「座りっぱなし」が招く体のだるさ

テレワークの問題点は、体を動かす機会が減ることだけではありません。仕事中は椅子に座りっぱなしという人も多いでしょう。長時間同じ姿勢をとることで、体に痛みが生じやすくなり、それが「体のだるさ」につながります。

テレワークで同じ姿勢をとり続けていることで、体に痛みが生じやすくなることがある(写真はイメージ=123RF)

これはどのような仕組みでしょうか。長時間同じ姿勢をとると、一部の筋肉が緊張した状態が続き、その結果、関節が一定の位置に固定され、その可動域が狭くなってしまいます。これを「拘縮(こうしゅく)」といいます。

拘縮によって痛みを感じやすいのは、特に膝や腰です。膝や腰などの関節がなんとなく痛いと、体を動かすのがおっくうになり、ますます運動不足になります。すると、ますます体が重い、だるい、と感じるようになるのです。

このような、長時間同じ姿勢をとることで感じる体のだるさを解消するには、ずっと座りっぱなしで仕事をするのではなく、30分に1回程度、軽く体を動かすといいでしょう。ストレッチをして筋肉をほぐしたり、その場で少しウオーキングをするだけでも血行がよくなり、だるさもとれてくるはずです。

エナジードリンクに頼ると疲労に気づかなくなる

相談者の方は、「若い頃は、仕事が忙しくて疲れがたまってきたら、エナジードリンクを飲んで乗り切っていた」とおっしゃっています。そうやってエナジードリンク(栄養ドリンク)に頼っている人も多いですよね。

多くの場合、エナジードリンクにはカフェインと微量のアルコールが配合されています。カフェインには覚醒作用があり、微量のアルコールには気分を高揚させる働きがあるため、飲むと目が覚め、疲労が軽くなったように感じます。しかし、それで疲労が本当に解消されるわけではありません。

ここぞというときに、エナジードリンクを飲んで気合いを入れて仕事をするのも、たまにならいいでしょう。ところが毎日のようにエナジードリンクを飲んで、「よし、これで疲れがとれたから仕事を続けよう」というような働き方をしていたら、疲労はどんどん蓄積してしまいます。

このように、「本当は疲れているのに、それに気づかない」というのが大きな問題なのです。

そのほかにも、エナジードリンクにはさまざまな「疲労回復効果」をうたう成分が含まれています。しかし、そうした成分よりも確実に疲れをとるのは、睡眠です。エナジードリンクに頼るよりも、良質な睡眠を確保したほうが、仕事の生産性はずっと上がるでしょう。

テレワークで崩れた睡眠リズムを取り戻す

私のパーソナルトレーニングジムにも、テレワークで生活のリズムが崩れ、睡眠不足になってしまった方がいます。

毎日通勤していたときは、朝の決まった時間に起きなければなりませんし、通勤によってある程度は体も動かすので、夜になると自然に眠くなっていました。

ところがテレワークになると、「始業時間ギリギリまで寝る」ことも可能なので、それまで朝の決まった時間にきちんと起きていた人でも、つい寝坊してしまいます。

夜は夜で、「寝る直前まで仕事をする」ことも可能なので、ついダラダラと仕事をしてしまい、その結果、目がさえてなかなか寝付けず、翌朝はきちんと起きられない……。このような悪循環に陥ると、生活のリズムがおかしくなり、ぐっすり眠ることができなくなってしまうのです。

悪循環を断ち切るためにはどうすればいいでしょうか。そのコツは、夜は眠くないときには無理に眠らなくてもいいのですが、朝は決まった時間に必ず起きることです。これを続ければ、きちんと生活のリズムが整っていきます(参考記事「寝付けない、翌朝も疲れ… あえて疲れる生活で解消」)。

相談者の方も、テレワークが続いて生活のリズムが崩れ、そのせいで睡眠の質が落ちてしまっているのかもしれません。睡眠が改善すれば、疲れもとれ、体のだる重さも解消していく可能性があります。そうしたうえで、意識して体を動かすようにすれば、体重も元に戻るのではないかと思います。

(まとめ 長島恭子=フリーライター)

[日経Gooday2021年9月22日付記事を再構成]

中野ジェームズ修一
スポーツモチベーションCLUB100技術責任者/PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。フィジカルを強化することで競技力向上やけが予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。元卓球選手の福原愛さんやバドミントンのフジカキペア、プロランナーの神野大地選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。

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