メモリー不足の疑いはOSの機能で確かめる
ウィンドウズは、メモリーの空きが不足すると、利用頻度の低いメモリー上のデータをSSDやHDDなどに退避させて空きを確保する。退避させたデータは必要になった際に、再度ストレージからメモリー上に戻す。この一連の動作を「スワップ」と呼ぶ(図13)。

スワップは、メモリーより格段に速度が劣るストレージの読み書きを伴うため、頻発するとパソコン全体の動作が重くなる。メモリー不足のパソコンが重いのは、ほぼスワップが原因だ。
自分のパソコンがメモリー不足かどうかはウィンドウズ10のタスクマネージャーで確認できる(図14)。まず確認するのは、「コミット済み」欄の数値。右側の数値は実メモリーとページファイル(ストレージ上に作成されたデータ退避領域)を使用したうえでウィンドウズとアプリが確保できる最大容量。そのうちの現在の使用量が左の数値だ。これらの数値を右上にある実メモリー搭載容量と比較する。コミット済みの左側の数値が実メモリー搭載容量の7割以下で、右側の数値も2倍未満であればスワップを気にする必要はない。

スワップの発生状況はリソースモニターの「ハードフォールト/秒」のグラフで確認できる(図15)。ハードフォールトはスワップの発生頻度のこと。グラフの動きが激しい場合は、スワップが頻発していることを示している。

ビデオ会議が快適に行える容量は?
現状、メモリーを大量に消費する作業としては、各種資料を閲覧しながらのビデオ会議が考えられる。実際にどれほどのメモリー量が必要になるか、「Teams」での会議に参加し、各種アプリで資料ファイルを開いた状態で、メモリーの使用状況を調べた(図16)。

4GBでは、実メモリーとページファイルを足したコミット済みメモリーの使用量が実メモリー容量を大きく超え、明らかにメモリー不足の状態に陥った。スワップも頻発している。
8GBでは、コミット済みメモリーの使用量が実メモリー容量の7割以上に達してはいるが、コミット済みメモリー容量が実メモリー容量を大きく上回っておらず、スワップの発生頻度はさほど多くない。メモリーは取りあえず足りていると判断できるが、十分に余裕があるとはいえない状態だ。
16GBでは、コミット済みメモリーの使用量が実メモリー容量の半分以下で、スワップもほぼ発生していない。メモリーには十分な余裕がある。以上の点からビデオ会議を快適に行うには、メモリーは8GB以上が必須、余裕を見込んで16GBが望ましい。
10月5日にリリースされたウィンドウズ11の仕様を考えてもメモリーは16GB以上が望ましい。11のメモリー最小要件は4GB(図17)。過去の例から、ウィンドズを快適に動作させるには最小要件の2~4倍のメモリー容量が必要。これからパソコンを長く使いたいなら、やはり16GBがおすすめだ。

(ライター 滝伸次)
[日経PC21 2021年11月号掲載記事を再構成]