共同研究により短期間で商品化へ

化粧品としての原料の開発を進めると同時に、サプリメントでは明らかにされている14-DHEの美肌効果を、アルギナーゼ-1との関連性や化粧品として塗布することでも得られるかどうかを解明する研究も始まった。

「キリン、ファンケルで情報を共有し、1年強というかなりの短期間で、原料抽出法、製法など工夫を重ね、14-DHEを含む化粧品原料として白麹ステロールを開発した。アルギナーゼ-1への効果という点では最初の評価の段階で解明していたので、仮説をもって進めていけば、結果が出ると考えた」(榎本氏)

「20年4月に本格的な共同研究が始まったが、21年10月に市場へ投入することが決まったときには、この短いスパンで完成させるのかと、強いプレッシャーを感じた」と杉原氏。榎本氏は、「イメージの良さはもちろん、機能性が高く、なによりオリジナリティーがあることが心強い。効き目のある成分が見つかることはあるが、独自原料を開発するまでに至ったのは、白麹ステロールのパワーがあればこそで、モチベーション高く研究できた」という。

冒頭の通り、リニューアルした「ビューティブーケ」シリーズとして商品化がかなった白麹ステロール。

「(従来製品に)新しい成分が加わったことは、プラスアルファのイメージを抱いてもらいやすいと思っている。『発酵』は近年、女性に好まれるワードでもあるので、訴求しやすいし、ビューティブーケの発酵サイエンスというコンセプトにも一致している。リニューアルでターゲットとなる年齢層の幅を広げたこともあり、新規顧客の獲得のためにも、バックグラウンドとして、『共同研究による白麹ステロール』は、重要な役割を果たすのではないかと考えている」と榎本氏は期待をかける。

(ライター 山田真弓)

[日経クロストレンド 2021年11月24日の記事を再構成]

「ヒットを狙え」の記事一覧はこちら

「マーケ・デジタル戦略」が分かるデジタルメディア、日経クロストレンド

「日経クロストレンド」では「P&Gマフィア」「AIを使ったリアル店舗の逆襲」「クルマ・鉄道を変えるモビリティ革命『MaaS』」「中国ネット企業の実情」など、次の時代を予見するマーケティング・デジタル戦略の特集記事を毎月たっぷりお届け。マーケ担当者に加えて、経営者・役員やIT担当者など、幅広い層に読んでいただいています。