恐竜はなぜ巨大になれた 呼吸のしくみなどに理由

恐竜はなぜあんなに巨大になれたの?

スーちゃん 科学館の恐竜(きょうりゅう)展を見に行ったよ。ティラノサウルスもトリケラトプスもみんな大きいよね。特にくびが長い草食恐竜の仲間は20メートルを超えていたって。なんで、そんなに巨大になれたのかな。

呼吸のしくみなどいくつか理由があるよ

森羅万象博士より 例えば、肉食のティラノサウルスは頭からしっぽまでで10メートルを超えた。くびと尾っぽが長い大型草食恐竜のブラキオサウルスも25メートルくらいあった。中でも、アルゼンチノサウルスという恐竜は頭から尾の先まで約30メートルで、キリン6頭分の体長だった。

恐竜が巨大化できた理由はいくつかある。まず、成長のスピードがものすごく速かったことだ。体長が20~30メートルあった巨大な草食恐竜でも、卵からかえったばかりのときは体長50センチメートル、体重10キログラムもない。それが最も速いときは1日に体重が10キログラムくらい増えたそうだ。ティラノサウルスもピークのときは1年で700キログラム以上も体重が増えたといわれるよ。軽自動車1台分増えたことになる。

恐竜は爬虫(はちゅう)類や鳥のように卵からかえる。成長が速い分、卵が小さくなる。例えば、巨大草食恐竜の卵の重さはだいたいダチョウの卵の2~3倍しかない。小さい卵なら多くの栄養分を使わずに産める。あまった栄養分を体の成長に使えた。

特に、酸素を効率よく取り込む呼吸の仕組みが大きかったといわれるよ。動物が生きていくには酸素が欠かせず、体が巨大になるほど大量に必要になる。哺乳(ほにゅう)類や爬虫類は肺で呼吸する。大型化した恐竜には、肺に「気のう」という袋(ふくろ)がついていた。

哺乳類や爬虫類の肺は息を吸って空気を取り込み、血液に酸素を取り込んではく。ただ、吸うときとはくときで通り道が同じなので、吸った空気とはく空気が混ざる。

恐竜は息を吸うとき、気のうに空気を取り込みながら、つながっている肺にも空気を送る。はくときにも、気のうにたくわえた空気を肺に送る。いつも肺を流れる空気は一方通行なので、吸った空気とはく空気が混ざらない。これで、巨大な体に十分な酸素を血液に取り込むことができたといわれるよ。

特に、くびと尾が長い大型草食恐竜には、巨大化した理由がもうひとつある。エサの植物をかまずに丸のみしていたことだ。かんで食べるとあごの骨や筋肉が発達して頭の部分が重くなり、くびを長くすることができない。体長が十数メートルあっても頭の部分は1メートルにも満たなかったようだ。くびが長いので、同じ場所にとどまったまま高い木の葉などを食べられた。

巨大な体を保つために必要なエサが豊富にあったことも大きい。恐竜が栄えたころは植物が育つのに必要な二酸化炭素(CO2)が現在の6倍もあり、植物が育ちやすかった。エサとなる植物がたくさん生いしげっていたから、エサに困らなかった。

草食恐竜は巨大になることで、肉食恐竜からおそわれにくくなった。大型草食恐竜の大人には、こわい肉食恐竜も手を出せない。対抗するために肉食恐竜も大型化するように進化したといわれる。

体長が30メートルを大きく超えるような恐竜の化石は見つかっていない。このくらいが大きさの限界と考える研究者が多いよ。

■恐竜は鳥に進化したよ

博士からひとこと 恐竜(きょうりゅう)はおよそ6500万年前に絶滅(ぜつめつ)した。でも、一部の羽毛がはえていた恐竜の中から鳥に進化したと考えられている。恐竜にあった「気のう」という呼吸の仕組みは鳥類も持っている。渡り鳥がヒマラヤ山脈のような高い山々をこえられるのは、気のうのおかげで、酸素がうすい高い空でも呼吸ができるからだ。長時間飛び続けられるのも気のうがあるためだ。
恐竜時代にいた最も原始的な鳥には、くちばしに歯がはえていたり、翼(つばさ)には指がついていたりした。鳥類は恐竜から進化するうちに歯がなくなり、翼から指が消えたと考えられているよ。

(取材協力=林昭次・大阪市立自然史博物館学芸員)

[日経プラスワン2016年4月30日付]