日経クロストレンド

冷凍食品を使うことへの罪悪感を軽減

味の素が多彩な商品を送り出す背景には、冷凍ギョーザ市場に一層の伸びしろを感じているからだ。

調査会社インテージが公表した、19年と21年の冷凍食品全体の購入額(4〜9月の100人当たりの平均)を比較したデータによると、「40代までの若年単身」では3.9万円増、「60代以降のシニア」では5.2万円増、「子供を持つ家庭」では5.5万円増と、世代や所帯の有無にかかわらず購入額が増加している。同社が21年4~9月に調査したデータでも、市場全体で冷凍調理系の商品が前年比104%と上向いている。20年度の冷凍餃子の市場規模は、全体で約600億円と、15年から20年の5年間で年平均約7%の成長を見せている。

冷凍食品にかける19年と21年の購入額を、100人あたりの平均で比較したグラフ(画像は味の素が作成した資料)

その600億円のうち、味の素冷凍食品のギョーザ単品のみで、21年度は年間200億円以上の売り上げを記録したそうだ。味の素の冷凍ギョーザが好調な一因として、食卓で冷凍食品を出すことへの抵抗感を払拭したことが挙げられる。「フライパンで調理する工程がある点」と「栄養バランスが良い点」を押し出し、手に取りやすい印象を広めたという。

「冷凍食品の購入額が増加する一方、家庭で冷凍食品を出すことに後ろめたさを感じる人はまだまだ多い。そうした中、ギョーザは唯一『フライパンで焼く』という、自分で調理する工程がある。冷凍食品を使用することは、『手抜き』ではなく『手間抜き』であって、調理の手間の一部を我々が請け負っていると発信している」(大竹氏)

味の素公式ツイッターアカウントが、20年8月に投稿したツイート。ある主婦が、冷凍食品を夕飯に出した際に旦那から手抜きだと指摘されたツイートを投稿。そのつぶやきに対して、「冷凍餃子を使うことは『手抜き』でなく『手“間”抜き』ですよ」と、擁護する内容をリプライしたところ、これがバズり、共感の声が多く寄せられた

またギョーザには、皮の炭水化物、豚肉のタンパク質、野菜のビタミンと、バランスよく栄養素が含まれている。主菜が一品だけでも、栄養価の高い食事を実現できる万能感も訴求した。「一汁三菜のように『品数をそろえなければいけない』強迫観念を取り払うことで、より冷凍ギョーザが便利であると感じてもらえる」と大竹氏。シャキシャキやさい餃子も、こうした需要をくみ取った商品と言える。

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間口が広いからこそラインアップを拡充