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酢の物 生魚の美味、調理法で追求 刺身か和え物か…

京都「木乃婦」3代目若主人 高橋拓児

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NIKKEI STYLE

酢の物の生みの親は、実は造りです。ご存じのように、造りは基本的に醤油と山葵で食しますが、一方酢の物は酢をかけて混ぜ合わせ、山葵や生姜、木の芽なども使います。また、酢ではなく、何か別のソースをかけて混ぜ合わせる食べ物を和え物と呼び、これもまた酢の物の兄弟、造りの親戚とも呼べるものです。造り、酢の物、和え物を日本料理では別名「向付」とも言います。まずはその血縁関係をご説明しましょう。

造り・酢の物・和え物は親戚同士

一般的に酢の物とは、魚介類や野菜、果物等を細く(あるいは薄く)切ったものを、酢を基本にした調味料で和えた料理のことです。大根とにんじんを細く切って甘酢に漬けたものは特に紅白膾と呼ばれ、正月の縁起物としても食されています。これは繊切りにされた白い大根と橙色のにんじんを、縁起がよいとされる紅白の水引に見立てたものです。

その他、蛸ときゅうりを酢・醤油・砂糖等で合わせた酢の物、烏賊と分葱のてっぱい(芥子酢みそ和え)など、皆さんもご存じではないかと思います。基本的には、魚と野菜、もしくは野菜同士の、酢を使った和え物のことです。

私たち料理人は、酢の物を総称して「膾もの」と言います。酢の物のルーツを探るため、この「膾」について考えてみましょう。この漢字はどう見ても中国から来たものですね。その通り、この「膾」、発祥は中国なのです。

古代中国では、もともと「膾」は薄く切った生肉のことを指していました。材料には、魚、牛肉、羊肉等の肉類がありましたが、秦漢時代以降、牛肉、羊肉の薄切りは徐々に使われなくなり、「膾」はほとんど魚肉の薄切りを指す言葉となります。さらに「鱠」という文字が派生して生まれ、特に魚の薄切りを指すようになったのです。

魚の薄切りって? 造り、刺身? そうです! 刺身は中国でも生まれていたことになります。

刺身の流行と"たれ"の登場─造りと同時期に誕生した酢の物・和え物

刺身が中国各地で流行するにつれて、その調味料や調理法もどんどん改善されていきました。南北朝時代にいたると、刺身だれの一種である「金齏玉膾」が登場します。これはにんにく、生姜、みかん、梅干し、とうもろこし、炊いた粳米、塩、みその8種の材料から作られるもので、中国古代の刺身文化の中で頻繁に称えられました。梅干しという酸味のものが入っているので、刺身の上から「金齏玉膾」をかければ酢の物となります。

たれのほか、さまざまな生野菜と和える食べ方もあったと言われています。これは刺身に和え衣をつけて食べるという感覚かと思いますが、これは和え物に連なっていくと考えることができます。

ここにまさに、造りから派生した酢の物・和え物の原型を見ることができます。この中国の刺身の食べ方は、唐の時代に日本に伝わってきました。この頃の日本は、中国の先進的な文化を学ぶために中国へ遣隋使や遣唐使を盛んに送っていました。魚膾はこの中で、中国の食文化の一部として日本に伝わってきたのです。

しかし、元・明代以降、刺身は中国の食文化の主流からは消えていき、清末にはすっかり廃れてしまいました。中国の王朝はすべて内陸に位置したため、刺身に鯉等の淡水魚を使わざるを得ませんでした。淡水魚では寄生虫病が発生しやすく、このため魚膾も廃れていったのではないかと考えられています。

その点日本は、造りの章でも説明したように、生食が可能な海の魚が豊富に存在しました。このため中国の影響を受けた日本の刺身文化がさまざまな方向に発展していき、それぞれの魚に応じて、ある時は造り、またある時は酢の物、和え物と変化していったのだと思います。こうして、以降は日本独自の進化を遂げていったのです。

[「10品でわかる日本料理」(日本経済新聞出版社)から抜粋]

高橋拓児(たかはし・たくじ)

1968年京都生まれ。大学卒業後5年間「東京吉兆」での修業の後、実家である京都の老舗料理店「木乃婦(きのぶ)」の3代目若主人に。シニアソムリエ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。

木乃婦HP=http://www.kinobu.co.jp/

10品でわかる日本料理

著者 : 高橋拓児
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,620円 (税込み)

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