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デンマークで話題 「5つ星サステナブルホテル」開業

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SDGs(持続可能な開発目標)の達成度世界ランキングで毎年上位にランクインし続けているデンマーク。首都コペンハーゲンは、欧州でもそのサステナブルな取り組みが注目されている。そこで今回、実際に体験したサステナブルな暮らしや、2021年9月にオープンした話題のサステナブルホテル「NH Collection Copenhagen」を紹介する。

サステナブルな観光を推進

コペンハーゲンにあるDMO(観光地経営組織)のワンダフルコペンハーゲンは、2018年に21年までのサステナブルな観光戦略「Turism for Good」を打ち出したが、多くの計画は新型コロナウイルス禍によって中断されてしまった。現在、新たに30年までの戦略を発表している。そこでワンダフルコペンハーゲンのオフィスを訪ね、話を聞いた。

ワンダフルコペンハーゲンの運営基準は、国連世界観光機関(UNWTO)によって定義された重点事項に基づいている。それは持続可能性を含んだ環境的、社会的、経済的側面を考慮するということ。ワンダフルコペンハーゲンは観光客に街を楽しんでもらうだけでなく、サステナブルな体験を通して環境への関心を高めてもらうことも推進している。

例えば市内の移動には車や公共交通機関ではなく、自転車の利用を促している。確かにコペンハーゲンに来てまず驚いたのが、自転車を利用する人の多さだ。道路には自転車専用レーンや信号が設けられており、歩行者や車を気にすることなく町中を走行できる。自転車はスマートフォンのアプリを活用したシェアバイクの他、サイクルショプで誰でも簡単に借りられる。電車への持ち込みやタクシーに積むことも可能で、移動先へも気軽に運べる。

欧州にある他の都市で流行している電動スクーターは、かつてコペンハーゲンでも人気だったが、乗り捨てによって街の景観が乱れたため、一度廃止となった。現在は利用を再開しているが、指定されたパーキングに駐車することが義務付けられており、使い勝手が悪くなったのか利用者は激減している。

コペンハーゲンの市内には網の目のように運河が走っている。地元の人たちにとってこの運河は生活に欠かせない存在で、物資の運搬や移動などに使っている。運河を走る公共交通機関のハーバーバスは電気エンジンで動き、二酸化炭素(CO2)や資源コストの削減に寄与している。運河の水は15年ほど前はひどく汚れていた。そこで市は廃水処理プラントの拡張と下水道システムの改善に投資し、さらに貯水池を設けて雨水の放流を減らした。これにより、現在は市民の身近なプールとして泳げるほど水質は改善されている。

大きなイベントから小さなお店まで、さまざまな規模でサステナブルなアクションに触れられる場所やアクティビティーがコペンハーゲン市内にはある。その情報を地図上に表示してくれる便利なアプリが「Planet Copenhagen」だ。アプリを起動すると、サステナブルに関連した文化施設や店舗、レストランなどの場所が地図上に表示される。アイコンをタップすればそれらの情報を閲覧できる。これを利用すれば、コペンハーゲンをよく知らない観光客でも手軽にさまざまなアクティビティーにアクセス可能だ。

最も警戒するオーバーツーリズム

ワンダフルコペンハーゲンが目指すのは、言うまでもなく観光自体がサステナブルを達成する手段になっているという点。そんな彼らの観光戦略や企画において欠かせないのは、住民との対話である。

ワンダフルコペンハーゲンでは、分析した観光客の傾向や状況を、施設やお店などにフィードバックし、的確なアドバイスや情報を提供している。また住民と密にコミュニケーションを図ることで、彼らがオーバーツーリズムによるストレスを感じていないかをチェックするよう心がけている。観光公害によって、住民の生活に弊害が生じたスペインのバルセロナやオランダのアムステルダムなどの例があるからだ。

19年にオーバーツーリズムに関する聞き取りをしたところ、一部の地域でストレスを感じている住民がいたという。それを受け、観光客をその区域に集中させないよう動線をコントロールする対策が取られた。オーバーツーリズムは環境汚染や治安の悪化、文化の変容まで引き起こす恐れがあるため、特に注意が必要だという。

話題の5つ星サステナブルホテルとは

コペンハーゲン中心部の運河沿いに、21年9月にオープンした5つ星ホテルがNH Collection Copenhagenである。スペインに本拠地を構えるNHホテルグループは、世界各地で約400もの施設を運営する大手ホテルチェーン。同社はそれぞれの街の特徴に合った建物やコンセプトを設けていることでも知られており、NH Collection Copenhagenのテーマは「サステナブル」だ。

