AQUOSブランドのフラッグシップに据える
シャープでは、ミニLEDディスプレー搭載モデルをどう位置づけているのか。ミニLEDを採用したテレビは海外メーカーが先行し、国内メーカーではシャープが初となる。
商品企画を担当した、シャープ スマートディスプレイシステム事業本部 国内TV事業部 8K推進部 部長の上杉俊介氏は、「AQUOS XLEDはフラッグシップであり、今後の主力にしていきたい」と話す。20年に有機ELテレビ市場に参入したが、その際は「“シャープといえば液晶”という強いイメージがあると考え、AQUOSブランドを冠さなかった」(上杉氏)。一方、市場では「AQUOSの有機ELテレビはどれか」といった問い合わせがあり、むしろテレビのブランドとして認知されていると再認識し、21年からはAQUOSブランドに改めた。今回のミニLEDでは、当初からAQUOSブランドをうたい、久しぶりのテレビCMを打つなど、その本気度がうかがえる。

どこに市場性を見いだしたのか。上杉氏は次のように話す。「一番は、液晶テレビの弱点を補うことができたデバイスであるという点。加えて、有機ELに非常に似た商品性であること。日本では海外に比べて有機ELの人気が高く、構成比が約10%を占めているため、ユーザーに受け入れられる素地があると思っている。加えて、液晶テレビの技術をベースとした裾野の広い技術のため、比較的に技術障壁が少なく、参入メーカーが増えてくると予測している。マーケット側、プロダクト側の両方の面から、ミニLEDはかなり伸びてくる」。調査会社による「ディスプレイ方式別テレビ用パネル市場構成比予測(世界)」を引用し、22年には有機ELの構成比を上回ると見込む。

15年以上にわたり、薄型テレビの販売台数トップを維持してきたシャープだが、近年はシェアが低下。そして21年7月にはソニー、9月にはTVS REGZA(旧東芝)にトップを譲る混戦模様となっている(同年8、10、11月はシャープがトップに返り咲き)。また、4Kテレビの販売台数に限ればソニーのシェアトップが続き、シャープが2位で追う構図だ(販売台数シェアはいずれもBCN調べ)。シェア回復のため、将来性の高いミニLEDで先行しつつ、ブランド復権を狙っているようにも思える。
この点に関して上杉氏は、「価格が高いため、シェアの回復よりもまずシャープのAQUOSブランドをもう一度新しくつくり直し、ユーザーの認知を高めるのが使命。結果的に、それが8Kテレビ、4Kテレビ、2Kテレビへと波及していけば全体としてシェアの獲得につながっていくイメージ」と話す。