橋本病など甲状腺の疾患に注意

──不調を更年期症状だと考えて受診をためらううちに、見逃す可能性がある病気はありますか。

高尾 更年期障害は、他に可能性のあるすべての病気を否定した後につけられる診断名です。なぜなら、更年期症状として起こり得るような症状は、他の病気でも起こり得るからです。

女性に多いのは甲状腺機能の異常。甲状腺機能亢進症である「バセドウ病」、これは甲状腺で甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、体温が上昇しカッと汗をかく、動悸(どうき)や息切れ、情緒不安定といった更年期と似た症状が表れます。バセドウ病は20~30代に多いとされますが、より注意が必要なのが、甲状腺機能低下症である「橋本病」ですね。甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気で、更年期以降の世代に多く見られます。甲状腺の機能が低下することで体温の低下、冷え、コレステロール値の上昇、月経不順、肌の乾燥やむくみといった症状、無気力感などのうつ傾向が表れます。

貧血、高血圧、心臓疾患も…健康診断は欠かさずに

──「これくらいは更年期だからしょうがない」と油断すると危険ですね。

高尾 このほか頭痛やめまい、肩こりなどが起きやすくなる高血圧、動悸(どうき)、息切れ、胸痛などが起きる心臓疾患も症状が共通していますが、甲状腺機能の異常にしても、高血圧、心臓疾患にしても、すぐに対策が必要になってくる病気です。同時に、こうした似通ったサインを出す病気が、40代後半から50代にかけて、起きやすくなることを覚えておきましょう。

婦人科医は、50歳前後の女性が「調子が悪いです」と受診した際、すぐに「更年期障害ですね」と診断するのではなく、いろいろな病気を否定したうえで、更年期障害を考えましょうと言うのです。

例えば貧血も不調の要因になります。ヘモグロビン値が低くやる気が出なかったという人が、貧血の治療で改善されることもあります。

いずれにしても、甲状腺の異常、高血圧、心臓疾患、貧血などは、会社や自治体が行う健康診断の検査項目で発見できることも多くあります。

次のページ
更年期うつはホルモンのアップダウンが誘引