く「ゴーン先生『危ない会社こそ好機だ』」
志賀俊之氏

日産再生を語る上で欠かせないのがゴーン氏の“女房役”を務め、現在は産業革新機構の会長兼最高経営責任者(CEO)を兼務する志賀俊之副会長です。志賀氏は日本人と外国人のリーダーシップの違いについて、特別講座とは別の機会のインタビューでこう語っています。

外国人が目いっぱいリスクをとって大きな仕事に取り組もうとするのは、常に自らのキャリアのトラックレコードを塗り替えようと意識するからだ。

同じ会社で最後まで勤め上げることは考えず、成果をひっさげて次のキャリアにつなげていく。これが成果の差につながるところで、日本人がリーダーシップを発揮しにくい理由でもある。

「大過なく出世できれば」という考え方はもはや通用しない。


リーダーのマネジメント論「今どき『大過なく過ごす』なんて通じない」

今後の日産による三菱自の立て直し支援では、こうしたトップの考え方が色濃く反映されることになるかもしれません。

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