ホテルの建物は、もともと1960年代に建てられたBurmeister&Wain社の造船所で、その後は銀行として使われていたものをリノベーションした。建物を取り壊して再建築するほうがコストはかからないが、サステナブルの観点からリノベーションという方法を取った。近年このホテルがあるハーバー周辺ではユニークで近代的な建築が次々と建設されており、急変する景観に眉をひそめるコペンハーゲン市民も少なくないという。今回のリノベーションには、この地域のアイコン的な建物を生かすことで、地元の人々にも親しみを持ってもらおうとの狙いもある。

コロナ禍の最中にオープンしたこともあり、NH Collection Copenhagenでは宿泊者に対してワクチン2回摂取済みの証明書、もしくはPCR検査陰性の証明書の提示を求めている。それらが用意できない宿泊者に対しては、朝食などをルームサービスに切り替えてもらうようお願いしている。

ベルボーイのクリスさんにホテル内を案内してもらった。上階に行く際、開いたエレベーターは真っ暗で、中へ入ると自動的に明かりが点灯する。エレベーターや廊下は人感センサーによって自動で点灯・消灯するようになっており、電気を節約しているそうだ。

各部屋の机や椅子、ベッドなどの家具はリサイクル素材で作られている。部屋はカードキーで、日本でもおなじみの室内に設置してあるカードキーホルダーに差し込まなければ電気がつかない。ゴミ箱は分別式で、燃えるゴミとリサイクルとに分かれている。

ホテルに滞在するゲストの平均宿泊数は約3日だそうだが、連泊の際にシーツやタオルの交換を省いてくれるゲストには、好きなドリンクを無料で提供している。また自転車のレンタルを行っている他、電気自動車で来館したゲストには駐車場代を無料にしている。

運河の水で館内冷却、雨水を吸収する屋上緑化

ホテルの部屋からは美しいコペンハーゲンの街並みと運河の景色が楽しめる。実は運河がホテルに寄与しているのはこの景観だけではない。ホテルの建物内には水管が設置されており、運河の水が建物全体を通るように設計されている。これにより建物全体から生じる熱を冷却するのだ。部屋にエアコンはないが、不快にならない温度を保つことができるという。

またこのホテルにはプールがない。プールを設置すると温水を保つために大きなエネルギーを消費するからだ。そこで、夏場はハーバーのあちこちに設置されているBathing Zone(遊泳区域)での楽しみ方を宿泊客に提案しているとのこと。

屋上にはびっしりと植物が植えられている。その理由は主に3つ。1つは建物の修景。2つ目は都市部におけるバイオダイバーシティーの保全で、これはコペンハーゲン市全体で推進していることの1つ。ここ数年、道路中央の植物が植生している区域の草刈りが禁止され、ビルの屋上などで養蜂を行うなど、バイオダイバーシティーへの取り組みが増えている。3つ目は屋上緑化による断熱効果と雨水の吸収である。最近の気候変動により、コペンハーゲンの降水量は増加傾向にある。防水槽の劣化防止や雨水による建物劣化を防ぐのに効果的なのだそうだ。

コペンハーゲン市が抱える課題

このように市を挙げてサステナブルを推進しているコペンハーゲンだが、実際に滞在した体験から課題も見えてきた。その1つが自転車に乗る際の交通ルールの把握だ。自転車のレンタルは容易だが、右折、左折、停車時に出さなければならない合図など幾つかルールが設けられている。しかし、外国人の観光客がそれらを把握できる公式の案内などがない。道路標識もすべてデンマーク語で書かれているため、解読が難しい。

21年11月に地方選挙が行われたが、大きな論点となったのが車の増加だ。近年、地方から都市部へ移住する人が増加傾向にある上、コロナ禍で車を所有する人も増え、市内の駐車場が不足している。駐車スペースを見つけるのにかなり時間を要するときもあり、これでは温暖化ガスの排出量削減はままならない。車利用を加速させる背景には、電車などの公共交通機関があまりあてにならないという問題がある。電車は頻繁に遅延したり、運行休止になったりするため、時間に拘束された日々を送る市民にとっては使い勝手が悪い。結果マイカーに頼らざるを得ないというわけだ。

コペンハーゲンは23年の世界建築都市に選ばれた。世界中から多くの人々が訪れると思われるこの年には、さまざまなイベントが予定されている。サステナブルも一貫したキーワードになるだろう。コペンハーゲンがどのように課題を克服し、持続可能な都市の在り方を見せてくれるのか楽しみだ。

(文・写真 モデル・定住旅行家 ERIKO、写真提供 NH Collection Copenhagen)

[日経クロストレンド 2022年1月21日の記事を再構成]

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