チップ規格の数値を8倍するとモジュール規格に
メモリーのスペックでは、「DDR4-3200」と「PC4-25600」などと、チップ規格とモジュール規格が混在してわかりづらい。この違いも理解しておこう(図6)。

例えば、「DDR4-3200」の「3200」は、メモリーチップの動作周波数を表す(単位はMHz)。一方、「PC4-25600」の「25600」は、メモリーモジュールのデータ転送速度を表す(単位はMB/秒)。メモリー動作周波数とデータ転送速度の間には、覚えやすい関係がある。メモリー動作周波数の数値を8倍するとデータ転送速度の数値になる。
メモリー動作周波数からデータ転送速度を求めるには、メモリーのバス幅が64ビットなので、まずはメモリー動作周波数の数値を64倍する。これをバイトに換算するために8で割ると、データ転送速度が得られる。つまり、メモリー動作周波数を8倍すればいいわけだ。DDR4-3200の場合、3200の8倍でPC4-25600となる。
メモリーは2枚1組でデュアルチャンネルに
メモリーモジュールの形状には、主にデスクトップパソコン向けの「DIMM(Dual Inline Memory Module)」と、主にノートパソコン向けの「SO-DIMM(Small Outline DIMM)」がある(図7)。メモリーを購入する際には間違えないようにしたい。薄型ノートなどではメモリーチップが基板に直付けされているものもある。その場合はメモリーの交換や増設はできない。

最近のCPUはほぼすべて、2枚のメモリーに同時にアクセスすることでデータの転送速度を向上させる「デュアルチャンネルメモリー」という技術に対応している(図8)。

デュアルチャンネルメモリーに対応したCPUは、図9の通り、メモリーをシングルチャンネルにすると、性能が少し落ちるので要注意だ。

なお、低価格のパソコンでは、メモリーがシングルチャンネルにしか対応していないものが多い。そういったパソコンではCPUの性能をフルに生かしきれない。新しくパソコンを購入する場合は、メモリーのスペック欄に「デュアルチャンネル対応」と書かれているものを選択しよう。これは重要な選択ポイントだ。
DDR4とDDR3に互換性なし
メモリーを増設・交換する際の確認項目および注目点を図10にまとめた。

まずは、メモリースロットの有無など、メモリーの増設・交換に対応しているか確認する。次に対応メモリーの規格を調べる。DDR4メモリー対応のパソコンにはDDR3メモリーを搭載できないし、その逆も同じだ。そもそも、DDR4とDDR3とではピンの数や形状も異なる。メモリーを増設する際には、規格の違いに注意しよう。
さらに、パソコンによって搭載できるメモリーの最大容量が決まっているので、その点も要確認だ。
性能を最大限発揮させるためには、対応する最大転送速度のモジュールを搭載し、同じ容量の2枚構成でデュアルチャンネルにする。ただし、メモリースロットが1基しかない場合はシングルチャンネルで動かすしかない。
ノート用メモリーの相場は図11の通り、高速なPC4-21300の8GBメモリーでも6000円台から入手可能。ノート用メモリーは、パソコン専門店や家電量販店で購入できるほか、AmazonやNTT-X Storeなどの通販サイトでも購入できる。

なお、少し前までは搭載メモリー容量でパソコンの価格が大きく変わったが、最近では以前ほど差がなくなっている。図12は、メモリー容量をカスタマイズして購入できるレノボ・ジャパンの「ThinkPad E14 Gen 2」の例だが、4GBと8GBの価格差は約4000円、8GBと16GBの価格差は約7400円しかない。もちろん、メーカーにより差はあるものの、メモリー容量によるパソコンの価格差は以前ほど大きくない。購入時には、なるべく大容量のメモリーを確保しよう。
