日経エンタテインメント!

アートの場で自分の絵がどう見られるか

自身の作品がロンドンのギャラリーへ出展されると聞いたとき、何を考えたのだろう。

「サーチギャラリーへの出品は、挑戦する機会をいただけて、大丈夫かなと思いつつ面白そうだなと。アートは好きなのですが、アートの場で自分の絵がどう見られ評価されるのか、知りたい気持ちがすごくありました。

実は(開催後の今でも)実感は全然ないんです。コロナ禍で現地に行けなかったので……。でも、ツイッターとかで、ポルトガルやブラジルなどいろいろな国の方に作品をご紹介いただくなど、世界的にもアニメの絵を身近に感じてくださっているのかなと。今はみなさんアニメを見慣れているし、アニメ的な表現に対する信頼感も持っています。それって、ネットで配信されているアニメのおかげもあるし、イラストやアニメを描く人口が世界的に増えていることもある気がします」

同作はロシアのエルミタージュ美術館のキュレーターDimitri Ozerkov氏のチームにも高く評価され、「START ART FAIR 2021」の後に追加展が行われた。評価金額は日本円にして1240万円で、同額で購入された。別作品の中には、上海から引き合いがあるなど、注目が高まっている。

国内でも動きは活発だ。現在、クレディセゾンのクレジットカードとのコラボレーションによりクレジットカードサービス「SAISON CARD Digital<YONEYAMA MAI>」(※)を展開しており、2月10日より開催の展示会をはじめとしたイベントや、会員限定販売作品など、コラボプロジェクトが進行中だ。

(※)https://www.saisoncard.maiyoneyama.art/

各方面から注目を浴びる米山舞だが、彼女の魅力はその絵だけにあるのではない。次回は、作品をどのように仕立て、どう届けるかまでを全て組み立て、実現するという、彼女の企画力やプロデュース能力に迫る。

米山舞
(写真:藤本和史)
 1988年、長野県生まれ。ガイナックス、フリーランスを経て、2019年よりSSS by applibot所属。『ブラック★ロックシューター』(12年)、『キルラキル』(13年)、『プロメア』(19年)など数多くのアニメ作品に携わる。初音ミクGTプロジェクト「レーシングミク 2016Ver.」(16年)、エヴァンゲリオンアパレルブランド「RADIO EVA」のメインビジュアル、pixiv総監修のアートブック『VISIONS 2021 ILLUSTRATORS BOOK』表紙(20年)、カネボウ化粧品「KATE」綾波レイ編ではCM監督・作画・撮影も担当。また、『SHE』(19年)、『EGO』(21年)と個展も開催、好評を博している。

(ライター 波多野絵理、日経エンタテインメント! 平島綾子)