ヒストリーコーナーは老若男女が熱中

同施設の最大の見どころは、「森永製菓が常に時代と共に歩んできたことを感じていただきたい」という太田社長の言葉を実感できるヒストリーコーナーだろう。シニアが見れば懐かしいし、子供が見れば驚きがいっぱい。どの年代も楽しめる、トリビア満載の展示だ。

例えば、1900年ごろに製造を開始した、個包装のキャラメル。今ではお菓子を携帯するのは当たり前だが、個包装のキャラメル登場以前は、洋菓子は家かお店でしか食べられないものだったことに改めて気づかされる。

1900年ごろに、森永製菓が開発した個包装のキャラメル
1913年当時の個包装のキャラメル
高度経済成長の始まりとともに、お菓子や飲料にもインスタントの波が押し寄せていた
お菓子とキャラクターの組み合わせも、1967年に発売された「チョコボール」から広まった
早い段階で消え、現在では忘れられているお菓子もある
一方で、パッケージを変えつつロングセラーとなっているお菓子も
1992年の発売当初は3種類だったハイチュウ(パッケージは1993年のもの)
現在のハイチュウは種類が大幅に増えている

モリウムオリジナル商品が少ないのが残念

モリウムオリジナルグッズや、森永製菓オリジナルグッズ、入手困難な商品などを販売するミュージアムショップ

ミュージアムで楽しみなのは、オリジナル商品の掘り出し物があるミュージアムショップ。ロングセラー商品の宝庫である森永製菓のミュージアムショップということで期待したのだが、モリウムオリジナル商品は「ダースポーチ」「ハイチュウミニハンドタオル」「小枝マスキングテープ」「コンパクトミラー マリー」「コンパクトミラー チョイス」の5種類のみ。そのほかに森永製菓オリジナルグッズを9種類、森永製菓の代表的な商品や、手に入りにくい地方のハイチュウなども販売しているものの、モリウム限定製品ではない。

モリウムオリジナル商品は、左上から時計回りに「ダースポーチ」(770円、税込み、以下同、写真提供/森永製菓)、「ハイチュウミニタオル」(495円、写真提供/森永製菓)、「コンパクトミラー チョイス」と「コンパクトミラー マリー」(各935円)、「小枝 マスキングテープ」(440円)
女性の報道関係者に人気だった「チョイストート」(写真左、1650円)と、地方限定販売で入手困難な“ご当地ハイチュウ”(写真右)もあった

森永製菓の代表的な商品はどこででも手に入るので、正直ありがたみは薄い。森永製菓には日本人の多くの人がパッケージを見慣れ、強い愛着を持つロングセラー商品が数多くある。グッズ展開では大きなポテンシャルを秘めているため、よりそれを生かしたラインアップがあってもいいのではないかと感じた。

一方、ヒストリーコーナーで、「日本初」が多い会社であることが整理されていることの意義はある。特に広告ポスターや屋外広告の展示コーナーでは、キャラメルの広告と思えない新しさを感じさせるものなど、過去の広告グラフィックの斬新さに驚く。そこには「日本初のチョコレート一貫製造」「日本初の飲料用ココア」「日本初の国産粉乳」「国産第一号のインスタントコーヒー」(以上、森永製菓資料より)など、世の中にないものを広めるために苦心した歴史が詰まっていた。

また、公式サイトに「広告宣伝に関して、森永はいち早くいろいろなアイデアを考えて、多彩な活動を行った。大衆の中に分け入って様々な広告を展開していった」とある通り、今見ても斬新でユニークな広告ばかりだ。創業者の創業理念もさることながら、大胆な広告戦略も洋菓子の普及に大きく貢献していたことが分かる。

今後はこうしたデザインのパワーを身近に感じられるような、ここでしか手に入らないミュージアムグッズの充実にも期待したい。

「時代を彩った森永の広告たち」展示コーナー(左上)。森永製菓の当時としては先鋭的な広告戦略がうかがえる。1914年(大正3年)のミルクキャラメルの広告(右上)は今見ても斬新だ。「街や季節のシンボルにもなった屋外広告」展示コーナー(左下)では、地球儀型ネオンなど、人々を驚かせた大胆な屋外広告の写真が見られる。創業から戦後復興の時代までの貴重な写真とデザインが分かる広告、宣伝の様子をまとめた「MORINAGA VINTAGE ARCHIVES(森永ヴィンテージアーカイブズ)」(右下、ネコ・パブリッシング刊)はミュージアムショップでも手に入る

(文・写真 ライター 桑原恵美子)

[日経クロストレンド 2021年12月21日の記事を再構成]

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