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脳と腸の意外な関係 腸内細菌が認知症に影響する?

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

認知症は40代50代からの予防が重要だ。若い頃からの認知症治療や研究に取り組む医師らの啓発団体「40代からの認知症リスク低減機構」は、8月27日に「脳寿命を延ばす いまの状態を把握し、対策を考える ~脳と腸からはじめる認知症予防の可能性」と題するオンラインメディアセミナーを開催した。前回記事(「認知症予防は40代から 脳の老化を防ぐ5つのポイント」)に引き続き、講演の内容を紹介する。

近年、腸の不調が脳に影響を及ぼすことが注目され、腸内細菌のコントロールが認知症予防につながるのではと言われ始めた。今回は、国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 副センター長の佐治直樹さんに、認知症と腸内細菌の関係について解説していただいた。

認知症の危険因子とは

「認知症は、軽度認知障害(MCI[注1])の段階で食い止めることが大切ですが、今のところMCIの段階で使える有効な薬はありません」と佐治さんは説明する。「認知症の危険因子には、年齢、遺伝子のように修正できない項目と、生活習慣など修正できる項目があります。修正できる項目は40%で、そのうち5%は高血圧、肥満、飲酒、糖尿病など食事が関わるものです」という。

「認知症疾患診療ガイドライン2017」(https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html)には認知症の防御因子として、適度な運動、余暇活動、社会的参加などとともに食事因子が挙げられているが、実際にはどんな食事がいいのか、どういう献立がいいのかなど、具体的にイメージしにくいという人も多いだろう。

脳と腸はつながっている?

食べ物と脳の関係を解き明かすために、佐治さんは腸内細菌に注目した。食事は腸内環境に影響を与える。腸内細菌やその代謝産物から、脳と腸が互いに影響を及ぼし合う関係(「脳腸相関」や「腸脳相関」と呼ばれる)を調べていけば、食事が認知症に与える影響も分かってくると考えたからだ。

腸内細菌と脳の病気の関係については近年研究が進んでいる。例えば2021年2月には有名な科学誌「nature」が、腸内細菌と様々な精神疾患との関係についての記事を掲載した。そのほかにも、アルツハイマー型認知症、多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中などが、腸内細菌と関係するのではという報告があるという[注2]

「ヒトの脳腸相関については、様々な経路が想定されています。神経系活性経路や、免疫経路、内分泌の経路、代謝産物の経路などです。私は、腸内細菌が代謝する物質が脳に影響するという代謝産物経路に興味を持っています。脳に影響する経路が分かれば、それをうまく調整することで脳の機能を保護することにつながるのではと考えています」(佐治さん)

[注1]MCIは「Mild Cognitive Impairment」の略。

[注2]Lancet Neurol. 2020 Feb;19(2):179-194.

腸内細菌の代謝産物と認知症との関係は?

食べ物が体内に入ると、腸内細菌が食物を代謝し、その結果、様々な代謝産物が発生する。例えば、腐敗産物であるインドールや、悪い菌を抑制する乳酸・酢酸などが代表的な代謝産物だ。

「代謝産物が一つのカギとなると思います。食事によって、代謝産物は変わります。食事はいろんな病気に関連していますが、認知症もやはり関係しているのではと考えています」(佐治さん)

佐治さんらは、腸内細菌がつくり出す様々な代謝産物と認知症の関係を調査した[注3]。その結果、腸内細菌のいくつかの代謝産物は、認知症と関係があることが分かったという。中でも、アンモニア[注4]が認知症リスクとの関連が高く、乳酸は低いという結果が得られたという。

[注3]Saji N, et al. Sci Rep. 2020 May 18;10(1):8088.

[注4]アンモニアは食物中のタンパク質が代謝されるときにできる有毒な物質。ただし健康な人では、肝臓の働きによってアンモニアは無毒化され、尿とともに体の外に排せつされる。

また、佐治さんらの別の研究では、認知症の人と認知症ではない人では、腸内細菌叢(さいきんそう)はタイプが異なることが分かった。認知症ではない人に比べて、認知症の人の腸内細菌叢には、種類の分からない菌が増えているという。

認知症の人とそうでない人の腸内細菌のタイプ

「現代的日本食」を好む人は、認知症になりにくい?

「日本食と認知症」「日本食と腸内細菌」については、これまで東北大学などで研究されてきたが、佐治さんらはこれらをまとめ、日本食と腸内細菌・認知症との関係についての解析を行ったという。

患者さんの食事の内容を調査して、どの程度日本食中心かを、次のようなスコアで表した

伝統的日本食スコア…米飯、味噌、魚介類、緑黄色野菜、海藻類、漬物、緑茶が多いと、それぞれプラス1点、牛肉豚肉、コーヒーはマイナス1点とする。

現代的日本食スコア…伝統的日本食スコアに加えて、大豆類、果物類、キノコ類が多いと、それぞれプラス1点とする。


コーヒーを含む現代的日本食スコア…現代的日本食スコアのコーヒーをマイナスではなくプラス1点とする。

解析の結果、認知機能がよい患者さんは、魚介類、キノコ類、大豆類、コーヒーを摂取する割合が多かった。また、「現代的日本食スコア」が低いと認知症の人が多く、高いと認知症の人の割合は少なかった。「現代的日本食スコア」と「コーヒーを含む現代的日本食スコア」が高いと、認知症の割合が低かったという結果も出たという。

海外の研究でも、MIND食やDASH食[注5]という健康によい食事をとっている人は、血液脳関門[注6]が保たれるという報告がある。また、国内の研究では、魚油(DHA)を多くとる人は認知機能低下のリスクが低く、豆類を多くとる女性は10年後の認知症発症リスクが下がるといった報告がある。

[注5]MIND食とは、地中海食とDASH食を組み合わせた食事法。DASH食とは、アメリカで高血圧改善のために推奨されている、飽和脂肪酸とコレステロールを抑えてミネラル、食物繊維、タンパク質を多くとる食事法。

[注6]血液から脳組織への物質の移行を制限する仕組みのこと。

「食事や健康に関する情報は、厚生労働省のe-ヘルスネットや農林水産省の『日本型食生活』のススメといったサイトに紹介されています。しかし、あまり知られていないようで、もったいないですね。もう少し分かりやすく知らせていく必要があるのかなと思います」(佐治さん)

これらのサイトの情報を活用して、自身の健康を保っていきたいものだ。

厚生労働省 e-ヘルスネット 栄養・食生活
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food

農林水産省 「日本型食生活」のススメ
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/nihon_gata.html

次回は、ビフィズス菌に関する講演内容をお届けします。

(文 梅方久仁子、図版 増田真一)

佐治直樹さん
国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 副センター長。1975年生まれ。1999年に岐阜大学医学部を卒業、2011年に神戸大学大学院を修了。兵庫県立姫路循環器病センター神経内科(医長)、川崎医科大学脳卒中医学(特任講師・特任准教授)などを経て、2015年に国立長寿医療研究センターに着任。主な研究テーマは、腸内細菌と認知機能の関連、脳卒中と認知症に共通する危険因子の解明など。

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