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激しい肉体労働は運動の代わりになる? ならない?

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日経Gooday(グッデイ)

日常的な運動は健康に良いことが分かっていますが、仕事上の肉体労働の場合は、そうとも言えないようです。先ごろデンマークで行われた研究で、仕事として行う高強度の身体活動は、心血管疾患(心筋梗塞など)のリスク減少や死亡リスクの減少には結びつかず、かえってリスクが上昇する恐れがあることが分かりました。

ガイドラインの「運動」に余暇時間と仕事時間の区別はないが…

現在、健康と運動に関する各国のガイドラインは、「余暇時間の運動」と「仕事関連の身体活動」を区別していません。余暇時間に体を動かすこと(スポーツ、レクリエーション、旅行など)が、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)のリスクと、あらゆる原因による死亡のリスクの低下に関係することは示されています。しかし、仕事上で必要とされる身体活動(肉体労働)と健康の関係については、一貫した結果は報告されていません。

余暇時間の身体活動はバラエティーに富んでおり、強度もさまざまに選べて、いつでも自由に休憩を取ることができます。しかし、肉体労働の場合は状況が異なり、同じ活動を長時間継続することが求められ、運動強度も一定で、あらかじめ決められたタイミングでしか休憩できない場合が多いと想像されます。過酷な肉体労働が疲労感や血圧・脈拍の上昇と関係することは、これまでにも示されていました。

そこでデンマークの研究者たちは、「余暇時間の運動は、主要な心血管有害事象(MACE、[注1])のリスクと、あらゆる原因による死亡(総死亡)のリスクの低下に関係し、肉体労働はそれらのリスクの上昇に関係する」という仮説を立て、検証することにしました。

[注1]心筋梗塞または心筋梗塞による死亡、脳卒中または脳卒中による死亡、その他の冠動脈疾患による死亡を合わせたもの。

デンマークの10万人余りを9~10年追跡

分析対象にしたのは、大規模観察研究「Copenhagen General Population Study」に2003~2014年に参加した、20~100歳の一般デンマーク人の男女です。この研究への参加を決めた時点で、必要な検査や評価を受け、質問票を用いた調査に回答していた10万4046人を追跡しました。MACEに関する分析では、既に心筋梗塞または脳卒中を経験していた5282人を分析から除外しました。

参加者には、参加時点で身長、体重、血圧、心拍数を測定してもらい、質問票を用いて身体活動レベル、学歴、生活状況、社会経済的特性(世帯収入、職歴、同居者、精神状態など)、喫煙歴、飲酒習慣、食物摂取ガイドライン遵守度、降圧薬使用の有無、過労かどうか、糖尿病の有無、コレステロール値、血糖値、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有無などの情報を収集しました。さらに、余暇時間の活動と肉体労働のレベルが、以下の4段階のどれに該当するかを尋ねました。

余暇活動
低レベル:ほとんど座っているか、週に2時間未満の軽い運動を行うだけ
中レベル:週に2~4時間の軽い運動を行う
高レベル:週に4時間超の軽い運動、または週に2~4時間の活発な運動を行う
非常に高いレベル:週に4時間超の活発な運動、または週に数回の激しい運動もしくは競技スポーツを行っている

肉体労働
低レベル:主に座って行う仕事に携わっている
中レベル:座って、または立って行う仕事で、ときどき歩く作業もこなす
高レベル:歩いて行う仕事で、ときどき持ち上げる作業もこなす
非常に高いレベル:激しい肉体労働に従事している

MACEの発生に関する追跡期間の中央値は9.5年で、総死亡に関する追跡期間は9.9年になりました。追跡期間中に、MACEは7913人(7.6%)に発生し、9846人(9.5%)が死亡していました。

肉体労働のレベルが高いと死亡リスクは上昇

まず、余暇時間の運動レベルが低かった集団とそれ以外の集団で、MACE発生率を比較しました。分析に影響すると予想された、年齢、性別、BMI、喫煙歴、学歴、糖尿病の有無、収縮期血圧、降圧薬使用の有無、食事嗜好、飲酒習慣、COPDの有無、コレステロール値などを考慮して、MACEのリスクを比較したところ、低レベルの集団に比べ、それよりも運動レベルが高い集団のリスクは有意に低くなっていました(表1)。死亡のリスクも同様に、運動レベルが中以上の集団で有意に低いことが示されました。

一方で、肉体労働について同様に比較すると、身体活動レベルが高い、あるいは非常に高い集団において、MACEと死亡のリスクが有意に高くなっていました(表2)。

表1 余暇時間の身体活動レベルとMACE*および死亡のリスクの関係

表2 労働における身体活動レベルとMACEおよび死亡のリスクの関係

生活習慣や、健康状態、生活状況、社会経済的特性に基づいて対象者を細かく層別化し、同様の比較を行いましたが、結果は一貫していました。

著者らは、余暇時間の運動と肉体労働のレベルの間に、相乗効果や相加効果などが存在するかどうかを調べるために、それぞれの運動レベルを組み合わせた分析を行いましたが、それらの間に有意な関係は見られませんでした。これは、肉体労働レベルとは関係なく、余暇時間の運動レベルが高いほど、MACEまたは死亡のリスクは低い傾向があること、一方で、余暇時間の運動レベルとは無関係に、肉体労働レベルが低いほど、MACEまたは死亡のリスクは低い傾向があることを意味します。

以上の結果は、仕事の上での身体活動は、余暇時間に行う運動の代替にはならないこと、身体活動レベルが高い仕事をしている人も、日々十分に休息でき、休日には活発に運動できるような労働環境を整えることが、国民の健康を守るために大いに役立つ可能性を示唆しました。

論文は、European Heart Journal誌2021年4月14日号に掲載されています[注2]

[注2]Holtermann A, et al. Eur Heart J. 2021 Apr 14;42(15):1499-1511.

[日経Gooday2021年9月16日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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