答えと解説

正解は、(2)ウソ(元に戻る) です。

スポーツ心臓は、アスリートなどが激しい運動を繰り返すうちに、運動時にたくさんの血液を全身に流せるように心臓が適応し、大きく厚くなり(心肥大)、安静時の心拍数が少なくなった状態を言います。

「運動時に心臓の機能を上げるには、心拍数を上げるのが一番です。ですから、スポーツ心臓の人は、普段の心拍数はとても低くなっています。マラソンの五輪メダリストの高橋尚子さんは、現役時代には心拍数が30(/分)台だったそうです。普段は低くしておいて、運動時にどんどん心拍数を上げて心臓から送り出す血液の量(拍出量)を増やすのです」。新潟大学大学院医歯学総合研究科循環器内科学主任教授の猪又孝元氏は、そう解説します。

「でも、普段の心拍数が少ないと弊害もあるので、心拍数が少なくてもいいように心臓が大きく筋肉が厚く変化してパワーアップする、つまり心臓が肥大します。これがスポーツ心臓です。ただ、スポーツ心臓は正常な変化であって病気ではありません。スポーツをやめて普通の生活になれば、心臓は元に戻ります」(猪又氏)。

心肥大の有無はレントゲン写真では分からない

心臓が肥大しているかどうかは、通常の胸部X線(レントゲン)写真では判定できません。X線写真に映るのは心臓のシルエットだけなので、心臓の本当の大きさは分かりにくく、心臓が大きく見えても、心臓の筋肉が厚くなっているかどうかの見分けはつかないのです。

「心肥大があるかどうかは、心エコー(心臓超音波)検査をしないと分かりません。ただし、心臓が大きく厚くなっているときに、なんらかの病気による心肥大なのか、スポーツ心臓の心肥大なのかの見極めは、実は専門医でも難しいのです」と猪又氏は話します。

ポイントの1つは、心拍数です。「スポーツ心臓の人は普段の心拍数が低いので、普段の心拍数が速ければスポーツ心臓ではありません。ただ、ときどき心拍数が遅い病気もあるので、心拍数が遅ければ絶対大丈夫とも言い切れません。判断を誤れば突然死の可能性もあるので、いつもとても悩みます。結局、筋肉の質をMRI(磁気共鳴画像)で調べたりしないと、分からないこともあります」(猪又氏)。

スポーツ心臓自体は、健康に悪い影響を与えることはありませんが、心臓が肥大していると分かったときは、ほかの病気の可能性がないかどうかを確認するため、心臓の専門医に相談するようにしましょう。

この記事は、「 『心臓を大切にして長生きするには?』『スポーツ心臓は怖い?』 名医が回答」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/18/020200005/011300095/(梅方久仁子=ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年9月13日付記事を再構成]

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