色鮮やかな魚にもずく天、ソーキそば…牧志市場を歩く
沖縄・那覇で食の日常を探る(1)
独自の文化を持つ沖縄の食。その魅力を探るべく、那覇市民の台所・第一牧志公設市場を訪ねた。
市場のルーツは、戦後の闇市。周辺はアーケード街になっていて、食料品や雑貨、土産物を扱う店、飲食店などがひしめき合う。
市場の中に入ると目に飛び込んでくるのは沖縄らしい食材の数々だ。
南国らしく色鮮やかな魚介が並ぶ。そのカラフルさは観賞魚かと見まごうほどだ。
エビもその身に鮮やかな模様を描く。沖縄の太陽の光が差し込む青い海では、この色鮮やかさこそが「保護色」なのだろう。
かまぼこの色鮮やかさにも目を見張った。食紅で紅白を描くかまぼこは東京にもあるが、目の覚めるような「真っ赤」は、やはり沖縄ならでは。
そして沖縄といえば豚肉。豚足や豚の顔・チラガーが並ぶ風景は市場の名物ともいえる。ソーキそばに使われるあばら肉も山積みになっている。
バラ肉を塩漬けにした塩豚。その量が圧巻だ。
沖縄そばの麺も山積みで売られている。
市場の2階は食堂街になっていて、1階で買った食材を持ち込んで、刺身などに調理してもらうこともできる。さすがにひとりでは、魚1尾をまるまる食べきることはできないので、刺身の盛り合わせ、そしててんぷらを注文。オリオンの生ビールとともにいただく。
沖縄のてんぷらは個性的。ちょっと衣が厚めでフリッターのよう。てんぷらだねも、特産のもずくに島らっきょう。そして紅ショウガのかき揚げが盛り合わせのデフォルトだ。
島ラッキョウのてんぷらは塩で。ビールによく合う。
もずくのてんぷらはウスターソースで。もずくといえば三杯酢で食べるものと思っている関東人の舌には新鮮な驚きだ。
市場を出た路地には魅惑の立ち飲み屋街が広がる。市場2階ではなく、ここで一杯飲るべきだったかな、とちょっぴり後悔。すると、張り紙の下に「350円」が透けて見える「ソーキそば専門390円」の看板が目に飛び込んできた。
沖縄の人にとって、ソーキそばは、東京の駅の立ち食いソバのような感覚なのだろうか。シメにスープが真っ赤になるほどの色鮮やかな紅ショウガをのせてソーキそばを食べると、このうえないほどの満腹になった。
(渡辺智哉)
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