高速通信5Gの泣きどころ 狭い通信エリアと遮る建物将来有望5Gホームルーター導入ガイド(3)

日経PC21

固定回線に代わるものとして注目を集める「5G」は高速通信がウリだが、その理由は主に利用する周波数帯にある。5Gは従来の4Gより高い周波数を利用し、その帯域幅(周波数の幅)が4Gより広い分、高速に通信ができる(図1)。5Gは周波数帯によって「Sub6(サブシックス)」と「ミリ波」に分けられるが、5Gホームルーターはミリ波には対応しない。

図1 5Gの電波は、4Gより高い3.7ギガヘルツ(GHz、ギガは10億)以上の周波数帯を利用する。5Gでは、3.7GHz帯と4.5GHz帯を「Sub6(サブシックス)」、28GHz帯を「ミリ波」と呼ぶ。電波は周波数が高いほど直進性が強く減衰しやすいため、届きにくい。現状5Gホームルーターはミリ波には非対応だ(通信会社ごとに割り当てられている周波数帯は異なり、通信機器によっても対応する周波数帯が異なる)

残念なのは通信エリアが狭いことだ。商用サービスが始まったのは2020年春で、現在はまだエリア拡大の真っ最中。さらに、5Gには周波数の高さゆえの泣き所もある。周波数は高いほど直進性が強く減衰しやすい。建物などを回り込みにくく、電波が届きにくいのだ(図2)。

図2 大手3社による4Gの人口カバー率はすでに約99%に達するのに対し、5Gは展開途上だ。特にauとソフトバンクでは4Gの周波数帯を一部5Gに転用することでエリア展開を早めている。ただし、転用した5Gは本来の高速性は望めない
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4Gからの転用でエリアを拡大