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ポッドキャストと連動したドラマも(Paraviで配信中) (C)『お耳に合いましたら。』製作委員会

さらには、これまで音声配信サービスを行っていなかった“動画メディア”の参入も相次ぐ。テレビ東京は、今年4月に音声コンテンツレーベル「ウラトウ」を設立。第1弾コンテンツとして、ギャラクシー賞テレビ部門受賞作である『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の音声版の新シリーズをSpotifyで配信する。7月には、ポッドキャストをテーマしたドラマ『お耳に合いましたら。』を放送。主人公がドラマ内で作るポッドキャスト番組がSpotifyで配信された。

動画配信サービスの「Hulu」も、7月から新たに「オーディオコンテンツ」の配信をスタート。「音声ドラマ」「英語学習」「音楽」の3つを軸に、日常のあらゆるシーンで聴きながら楽しめる音声コンテンツを配信中だ。

トレンド5:広告市場の急成長予測も

音声配信市場は、広告業界からも注目の的となっている。デジタル音声広告市場規模推計は20年は16億円だが、22年以降急速な市場拡大が進み、25年には420億円になると予測している(デジタルインファクト調べ)。

調査期間は2020年2~3月。デジタル音声広告は19年に本格的に整備が始まり、現在は広告主によるブランディング需要の高まりと、大手広告事業者の新規参入が進んでおり、配信先も拡大している

デジタル音声広告事業を展開するオトナル代表取締役の八木太亮氏によれば、音声広告は完全再生率が90%以上と高く、しかも広告が不快に感じにくいメリットがあるという。「完全再生率が高いのは、アプリ上でスキップできない仕様を採用しているためです。また不快感が少ないのは、視覚と聴覚を奪われる動画に対して、音声は聴覚だけである点が大きい。しかも音声コンテンツは、リスナーとクローズドな関係性を築きやすいので、メッセージがしっかり伝わりやすいのが特徴」と語る。

こうして音声コンテンツが注目される背景には何があるのだろうか。Voicyの緒方氏は、「ガジェットの進化」を挙げる。「音声アプリの多様化もそうですが、ワイヤレスイヤホンの普及は大きいでしょうね。『絶えず何かを聴いている』という習慣が生まれるようになってきているので。さらに、新型コロナの影響で音声会議が増えたことも、そのワイヤレスイヤホンの普及を後押ししています」

ニッポン放送の立川氏も、「コロナ禍がもたらしたライフスタイルの変化は大きい」と言う。「例えばテレワークの際でも、テレビをつけっぱなしにするというのは難しいと思いますが、ラジオだと『ながら聴き』ができますからね。改めて音声コンテンツの魅力に気づいてもらえた印象があります」。

進化を続けるラジオ業界に、新規参入が続く音声配信業界、そしてそこに注目する広告業界と、今後も音声市場はさらに盛り上がっていきそうだ。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2021年11月号の記事を再構成]