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これ更年期障害? 橋本病、心臓病…見逃しがちな病気

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日経Gooday(グッデイ)

「更年期の症状の多さが仕事のパフォーマンスに影響を与える」「更年期症状により昇進を辞退した人は約50%、退職したことがある人は約17%に上る」など、近年社会的な影響も指摘される「更年期」。イーク表参道副院長の高尾美穂さんによれば、「誰にでも訪れるものですが、すべての人が更年期症状を自覚するわけではなく、自覚する人は約6割。さらに治療の必要がある『更年期障害』の人は、全体の3割弱という調査もあります」という。

では更年期障害を疑うのはどのようなケースなのか。あるいは更年期と思い込んで対処しないことで見逃される病気はないのか。高尾さんに話を聞いた。

更年期は「高温期」のような眠気が起きやすい

──更年期は閉経の前後5年間ずつの「期間」、更年期症状は卵巣機能低下に伴い起きる「様々な不調」、更年期障害は症状が治療しないとつらく「日常生活に支障をきたす状態」を指すとのことですが、具体的にはどういった状態の場合に、更年期障害と診断されるのでしょう。

高尾美穂氏(以下、高尾) 更年期症状がどのように表れるかは、人それぞれです。症状の強弱は卵巣機能の低下だけでなく、「環境的要因」「本人の気質」なども関わってくるため、一様には考えにくいですね。

例えば、40代、50代の女性に見られやすい中途覚醒も、更年期特有の自律神経失調状態によるものとすれば、更年期症状と考えられる一方で、別な要因が関係している可能性も排除できません。いずれにしても、生活するうえで困っているのであれば、更年期障害としての治療を視野に入れていいでしょう。

──更年期症状には、卵巣機能の低下とは関係なく起こる加齢性の変化も含まれるとのことですが、「疲労感」についてはいかがでしょうか。だるくてやる気が起きないといった症状がひどくなって、更年期障害に発展するようなことはあるのでしょうか。

高尾 「疲労感」にはまず、睡眠が十分に足りていないことが関係していると言えます。その睡眠不足に自律神経失調状態が関係していれば、それは更年期と関係している可能性があるでしょう。

月経周期は卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌がピークを迎えたあとに排卵が起き、その後、エストロゲンと黄体ホルモンであるプロゲステロンにより子宮内膜が準備されるのですが、プロゲステロンは脳の体温中枢に作用して、基礎体温を上げる働きもあります。これが高温期です。一方、私たちが休息状態になるためには、深部体温が下がる必要があります。生理前である高温期は体温が下がりにくいため、時間的には睡眠を取れていても、十分な休息状態になっていないために、日中の覚醒時間帯に眠くなることがあります。

月経周期が不安定になるということは、高温期のような夜間よく眠れていないために昼間眠い状態が、いつ起こってもおかしくない、これが疲労感と感じられることもあります。

「性に合う」副交感神経を優位にする方法を身につける

──月経前ではないのに、日中に眠気に襲われ、それがだるさにつながると。

高尾 大脳の視床下部の働きが乱れることも関係します。視床下部では交感神経と副交感神経の働きを支配する自律神経をコントロールしていますが、視床下部のすぐ近くにある脳下垂体で様々なホルモンを分泌していて、視床下部はこの脳下垂体もコントロールしています。エストロゲンが十分に分泌される時期は問題ありませんが、更年期に入り分泌量が減ると、視床下部が機能不全に陥るというのは1回目(「『更年期』とわかるのは閉経後 40歳過ぎたらケア開始」)でお話しした通り。これによって、副交感神経が優位になりにくい、つまりリラックスしづらくなるのです。すると、睡眠にも影響が出てきます。

──脳の指令の問題となると、打つ手が難しそうです。

高尾 副交感神経を優位にできる方法は、身につけることができると思います。

例えば、アロマの香りでリラックスする、音楽でリラックスするといった方法は有名ですし、「塗り絵」がいい人もいれば、私の専門分野でもありますが、ヨガの呼吸法…細く、長く、ゆっくり呼吸することで副交感神経が優位になるなども有効でしょう。

何かしら自分の「性に合う」副交感神経を優位にするような方法を身につけておくのが大事です。40代、50代の女性たち、あるいは女性に限らずこの世代の人たちが、シンプルにできることなので、ライフワーク的に考えておいてもいいのではないかと思います。

