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日経 X woman
『多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』では、なぜ組織に多様性が必要なのか? について、世界の最新情報やデータを元に著者・羽生祥子が解説します。特に多様性の中でも日本が不得意なのが、ジェンダー平等。国籍や宗教、LGBTQなど、属性の多様性を組織内で高めようという声には、さほど異論反論は出ません。ですが、「男女平等」の話となると、総論賛成・各論反対、あれこれ理屈が挙がり、いつのまにか「女性だけ特別扱いしない」という結論に……。こんな二の足、三の足を踏み続けて早20年のニッポン。世界と比べてこんなに遅れているのか! それってなぜ? という根本的な問いを直視する、そんな勇気ある討論をしていきたいと思います。

「多様性」という言葉を、いろいろな場所で聞くようになりましたね。私がこの1年間で、「こんな場所でも多様性が!」と記憶に残ったスピーチを挙げると、総理大臣の演説、オリンピックの開会式、横綱の引退会見、世界的アーティストのコンサート、ノーベル賞授賞式、企業の不祥事謝罪会見、地元中学校の学園祭……などがあります。まさに世界中で、老若男女が「多様性の大切さ」を訴えています。

でも、実は日本人は多様性が苦手な民族なのかな、とも感じます。歴史をさかのぼれば、聖徳太子が「和を以て貴しとなす」と憲法第一条として掲げました。私はそれを小学校で、「みんな仲良く、いさかいを起こさないようにしましょう」と習いました。一致団結して、集団の力を高めるために、皆で同じ方向に進みましょうと。また、日本の歴史で最も有名な政策のひとつに、鎖国があります。周囲を海に囲まれた島国の日本人にとって、外的要素を排除することで、守り、伝承してきたものもあります。

「違う個性でぶつかり合って議論する」って難しいけど大切

しかし、世界的な流れは、むしろ逆に進み始めています。「違う個性であること、ぶつかり合って議論すること」が、集団の力を高めるために重要だと気が付き始めたのです。実は皆さんも、

「こんな偉い人ばかり出ている会議で、反対意見なんて言えない。でも…」

「皆がやっている中で、自分ひとりだけ違う行動を取るなんて怖い。でも…」

「仲のいいあの人に対して間違いを指摘したら、人間関係が悪くなる。でも…」

と、「常に皆と同じ」ってつらいな、何かおかしいな、と思っているのではないでしょうか。それは、私たちの心や、生物としての本能が、多様性を求めている正しい感覚なのだと思います。

中でも、日本が直面している「ジェンダー平等」をテーマの中心に据えたいと思います。「女性だけ特別扱いするのはおかしい」という理屈で、男女共同参画=gender equality という政治目標が20年も放置され、達成されていません。男女平等は古くて新しい世界的なテーマです。多くの国で、現在進行形でジェンダー平等が取り上げられ、組織を進化させています。そこから目をそらしていては本質的な多様性確保ができません。ぜひジェンダー分野を皮切りにして、世界標準の多様性を体得していきたいと思います。

こんなにショックな数字やデータが次々と……

そこで、この連載ではいくつかの印象的な数字やデータ、エビデンスを取り上げて、さまざまなゲストからきたんのない意見を出してもらうという試みをしていきます。取り上げるテーマはこんな感じです(うっ、直視したくないものばかり!)。

日本人、4人に3人が「男性のほうが優遇されている」と答えた……ショック!

『多様性って何ですか?』図版16

『多様性って何ですか?』図版16

高等教育を受けてもぜんぜん収入に反映されない日本人女性……ショック!

『多様性って何ですか?』図版23

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