日経クロストレンド

商品開発に際し、「香りの文化を調べていくと戦国武将が香りを楽しんでいたこと、香りと権力者が結び付いていることが分かり、それを活用したいと考えた。私自身が武将ファンということもあるが、“ネスカフェ 香味焙煎”の想定する40~50代の男性という飲用者層と、信長の野望プレー層が一致していることもあり、ちょうど信長の野望も新作のリリース情報が解禁されるタイミングだったので、コラボを提案した」(吉永氏)。結果、「話題が見込める」という狙いが両社で一致し、実現した。

自らも武将ファンというネスレ日本 飲料事業本部の吉永祐太氏

Twitterならではの2次拡散も

実は両社のコラボは今回が第2弾。第1弾は21年11月に、Twitterでのキャンペーン対象投稿のリツイートをしたり、カンバセーショナルカード(Twitterのカンバセーションボタン)で「豊香派」「柔香派」を回答して投稿をしたりすると、戦国武将のオリジナルラベル瓶が抽選で当たるコラボキャンペーンを実施している。このときは「信長の野望シリーズ」公式Twitterアカウントが信長役、ネスカフェ公式アカウントが家臣役となり、Twitter上で「香味焙煎なるものを今すぐ持ってまいれと伝えよ!」と指令を出したことが武将ファンの間で話題に。「ファンとのエンゲージメントを高めたい思いがあった。やりとりをリアルタイムでやると戦国風にならないため、『早馬を飛ばす』感覚であえて投稿を遅らせるよう工夫した」(吉永氏)

実際、第1弾ではTwitterならではの2次拡散も生まれた。Twitterには非公式ながら石田三成や伊達政宗のアカウントが存在し、フォロワー数が20万人近くに達するものもある。その1つ、石田三成アカウントがコラボ企画について「ほ、欲しい」とツイートしたことに対し、武将ファンがリプライを付けるなどのやりとりがされた。

コラボキャンペーン第1弾は2021年11月と12月に実施。11月には「ネスカフェ 香味焙煎 柔香×徳川家康ラベル瓶」「同 豊香×織田信長ラベル瓶」「同 柔香×豊臣秀吉ラベル瓶」「同 豊香×明智光秀ラベル瓶」を抽選でプレゼント。12月には武田信玄、伊達政宗、上杉謙信、毛利元就のラベル瓶が用意された

デジタルの関係をリアルに落とし込む

好評だった第1弾を受けて、第2弾はゲームに発展させることとなった。ゲームにした狙いとしては、ゲームによって武将のイメージとコーヒーの香りのイメージを結び付け、両社の認知や売り上げにつなげられればという思いがあったという。また「実は私自身、30年にわたる大の信長の野望ファン」という吉永氏の熱意も、コラボゲームにつながったといえるだろう。

22年2月1日の公開初日には1000以上の投稿があり、その後も毎日投稿して楽しむ人もいるという。ゲームをプレーした後の投稿先としてTwitterを利用したのは、SNS(交流サイト)での拡散性を持たせたかったことに加え、香味焙煎と信長の野望のコアターゲットである40~50代より下の30~40代を含めた若年層を取り込む狙いもあると吉永氏は話す。「ユーザー自身がインタラクティブに企画を楽しみ、拡散してもらえれば」(吉永氏)

キャンペーンの賞品も第1弾から発展させた。前述のように、「武将からの褒美」として、「日本六古窯」の陶磁器マグ1個、香味焙煎豊香と柔香を各1本、さらに「武将からの書状」を、最も広い領地を獲得した武将を選んで投稿した人の中から抽選で50人に進呈する。この書状、当然本物の武将が書いたものではないが、和紙に和文を書いて書状に見えるものを準備しているとのことで、Twitterでの交流をリアルな体験につなげる工夫を施した。「最も勢力図を獲得することに貢献した家臣に対し、武将が褒美をつかわす。それを武将からの褒美の書状と香味焙煎を一緒に届けることで、デジタルでの楽しみをリアルの体験に落とし込めるのではと考えた」(吉永氏)

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