橋本病など甲状腺の疾患に注意

──不調を更年期症状だと考えて受診をためらううちに、見逃す可能性がある病気はありますか。

高尾 更年期障害は、他に可能性のあるすべての病気を否定した後につけられる診断名です。なぜなら、更年期症状として起こり得るような症状は、他の病気でも起こり得るからです。

女性に多いのは甲状腺機能の異常。甲状腺機能亢進症である「バセドウ病」、これは甲状腺で甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、体温が上昇しカッと汗をかく、動悸(どうき)や息切れ、情緒不安定といった更年期と似た症状が表れます。バセドウ病は20~30代に多いとされますが、より注意が必要なのが、甲状腺機能低下症である「橋本病」ですね。甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気で、更年期以降の世代に多く見られます。甲状腺の機能が低下することで体温の低下、冷え、コレステロール値の上昇、月経不順、肌の乾燥やむくみといった症状、無気力感などのうつ傾向が表れます。

貧血、高血圧、心臓疾患も…健康診断は欠かさずに

──「これくらいは更年期だからしょうがない」と油断すると危険ですね。

高尾 このほか頭痛やめまい、肩こりなどが起きやすくなる高血圧、動悸(どうき)、息切れ、胸痛などが起きる心臓疾患も症状が共通していますが、甲状腺機能の異常にしても、高血圧、心臓疾患にしても、すぐに対策が必要になってくる病気です。同時に、こうした似通ったサインを出す病気が、40代後半から50代にかけて、起きやすくなることを覚えておきましょう。

婦人科医は、50歳前後の女性が「調子が悪いです」と受診した際、すぐに「更年期障害ですね」と診断するのではなく、いろいろな病気を否定したうえで、更年期障害を考えましょうと言うのです。

例えば貧血も不調の要因になります。ヘモグロビン値が低くやる気が出なかったという人が、貧血の治療で改善されることもあります。

いずれにしても、甲状腺の異常、高血圧、心臓疾患、貧血などは、会社や自治体が行う健康診断の検査項目で発見できることも多くあります。

更年期うつはホルモンのアップダウンが誘引

──更年期の症状と考えられる抑うつ状態、あるいは更年期うつは、なぜ起きるのでしょうか。

高尾 更年期には、「抑うつ的な気分」や「物事に対する意欲の低下」が表れやすいのですが、これはエストロゲンの値が下がることが、脳内のセロトニンなどの活性に影響を及ぼしている可能性が指摘されています。また、プロゲステロンが減ると、GABA(ガンマアミノ酪酸)やセロトニンといった神経伝達物質の働きに影響があるとされます。セロトニンやGABAは、不安感を抑えたり精神を安定させたりする働きがあるため、エストロゲン、プロゲステロンが減少する更年期は、「更年期うつ」を発症しやすいと言えます。

ただ正確に言うと、エストロゲンやプロゲステロンは一定の速度で減少するわけではなく、アップダウンを繰り返しながら濃度が下がり、しかもその変動幅はとても大きいのが特徴です。アップダウンが激しいと、よりつらく感じます。いわば産後に似た状態が続くのです。もっと言えば、月経前症候群(PMS)でも同様の症状に見舞われる人もいますよね。

初回受診時に「更年期障害」とは言われない

──他の病気の可能性を否定したうえで診断されるという「更年期障害」ですが、診断名がつくまでは、何もできないということでしょうか。

高尾 実際には、並行して治療を開始するケースが多いと思います。恐らく受診を考えた時点で、すでに不調を抱えて、治療を希望しているケースが多いでしょう。ですので、問診により今の状態を確認し、まず漢方での治療を希望しているのか、より早く効き目を感じやすいホルモン補充療法(HRT)を希望しているのか、決めていきます。その上で並行して、他の病気がないか、治療の禁忌事項がないかを確認することになると思います。

例えば、初回受診時に相談を受けたら、次回受診時には健康診断の結果を持参してもらい、そこで検査されていない甲状腺をチェックしようといったことを、並行して行うわけです。つまり、初回受診時に「更年期障害ですね」と言われることはまずないと言っていいでしょう。

(次回に続く)

(ライター 山田真弓)

高尾美穂さん
産婦人科医・イーク表参道 副院長。医学博士・スポーツドクター・Gyne Yoga主宰・産業医。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大病院産婦人科助教、東京労災病院女性総合外来などを経て現職。大学病院では婦人科がん(特に卵巣がん)専門。2003年にヨガと出会い、ケンハラクマ師に師事。ヨガ、アンチエイジング医学、漢方、栄養学、スポーツ医学を多角的に用い女性の心身を様々な角度からサポートする。近著に『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)がある。

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